津市が高茶屋地区に整備する「認定こども園」に関し、津市と民間事業者の間で意見の食い違いが表面化している。
同地区には、半径2㎞以内に公立高茶屋保育園(昭和52年築)と公立高茶屋幼稚園(同54年築)、民間では5施設(保育園2施設・こども園3施設)がある。
少子化は進んでいるが、住宅開発が進んでいることや親の共働き世帯の増加、久居地域の児童の一部が高茶屋地区の施設を利用していることで将来、一定の保育ニーズがあると判断。さらに公立高茶屋保育園と公立高茶屋幼稚園の老朽化も理由に加え、新たに同地区に定員250名規模の認定こども園を令和4年以降に整備するとした。
問題は、事業の進め方だ。津市では公立でやる前に、運営に関心のある民間(社会福祉法人や学校法人)の意向を聞くとし、今年9月から12月までの4カ月間、関心表明する事業者を募集しているが、その趣旨を報告したのは募集開始直前の8月26日、市内で認可保育所、認定こども園、幼稚園を運営する民間事業者を集めて久居総合福祉会館で開かれた説明会。
出席した民間事業者からは「250名規模の施設となると、人員の確保や予算など決定事項が多く、4カ月間では間に合わない」といった声や、「まるで新設ありきの説明だが、その前に各施設と協議し、保育の在り方のグランドデザインを描くことが必要ではないか」、「コロナの影響もあり、外国人労働者がこのまま仕事を続けていくのかも不透明。人口動態が安定するまで待ってはどうか」、「どの施設も大変な状況なのに、このタイミングで新設の話をされてもそんな余裕はない。急ぐ必要はあるのか」など、早急な方向性の決定に待ったをかける出席者もあった。これに対し、津市は「あくまでも関心動向であって、きっちりした事業計画を求めるものではない。今後は協議の場も設けていく」と、曖昧さをぬぐい切れない説明に終始した。
最も優先されるべきは次世代を担う子供達の保育・教育環境なのは誰もが異論の無いところ。将来に禍根を残さないためにも、運営の在り方など関係者による十分な議論が求められよう。

8月3日、東京駅に開業したJR東日本最大級のエキナカ商業施設「グランスタ東京」に、かつて東京駅や国会議事堂の竣工パーティを請け負うなどの歴史を持つレストラン東洋軒(本店・津市丸之内)が「東洋軒 東京ステーション」をオープンした。創業131年の伝統と風格に加え、老舗の味を今の時代に合わせて表現した新しいメニューの開発など、常に進化し続ける同店の姿勢が同商業施設のコンセプト「エキナカで美食を探求」に合致したことで実現した。

 

 

東京駅に8月3日にオープンした「東洋軒 東京ステーション」

東京駅に8月3日にオープンした「東洋軒 東京ステーション」

JR東日本グループの㈱鉄道会館が開業した「グランスタ東京」は、東京駅北通路周辺整備によって新たに生み出されたスペースに66店舗が出店し、既存の「グランスタ丸の内」の87店舗と合わせて153店舗・約1万1300㎡に及ぶJR東日本最大級のエキナカ商業施設。
特に飲食関連では、「エキナカで美食の探求」をテーマに老舗・名店を34店舗揃えた。その中でも「東洋軒・東京ステーション」は、東京駅丸の内側と八重洲側の改札から入った駅構内ど真ん中に位置する事からも、同店に対する㈱鉄道会館の大いなる期待が分かる。
「東洋軒」は、創業 明治22年(1889年)。初代料理長として北垣栄七郎を招き、後に天皇の料理番となった秋山徳蔵らを筆頭に、優秀な料理長を次々と輩出し、宮内省御用達の店として明治期に名声を残す。また大正3年(1914)に開業した東京駅や、昭和11年(1936年)の国会議事堂の竣工式のパーティーを請け負うなど華やかな舞台を彩ってきた。
津の東洋軒は、稀代の風流人として知られる川喜田半泥子が三田の東洋軒の味に惚れ込み、熱心な説得の上、昭和3年(1928年)に東京東洋軒出張所として三重県下初のビルヂングであった百五銀行本館四階にオープン。
津の東洋軒 初代 猪俣重勝氏から2代目 重信氏、3代目で現社長の憲一氏が、92年間(東京・三田の創業からは131年間)にわたり、味と伝統を守り続けてきた。
一方で、伝統に根差しながらも、時代の変化に合わせたメニューも多数開発。現状に甘んじる事なく、常に進化し続ける経営姿勢も高く評価され、2014年には、東京・元赤坂で「西洋御料理 東洋軒」として東京での新たな歴史も紡いでいる。
このように、東京との深い関わりと歴史、企業文化が広く知られるようになった事が今回のグランスタ東京への出店に繋がったのは間違いない。
本店同様に新店舗でも、半泥子が創設した半泥子廣永窯の食器を使い、伝統のブラックカレーをはじめ、松阪肉枝肉共進会 三年連続最優秀一等を受賞した津市一志町の伊藤牧場のA5ランク松阪牛や、鮑、伊勢海老など三重の食材をふんだんに使った料理を提供。
「東京の玄関口の東京駅には全国から人が集う。新店舗は〝美し国三重〟の情報を発信し、全国に知ってもらうチャンス。来店者の記憶の1ページに残る店にしたい」と話す。
131年の歳月を超えて老舗ののれんが結んだ今回の出店。大いに注目される。

斎宮歴史博物館(多気郡明和町)で、夏季企画展「斎宮・常設展示室Ⅲ斎王を選ぶ」を開かれている。会期は9月10日㈭まで。
常設展示室Ⅰの展示トピックをさらに掘り下げる、第三の常設展示室が特別展示室に夏季期間限定でオープン。今年度のテーマは「斎王を選ぶ」。斎王はうらないによって選ばれる。そのうらないはどのような手順で行われたのか?うらないの儀式にはどのような人が参加したのか?儀式はどこで行われたのか?
「斎王を選ぶ」ことについて、様々な観点から迫る。
展示資料点数・約30点。
【主な展示資料】
◆延喜式(えんぎしき)・江戸時代
◆江家次第(ごうけしだい)・江戸時代
◆小右記(しょうゆうき)・江戸時代
◆類聚雑要抄指図巻(るいじゅざつようしょうずかん)巻四・江戸時代
◆伊勢物語硯箱(いせものがたりすずりばこ)
◆大内裏図考証(だいだいりずこうしょう)・江戸時代
◆秋草図下絵三十六歌仙図色紙貼交屏風(あきくさずしたえさんじゅうろっかせんずしきしはりまぜびょうぶ)・江戸時代
◆三十六歌仙図画帖(さんじゅうろっかせんずがじょう)・江戸時代
◆斎宮女御集(さいくうにょうごしゅう)・室町時代
観覧料は一般340円、大学生230円、高校生以下無料。開館時間は9時半~17時(入館は16時半まで)。問い合わせは同博物館☎0596・52・3800。

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