新しい生活様式がすっかり身について、なるべく人との距離をとる生活をしている。スーパーは週に二回。外食は控え目に。毛染めもカットもできるだけ自分でやって、人と接触する機会を減らす。そしてなにより自分の体調に気を配る。
新型コロナのワクチンができるまでは気を抜かないつもりで、そんな生活を送っているが、正直少し嫌になっている。引きこもり生活はつまらない。外に出たいし人とも会いたい。それで、公園巡りをしている。
テイクアウトの弁当を持って公園に出かける。夫と出かけたり、友達と待ち合せたり。調べてみると、たくさんの良い公園がある。私は緑が多い公園が好きだ。そこに水があるともっと良い。
錫杖湖ふれあい公園は緑も水もある。君ケ野ダムや家城ラインの辺りの水辺も美しい。緑の木々が風に枝葉を揺らし、太陽の光に水がキラキラと輝いている。
安濃中央総合公園や本城山青少年公園、中勢グリーンパークは平日がお勧め。広くて人が少なくて良い。お馴染みの偕楽公園は木陰のベンチが多くて弁当を食べるのに最適だ。
緑の木の下で、風を感じながら食べる弁当は美味しい。鳥の声も聞こえてくる。弁当の後は腹ごなしのそぞろ歩き。話しても笑っても、マスクをして距離を取っていれば大丈夫。これもまた、新しい生活様式だ。
(舞)

「名松線を守る会」(事務局=美杉総合支所地域振興課内)が8月1日㈯・2日㈰にイベントを開く。※日帰りイベント。各日参加者が異なる。
雨天決行、荒天中止。
▼対象=三重県内の小学校に通う児童とその保護者(必ず保護者同伴)。
▼スケジュール=参加者は名松線伊勢奥津駅到着の1番列車(8時59分着)・2番列車(11時2分着)のいずれかに乗車し伊勢奥津駅前で集合。
列車には同会のスタッフが引率のため同乗するので、列車乗車の練習のために児童だけで乗車しても大丈夫。※ただしイベントは保護者同伴のため、保護者は自家用車で伊勢奥津駅まで行く。
集合後、送迎バスで美杉町川上の大吉アマゴセンターへ。同センターで魚つかみをして、つかまえた魚を自分で焼いて食べられる(1人1匹)。その後、帰りのバス出発まで川遊び(魚つかみ・魚焼き・食事が40分、川遊びが約30分)。
▼参加料=一人500円(アマゴ1匹、保険料込み)。※名松線の運賃は自己負担。※弁当は別途料金(税込800円)で別途注文が必要。
▼募集期間=7月13日㈪~7月22日㈬。電話受付=平日9時〜17時。
▼募集人数=列車1本あたり40人(2日間で合計160人)。※保護者が名松線に乗車しない場合も一人と数える。
▼申込方法=同事務局へ電話。参加者全員の住所・氏名・年齢・電話番号・乗車する列車のダイヤ・弁当の注文の有無を伝える。
▼申し込み先=名松線を守る会事務局☎059・272・8082へ。

青山峠の電話ボックス

青山峠の電話ボックス

暗闇に浮かび上がる緑色のなにか(近鉄西青山駅前)

暗闇に浮かび上がる緑色のなにか(近鉄西青山駅前)

青山トンネルを抜けると、いよいよ伊賀市。時刻は17時45分。近鉄西青山駅まで残り3㎞ほど。間もなく日没ということもあり、ようやく市境を超えたにも関わらず、感動がまるでない。
市境を超えて間も無く心霊スポットとして名高い電話ボックスが登場。夜中に女の人が立っていたり、突然呼び出し音が鳴るといった噂話があるが、正直構っている心の余裕がない。流石に無視するのも申し訳ないので、おざなりに写真を撮り、前を通り過ぎる。
ここからは下り坂。しばらく歩道が続いていることは体力的にありがたい。しかし、そんな安らぎも束の間。すぐに歩道が途切れてしまう。
暗がりの中、ドライバーが私を見つけるのは至難の業。全く見えていないことを前提にしながら、これまで以上に神経を張りつめて進まなければならない。こんな時間に、こんな場所を歩いている人間がいるとは思うまい。少し先に車のヘッドライトの光が見えると、大きく避けた上で立ち止まる。これまで通りの動作だが体力と精神の限界が近づいているので同じことをするのもかなり辛い。だが、ゴールは目前。焦らず一歩ずつ進むのみである。
国道沿いの廃墟に目をやると、在りし日は飲食店や宿泊施設だったようだ。今では、人影すらない寂しい地域だが、ひと昔前は、こういった商売が成り立つ時期もあったのだと思うと、人の世の無常さを感じずにはいられない。道は多くの人々の思いが具現化した存在だと何度もお話しているが、この廃墟は、その道を行きかう人同士の交差点だったのだ。時代の流れと共に人々の価値観が変わり、交通手段と共に人の流れが変わり、無数の事象が流転するこの世界にあって、この道さえも不滅の存在では無く、人々に必要とされ無くなれば、あっという間に自然に飲まれてしまうだろう。そもそも私自身の生命でさえ、今この瞬間に存在しているということ以外は全く分からない。そう考えると、日が沈み暗闇の中で、踏み出す一歩すらも、とても貴重な経験に思える。
闇の外套をまとい、ヘッドライトの群れをいなしながら進み続けると、ようやく虚空に浮かぶ西青山駅の灯。その光景を撮影した後、無人の改札を通り、ホームに上がる。そこで一息つきながら、妻に無事を報告するために、撮影した写真をラインで送信する。すると、すぐに返信。「なにコレ…幽霊?」。慌てて写真を見ると、確かに国道の上に緑色の物体が3つ浮遊している。
さんざん心霊スポットを興味なさげに通り過ぎてきた私に対するあの世からのアピールなのかもしれない。そう言われたところで「カメラの暗所撮影モードのバグによるノイズだろう」と全く意に介さない訳だが…。
「次はここから名張駅まで歩こうかな」。ぼんやりと、次の行程を思い浮かべていると電車が到着。私はよろめきながら、電車に乗り込む。
この日の行程は、本居宣長の菅笠日記に記された一日目に近いというお話をしたが、彼はもっと先の阿保宿まで歩いている。完敗の一言だ。(本紙報道部長麻生純矢)

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