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三重県では10月1日より、自転車運転者やその保護者、自転車を使った事業を行うものに、対人事故への賠償を備えた自転車保険への加入が義務付けられる。罰則規定はないが、他県では自転車の加害事故当事者で多額の損害賠償請求が発生しているため、運転者自身を守るためにも必要になっている。自動車保険の特約などで対応できる場合も多いので、義務化に向け、今一度保険の加入状況の確認が必要だ。
自転車保険加入の義務化が盛り込まれているのは、今年3月に施行された「三重県交通安全条例」。高齢化や注意を妨げる原因にもなるスマートフォンの普及など、自動車、歩行者、自転車各々の立場を取り巻く環境の変化もあり、改めてそれぞれの責務を明らかにし、県民一丸となった交通安全に取り組むことが定められている。施行から約半年の10月1日より自転車保険の義務化が始まる。対象は未成年を除く自転車運転者、未成年の自転車運転者の保護者、仕事で自転車を利用する事業者、レンタサイクルなど自転車の貸付業者。また、自転車を販売する業者は購入者が自転車保険に加入している事を確認する必要がある。
この背景には近年、自転車が起こした歩行者との人身事故で高額賠償を求められる事例が全国的に増えいるという事実がある。小学生や高校生が起こした事故でも9000万円以上の賠償が請求された判例もあり、自転車は「車両」で運転者に対して責任が強く求められる流れになっている。
その一端として、道路交通法改正によって自転車の危険行為15項目(信号無視、遮断踏切立ち入り、指定場所一時不停止など)に罰則が設けられている。三重県内でも2020年中に危険な運転が認められた運転者に警告指導票が約2200枚が交付されている。特に悪質な者には、刑事処分の対象となる可能性が出てしまう赤切符も数件交付された。自動車の運転免許制度のような青切符(減点制度)が無く、摘発されれば非常に重い処分になるも特徴。
三重県内の自転車事故の総数自体は減少傾向にあるが、自転車が人身事故の第一当事者(交通事故で過失が最も大きい者)の事故の件数は2020年中で86件。このうち、15歳以下が13件、16歳~19歳が30件で全体の約35%を占め、次いで70歳以上が18件で約21%。自動車の運転免許が取得できない若年層と、免許の返納などで自転車を利用する機会が増える高齢者で6割近くを占めている。公共交通機関が充実していることから、歩行者と自転車の総数が多い都会とは違い、自動車との接触事故が中心。歩行者との接触事故は少なく、幸い悲惨な事故で、大きな賠償が発生した事例はまだ起っていない。
今回の自転車保険の義務化が発表を受け、三重県生活部くらし・交通安全課に様々な質問が寄せられており、HP上でQ&Aもまとめている。
特に多いのは、個人はどのような保険に入れば良いのかという質問。
判例の賠償額から見て概ね1億円程度の補償が目安とされている。補償額次第だが年間保険料が1000円程度のものから様々な保険がある。
運転者もしくは未成年の運転者の保護者が自動車保険、火災保険、傷害保険のいずれかに加入していると、自転車保険に相当する補償が特約としてついている可能性があり、その場合は新たに加入しなくても問題ない。
高齢者の場合は要注意で年齢制限で新たに自転車保険に加入できない場合がある。そういった場合は、自転車屋でメンテンナスを受けた証として車体に補償が受けられるTSマーク付帯保険がおすすめ。期限は1年だが年に一度安全のため、点検を受けるついでに加入できるので手軽。
未加入でも罰則は無いが、不測の事態から自分を守るためという目的を忘れてはならない。義務化まで約一カ月。加入している保険の契約内容を確認しておくと安心だ。
質問は同課☎059・224・2410。
2021年8月26日 AM 5:00
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