コロナ禍で長らくご無沙汰だったが、久しぶりに奈良県大宇陀を訪ねた。同行者は松阪の旅館組合長と本居宣長記念館の名誉館長である。
小雨ということもあって冬場は難儀な高見峠も8℃と温かく、コロナ禍以来長らく海辺や島嶼生活だった私にとって、伊勢街道/和歌山街道のフィトンチッドは爽快だ。 が、何より有難いのは情報の交換と共有である。
午後一の出発だったので、県境を越えた私たちは吉野に入ると「ひよしのさとマルシェ」に立ち寄った。ここでは旧友の一人がパンを焼いている。だが、あいにくこの日は非番で不在、スタッフからは新任の店長を紹介された。以前、道の駅宇陀路大宇陀にみえた方である。新たにラーメンを始めたとのことで、お洒落な木枠のついたアクリル板で仕切られたテーブルでは、数人のお客さんがソーシャルディスタンスを守って遅めの昼食をとっていた。
店長さんとの話も尽きないのだが、大宇陀の友人たちを待たせるわけにもいかない。私たちは焼きたてのパンをかじると宇陀市へと向かった。
宇陀市の大宇陀は、古代は阿騎野(あきの)と呼ばれ、宮廷の狩場だった。また、『日本書紀』では菟田野(うたの)と書かれ、江戸時代まで薬猟や栽培、生薬製造で栄えた。賀茂真淵によって、草壁皇子の舎人として仕えたとされる飛鳥時代の歌人・柿本人麻呂は、阿騎野で「ひむかしの野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月傾ぬ」という和歌を詠んでいる。加えて、中世の秋山氏以降は支配者の入れ替わりと共に、江戸時代の17世紀には織田松山藩3万石の城下町となり、織田氏転封後は江戸幕府の直轄領でもあった。
友人の店は、宇陀松山重要伝統的建造物群保存地区の真ん中にある、商工会会長である奈良漬屋さんである。ここではコロナ禍における現況と、その対策を聞いた。また、観光協会の会長だった建設屋さんの社長宅では、アットホームな雰囲気の中、旧交を温める事ができた。
冬の陽は短い。最後に私たちは友人の醤油屋さんちに立ち寄って大宇陀を後にした。時間切れで寄れなかった天益寺の住職も、奈良漬屋さんによるとすこぶるお元気だそうだ。またアフターコロナにお会したいものである。
ちなみに、情報の交換と共有については、渡鹿野島の旅館のパンフレットを配布したことと、大宇陀にはコロナ感染者が一人もいないこと、そして、これは移動中の車内だけの話だが、私のデータ分析によるコロナ禍に関する考察である。我々は「木を見て森を見ていない」のかも知れない。
つまり、国際観光支出による人民元流出を懸念した中国政府は、段階的に支出額に制限をかけてきたが、それでも2019年の国際観光収支は、258億米ドルの収入に対し、2550億米ドルもの支出となっていた。その差2192億米ドルは、2019年の年間平均レート109円換算で、実に23兆8928億万円ものマイナスである。
だが、このような巨額な人民元の流出は、コロナ禍によって2020年にはなかった。中国国家統計局によると、2020年の国内総生産(GDP速報値)は101兆5986億元で、前年比成長率は、物価変動の影響を除いた実質で2・3%に達した。四半期ごとの成長率は、1~3月の第1四半期こそ6・8%減だったが、第2四半期が3・2%増、第3四半期が4・9%増、第4四半期が6・5%増だった。 産業別の増加値(付加価値額)は1次産業が3%増の7兆7754億元、2次産業が2・6%増の38兆4255億元、3次産業が2・1%増の55兆3977億元である。
また、中国紙と提携している仏AFPの報道によれば、2020年の中国の食糧収穫高は、6年連続6500億キロ以上を維持して世界首位。製造業の付加価値も11年連続して世界一の見込み。 高速鉄道の営業距離は3万8000キロ、高速道路の総延長も15万5000キロとなり、5Gの接続端末数も2億を上回って、いずれも世界一。 そして、2020年の11月15日には、8年間の交渉を経たRCEP(東アジア地域包括的経済連携)が15カ国(ASEAN10カ国と、中国、韓国、豪州、ニュージーランド、日本)の署名で発足、人口、経済総量、貿易量いずれも世界の約三割を占める巨大自由貿易圏が始動。貨物輸出入の総額が前年比で1・9%増を記録している。世界中がコロナ対策に振り回されている中でだ。
現在WHOの調査団が中国入りしているが、武漢に端を発した世界への新型コロナウイルスの漏洩は、一帯一路や国際観光ルートと奇妙に一致しており、未必の故意、またはグローバルな経済戦略作戦として利用された可能性がある。一年遅れの現地調査も必要かも知れないが、最も必要なのは初期の伝播ルートの検証だ。そして、電源や水源地のみならず、著名ツーリズムサイトの観光コンテンツ、ホテル、飲食店へのチャイナマネーの進出も注意すべきである。それらから得られる収益は、第一次所得として本国へと還流するに違いない。
(O・H・M・S・S「大宇陀・東紀州・松阪圏サイト・シーイング・サポート」代表)