2020年11月

小野寺会長(左)と鈴木知事

小野寺会長(左)と鈴木知事

10月20日、三重県庁で「国際ソロプチミスト三重─アイリス」=小野寺あけみ会長=が、来年10月に開催される「第21回全国障害者スポーツ大会(三重とこわか大会)」に向けレク用ボッチャシート2枚を寄贈した。
ボッチャは脳性麻痺など運動能力に障害がある人向けに考案されたスポーツ。パラリンピックでの正式種目にもなっている。赤と青チームに分かれて、ジャックと呼ばれる白いボールに向かって、それぞれ6球ずつボールを投げたり、転がしたりして距離を競う。
贈呈式には小野寺会長と会員7名のほか、鈴木英敬知事らが出席。鈴木知事に目録を手渡した小野寺会長は「とこわか大会の何かお役に立てればと思い、寄贈をさせて頂く」と挨拶。鈴木知事は「ボッチャはとこわか大会から正式種目になり、東京パラリンピックも含め、競技のすそ野も広がり、レベルも上がることを期待する」と感謝した。

集中豪雨などによる決壊で甚大な被害が出ている「農業用ため池」。昨年には、より的確な管理・保全を行うため、ため池所有者が都道府県への届け出などを義務付ける法律も施行されている。その一方、ため池の多くが個人資産であるため、高齢化によって管理が難しくなったり、所有者が不明となり荒廃して危険な状態になっても、行政の一存だけでは廃止ができないといったリスクをはらんでいる。

 

全国に約17万カ所あると言われる農業用ため池。そのうち国が平成25年から27年に作成した「ため池データベース」には、受益面積0・5ha以上のため池9万6000箇所が登録されているが、所有者不明(任意回答無し)の池が約30%の2万8700箇所にも及び問題化している。
近年では西日本集中豪雨でのため池決壊による被害が発生したことから、昨年7月、「農業用ため池の管理及び保全に関する法律(ため池法)」が施行。適切な管理保全を促すことを目的に、民間のため池管理者や所有者は都道府県への届け出が義務付けられた。
津市では、全市域で394箇所の農業用ため池が存在し、近年では決壊した場合に下流に被害を与える可能性がある防災重点ため池を214箇所指定。それに基づくため池ハザードマップなども整理してきた。ため池法の対象となる市内にある民間所有の池271箇所のうち266箇所が届け出されている。残り5箇所は、所有者が特定できていない。
法整備で所有者や管理者による適切な保全と管理が明確化されたが、どのようにため池を管理していけば良いのか、不安を持つ管理者や所有者も増えている。そこで三重県では、今年7月に「ため池保全サポートセンター」を開設し、専門家によるアドバイスをしている。
管理が難しくなった池廃止の廃止工事の例を挙げると、池の提体を切って水がたまらないようにした後、水源を農業用水のパイプラインに切り替えを行うといった事例も。その他、調整池への用途変更なども多い。
津市は現状、ほとんどのため池が適切に管理されているが、今後は高齢化と離農者の増加で管理が行き届かなく可能性も十分あり得る。多くのため池が個人資産であり、老朽化や荒廃が進み決壊で大きな被害が出る危険性が増しても、自治体の一存では、ため池の補修や廃止できないのが実情。この点では、近年、顕著となっている空き家問題と非常に似た性質を持っていると言える。
空き家と同様、登記が古く、所有者の相続が複雑化しているため池もあり、いずれそうなることを危惧する声もある。また、補修や廃止の工事費用に関しても、国、都道府県、市町村からの補助は出るものの、一定分は管理者や水利権者の負担となることから、高齢化や離農で受益者が減れば、一人当たりの負担が重くなり、工事したくても出来ないというケースも想定される。
空き家は法整備によって所有者の特定をし易くしたり、倒壊の危険がある空き家を指定し、所有者に適正な管理を促したり、非常時には行政代執行で工事を行えるようになった。ため池も問題の顕著化に先んじた国による法改正も必要だろう。津市でも管理がしっかりされている今のうちに管理者や所有者と話し合った上で、10年先、20年先を見据えた対策を練る必要があるだろう。
ため池の管理に関する相談は、ため池保全サポートセンターみえ☎059・224・3555(毎週月曜・木曜9時~12時)。

ランボルギーニの前の鈴木社長(㈱美鈴急送本社にて)

ランボルギーニの前の鈴木社長(㈱美鈴急送本社にて)

「子ども達に目標を持って生きてほしい。我われ大人達が夢をみせられる存在にならなければ」
高級輸入車のショールームと見紛うほど綺麗なガラス張りの本社1階に展示された紅白のフェラーリ、ランボルギーニの3台のスーパーカー(総額2億2千万円)を前に熱い瞳で語るのは㈱美鈴急送(津市あのつ台)の代表取締役である鈴木利紀也さん(44)。
自身も夢を追いかけて起業し、事業を拡大しながら手に入れた、いわば『成功の証』だが、そんな大切な車を惜しげもなく子ども達に開放している。羨望の眼差しでショールーム前でカメラを持っている子どもを招き入れ、運転席に座らせてあげる事もしばしば。毎年秋に開かれる「新町フェスタ」では、会場にスーパーカーを展示し自由に触れさせている。
「もう泥だらけ、指紋まみれになってますよ」と笑うが、子ども達が喜ぶ顔を見れるなら一向に構わない、と話す。
実は鈴木さんは中学生の頃に父親の事業が破綻し一家離散の憂き目に合っている。その後、一時は荒れた生活を送っていたが、20歳で自分を見つめ直し、トラックドライバーとして流通業界に飛び込んだ。仕事をする中で、荷物を手渡した時に「ありがとう」と言われ、自分の存在価値とやりがいを感じたという。
その後、一念発起して独立。最初はオンボロトラック1台で始めた会社を、大型トラック75台、4トントラック15台、トレーラーヘッドも所有する地元でも中堅の企業に成長させた。2017年12月に現在地に新社屋を建設。社員数は94名だ。
自身の人生を振り返って「私の若い頃は人生設計なんで考えていなかった。社員の協力もあり会社を成長させる事ができたが、思い付きの行動ではうまく運ばない事も多い。やはり子どもの頃の環境は大事。先ずは『こんな大人になりたい』と感じてもらえる人間にならなければ。子ども達にそう思ってもらったなら至上の喜び」と話す。

[ 1 / 5 ページ ]12345