三重トヨペット㈱=本社・津市上弁財町・井上喜晴社長)がこのほど、人気のレースゲームを用いて競技するeモータースポーツクラブチーム「BTFスピリット」を発足させた。自動車販売会社としてeモータースポーツのチームを持つのは全国初。一般から会員を募り、様々な大会への出場に向け選手を育成する他、イベント時にはショールームに設置したシミュレーターで体験しながら車の魅力を発信する。

 

 

チーム名を発表する川喜田専務と鈴木県知事(10月13日の発足会にて)

チーム名を発表する川喜田専務と鈴木県知事(10月13日の発足会にて)

現役のレーシングドライバーのデモ走行の模様(三重トヨペット津垂水本社にて)

現役のレーシングドライバーのデモ走行の模様(三重トヨペット津垂水本社にて)

チーム発足の背景には、近年、増えつつある若者の車離れ、レース等のモータースポーツ離れを食い止めたいというトヨタの想いがある。
ひと昔前は免許を取得すれば、誰もがこぞって車を購入し、運転を楽しんだり、自分好みの車体に仕上げてレースに出場したり、豪華な内装やスタイルを愛でるなど、各々が自分流の「カーライフ」を楽しんだものだ。自動車というのは元来、高付加価値商品だったのである。この嗜好性の高さが世界のモータリゼーションと経済発展に寄与したのは間違いない。
車離れの要因の一つは自動車に求められる性能が省燃費などの環境性能と安全性能など実用性がメインになり、スポーツカーなど美しいスタイルと走りを得意とする車が極端に少なくなってしまったことが挙げられる。
トヨタは、これに早くから危機感を抱き、若者でも手が届く価格の「86」を2012年に、昨年はBMWと共同開発した高性能な「スープラ」の2台のスポーツカーを復活させた。また、車好きが気軽に来店できる店舗「GRガレージ」を全国展開するなど着々と車好きを増やしてきた。
一方、世界的な広がりを見せるのが、コンピュータゲームをスポーツ競技として捉える「eスポーツ」。モータースポーツの分野でも、リアルドライビングシミュレーターを謳うソニープレイステーション4用のゲーム「グランツーリスモSPORT」を用いたeモータースポーツが世界大会まで開催され大いに盛り上がりをみせる。
同ゲームは操縦が実車とほぼ同じで、車体の細かいセッティングも可能。安全で気軽に実際にレースをしている感覚が楽しめる。トヨタ自動車㈱でもeモータースポーツドライバー・山中智瑛選手と契約し昨年シリーズチャンピオンを獲得している。eモータースポーツを通じて車ファンを増やす事が結果的に自動車業界の活性化に繋がると期待されているのだ。
以上が、今回、三重トヨペット㈱がeモータースポーツクラブチーム発足までの流れだが、チームをサポートする布陣もさすがに凄い。トヨタ自動車㈱からはレース車両開発部門の「GAZOOレーシングカンパニー」、さらにトヨタの契約ドライバーが所属し、輝かしい戦績を持つ、坂東正敬監督が率いるレーシングチーム「㈱レーシングプロジェクトバンドウ」と本格的だ。
今後の具体的な活動内容は、定期的な走行練習会の開催、レーシングドライバーによる指導などで大会へ出場するまで選手を育成する。希望者には習得した技術を試せるようカート走行や実車による走行体験なども視野に入れている。
応募は専用サイトから入会手続き可能。応募者多数の場合は書類選考の上、面談し決定。応募資格は三重県内在住者で7歳以上(但し、18歳未満は保護者の同意が必要)。また、毎月第2・第4土曜日に三重トヨペット㈱津垂水本店に通える人(10時~12時位まで)など。
詳細は同社ホームページ内の専用サイトで確認の事。
問い合わせは、同社フリーダイヤル0120・110・567(営業日の9時~17時)。
※チーム名の「BTFスピリット」は三重トヨペット㈱が掲げる「Be the First」(失敗を恐れず、最初の一人になれ)から命名された。