2021年4月

津商工会議所中小企業相談所はこのほど、「津地区の景況調査(令和2年下期実績と令和3年上期見通し)を取りまとめた。新型コロナウイルスの影響で依然厳しい状況ではあるものの、上期では業種によっては改善する見通しとなった。
調査は同商議所会員でFAX登録されている企業1996社を対象にFAX送付によるアンケート方式で実施。調査対象期間は令和2年下期(7月~12月)実績と令和3年上期(1月~6月)見通し。数回収集計数企業数314社(回収集計率15・73%)、うち小規模企業165社。一部、現状と来期について紹介。
◆現状
全産業の業況判断DIは、今期▲58・3となり、前期▲64と比べ、5・7ポイント改善。前期は前々期と比べ、42・4ポイントの大幅悪化だったが、今回は新型コロナウイルスの影響を引き続き受けてはいるが、前期と比べると改善した。小規模企業では、今期▲69・8となり、前期▲66・1と比べ、3・7ポイントの悪化となった。
業種別では、小売業以外の業種で改善となっており、建設業(▲46・6)、卸売業(▲56・3)、サービス業(▲54・3)は前期と比べ10ポイント以上改善。小規模企業では、建設業、卸売業では改善、製造業、小売業、サービス業では悪化した。
◆来期の見通し
全産業の来期の見通しDIは▲48・7と、今期の業況判断DI▲58・3より9・6ポイント改善する見通し。小規模企業では▲58・8と、今期の業況判断DI▲69・8より11ポイント改善する見通し。
業種別では、製造業、卸売業、小売業で改善、サービス業ではほぼ横ばいの見通しで、建設業のみ悪化の見通しとなった。小規模企業でも、建設業のみ悪化の見通しとなった。
◆売上状況と来期の売上の見通し
①売上状況
全産業の売上DIは、今期▲55・5となり前期▲64・1と比べ、8・6ポイントの改善となった。小規模企業では、今期▲66・2と前期▲66・2と比べ横ばいだった。
業種別では、建設業、卸売業、小売業、サービス業が改善し、製造業のみ悪化。小規模企業では、建設業と卸売業では改善されたが、それ以外の業種では悪化となった。
②来期の売上の見通し
全産業の来期の見通しDIは▲49・1と、今期の売上DI▲55・5と比較し、6・4ポイントの改善の見通しを示している。小規模企業でも、4・9ポイントの改善の見通し。
業種別では、製造業、卸売業、小売業で改善、小規模企業では、製造業と小売業が改善の見通しとなった。
◆利益状況
全産業の利益DIは、今期▲56・6と前期▲63・8に比べ、7・2ポイント改善。小規模企業では、今期▲67・3と前期▲66・2と比べ1・1ポイント悪化した。
業種別では、製造業、建設業、卸売業、サービス業で改善。小売業のみ悪化。小規模企業では、建設業のみ改善。製造業、卸売業、小売業、サービス業では悪化した。
◆経営上の問題点
全産業の経営上の問題点は、1位が「売上・受注の停滞・減少」、2位が「人手不足」、3位が「人材育成」。前期と同様の順位となったが、「売上・受注の停滞・減少」は前期と比べ3・2ポイント減少し、「人手不足」が3・5ポイント、「人材育成」は5・4ポイント増加した。また、業種別においては、すべての業種で「売上・受注の停滞・減少」が1位であったが、建設業では同率で「人手不足」も1位となった。
製造業では、前期4位の「人材育成」が2位に、卸売業では前期5位の「設備店舗の狭小老朽化」が2位となった。
※DIとは=景気動向を示す指標。前期に比べて「増加」「好転」したとする企業の割合から「減少」「悪化」したとする企業の割合を差し引いた値。

店内で商品に囲まれながら…小原マルセロさん

店内で商品に囲まれながら…小原マルセロさん

日系ブラジル人3世の小原マルセロさん(35)が、津市藤方2615─2に骨董品や古美術などを扱う「Antique Herman J(アンティーク・ヘルマンジェー)」を先月オープンさせた。
ブラジルで生まれ育ち、19歳の時に来日した小原さん。ファッションが大好きなこともあり、しばらくの間は宮城県仙台市で働きながら服をデザインをして、自身のブランドから販売なども行っていた。その後、縁があって三重県で暮らすことになり、現在は昼はとび職をしながら、昼間は妻に店番を任せ、夜から店頭に立っている。
仏像や般若の面など、日本ならではのデザインに惹かれ、気に入った品々をネットオークションなどで買い、コレクションしていたことが高じて同店をオープン。小原さんが自分のセンスで選んだお気に入りの古美術、骨董品、古道具、玩具などを販売している。価格は数千円からと手ごろな商品が多い。小原さんは「5月からは店舗内

送迎がひと段落したある日、県内の総合病院から一本の電話があった。
「急なのですが、明日東京へ患者さんの搬送をお願いできませんか」。 40代の女性。事故にて外傷があるため安静を保たねばならず、陸路での移動が必要なのだという。ドクターの指示では、看護師も添乗して容体の変化に備えねばならない。
長距離はこれまでも経験があるが、ストレッチャーの長時間移動は空間も限られているため、患者にできるだけ負担をかけずに行わねばならない。ともすれば途中、渋滞の可能性もあり、休憩場所などを綿密に計画する必要がある。万が一に備えて、痰の吸引器や酸素なども用意し、搬送を引き受けた。
翌日、病棟へ行き、再度看護師と道中の打ち合わせを行う。幸い、年齢が若いこともあり発語もしっかりしていて、移動に耐えられそうだ。車は常に換気し、防護と消毒を徹底する。
気象条件や道路コンディションも悪くない。途中、看護師がバイタル(脈拍、血圧、体温、酸素量など)をチェック。後部の座席で患者と何やら話す声がするが、こちらには聞こえない。それが、かえって少し運転に余裕を持つことができ、神経を集中させた。
時間経過と共に、水分補給と軽食、服薬などするよう指示を受けている。トイレは、ストレッチャー乗降の時間ロスを考えて、車中でオムツ交換することにした。さすがに同じ体勢は負傷した患者につらく、背中などもさすって軽減させている。
そのうち、第二東名の車窓から富士山が見え「きれいですよ。そこから見えますか」と告げると、こくりとうなずいた。「やっとここまで来た。でも、まだこれからが本番」。我々も患者も同じことを考えていたに違いない。気持ちを入れかえて運転に専念する。渋滞をクリアできた時は、ほっとした。
都内に入るまで幾度となく進路を変更し、搬送先の病院がやっと目に入った。さすがに患者にも疲労の感があったが、そのとき目に一筋の涙が流れ、安堵したのか微笑みを見せた。
搬送先病院に道中異常がなかったことなどを告げ、患者の早い回復を願う。5時間半、我々と一緒によく頑張ってくれた。「この仕事をやっているからこそ」…つくづく思いながら、帰路についた。(民間救急 はあと福祉タクシー代表)

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