新型コロナウイルス感染症拡大が続き、三重県にも政府の緊急事態宣言が発令されている。その影響で休業や失業に追い込まれた人達を対象とした生活福祉資金制度は受付期間や貸し付けの上限額が増額されている。その利用者が増え続けているだけでなく、悪化する経済の出口が見えないことからも生活が賄い切れず、生活保護をはじめとした福祉制度を利用する人も増えているなど厳しい状況が続く。

 

長期化するコロナ禍。現在は三重県にも緊急事態宣言が出されている中、外出自粛が続いており、特に大きなダメージを受けている飲食業や観光などのサービス従事者や、外国人を含む非正規労働者の雇止めも継続的に発生。生活あえぐ人達は増え続けている。
国は、コロナ禍で生活資金が不足する人を対象にした生活福祉資金制度として1世帯当たり20万円を上限に貸し付ける「緊急小口資金」と、1カ月最大20万円を貸し付ける「総合支援資金」の特例貸付制度を実施している。両資金とも無利子、保証人不要。問題の長期化に伴い、制度の受付期限が何度も延長され、現在は11月末まで受け付けている。それに伴い、総合支援資金は必要に応じて貸し付けが受けられる額が当初最大60万円(1カ月最大20万円、3カ月まで延長可)だったが、同様の貸付が2回増枠され、現在は最大180万円まで拡充された。両制度を合わせて最大200万円の貸付が受けられる。
国全体で見ると先月の時点で両制度で約270万件、1兆1300億円以上の貸し付けが行われている。三重県内の7月末利用状況の詳細は、緊急小口資金1万372件19億9637万円、総合支援資金は(初回・延長合わせ)5871件37億6877万7500円。再貸付1159件6億3263万円。両制度で計1万7402件計約64億円に及ぶ。
津市内で両貸付制度の受付をしている津市社会福祉協議会にも、制度開始から1年半が経った今も月150件~200件ほどの相談が寄せられている。ピーク時の昨夏は600件を超えていたが、その頃と比べ現在は制度が周知されているにも関わらず相談件数が減らないことを考えると、問題の深刻さがうかがえる。寄せられる相談内容にもそれが表れており、貸し付けを受けている人達による追加貸付についてだけでなく、最近になって生活に困窮した人達が新たに貸し付けを利用したいという内容も後を絶たない。これも緊急事態宣言でより冷え込む経済の影響で生活に困る人が増えている証拠と言えるだろう。
津市での両制度の利用状況は緊急小口資金1221件2億3559万円。総合支援資金は初回・延長859件5億4853万円。再貸付185件9935万円。計8億8147万円。
この制度が無利子で、経済状況による免除や返済の猶予などが検討されていても、貸付である以上、当然ながら返済の義務が生じる。支援の期間が延び、限度額は増えてきたが貸付を受けた額が増えれば増えるほど生活再建する際には重い負担になる。同社協の担当者も「生活に困っている人達を支援するための貸付制度として考えると、現状の限度額で限界にきていると感じる」と話す。
更に国は、両制度を限度額まで利用しても困窮している人を対象に最大30万円給付をする「新型コロナ生活困窮者自立支援金」の受付期限も8月末から11月末まで延長。受付を行っている津市援護課を介して8月末現在で39件の支給が行われている。
しかし、問題は長期化しており、これら制度で対応できない場合に、生活保護や生活困窮者自立支援制度に基づく福祉制度の利用を勧めるケースも増えているという。
市民へのワクチン接種は進んでいるものの、経済がいつ好転するのか不明で出口の見えない苦境が続いている。国の支援制度も限界が見え始めており、更に踏み込んだ方策を検討する必要性が地方の現状からも、浮き彫りになっているといえよう。
生活福祉資金制度に関する問い合わせは☎津246・1165へ。新型コロナ生活困窮者自立支援金及び、その他の福祉支制度に関する相談は津市援護課☎津229・3541へ。