ランボルギーニの前の鈴木社長(㈱美鈴急送本社にて)

ランボルギーニの前の鈴木社長(㈱美鈴急送本社にて)

「子ども達に目標を持って生きてほしい。我われ大人達が夢をみせられる存在にならなければ」
高級輸入車のショールームと見紛うほど綺麗なガラス張りの本社1階に展示された紅白のフェラーリ、ランボルギーニの3台のスーパーカー(総額2億2千万円)を前に熱い瞳で語るのは㈱美鈴急送(津市あのつ台)の代表取締役である鈴木利紀也さん(44)。
自身も夢を追いかけて起業し、事業を拡大しながら手に入れた、いわば『成功の証』だが、そんな大切な車を惜しげもなく子ども達に開放している。羨望の眼差しでショールーム前でカメラを持っている子どもを招き入れ、運転席に座らせてあげる事もしばしば。毎年秋に開かれる「新町フェスタ」では、会場にスーパーカーを展示し自由に触れさせている。
「もう泥だらけ、指紋まみれになってますよ」と笑うが、子ども達が喜ぶ顔を見れるなら一向に構わない、と話す。
実は鈴木さんは中学生の頃に父親の事業が破綻し一家離散の憂き目に合っている。その後、一時は荒れた生活を送っていたが、20歳で自分を見つめ直し、トラックドライバーとして流通業界に飛び込んだ。仕事をする中で、荷物を手渡した時に「ありがとう」と言われ、自分の存在価値とやりがいを感じたという。
その後、一念発起して独立。最初はオンボロトラック1台で始めた会社を、大型トラック75台、4トントラック15台、トレーラーヘッドも所有する地元でも中堅の企業に成長させた。2017年12月に現在地に新社屋を建設。社員数は94名だ。
自身の人生を振り返って「私の若い頃は人生設計なんで考えていなかった。社員の協力もあり会社を成長させる事ができたが、思い付きの行動ではうまく運ばない事も多い。やはり子どもの頃の環境は大事。先ずは『こんな大人になりたい』と感じてもらえる人間にならなければ。子ども達にそう思ってもらったなら至上の喜び」と話す。