津市榊原町で創業100年以上の歴史を持つ老舗温泉旅館「湯元榊原舘」では、伊勢神宮の参拝前に人々が温泉につかり、身を清めてきた地域の歴史と文化を発信しようと新たな取り組みをスタート。第一弾として、神宮の朔日参り前の湯ごりを応援するために月替わりの「晦日餅」や天然温泉水をペットボトル詰め「湯禊水」の販売を行う。

 

「湯禊水」を手に微笑む…前田社長(左)と岡本さん

「湯禊水」を手に微笑む…前田社長(左)と岡本さん

12種類の「晦日餅」(上段左が12月末販売で下段右が11月末販売) 9月末に販売される初回分は下段左から2つ目

12種類の「晦日餅」(上段左が12月末販売で下段右が11月末販売)
9月末に販売される初回分は下段左から2つ目

国内の温泉地の中でも特に長い歴史を持つ榊原温泉で、清少納言の枕草子の中でも称えられ、伊勢神宮参拝の前に身を清める湯ごりの地。現代でも、ぬめりのあるアルカリ性単純泉は、美人の湯として親しまれている。
今回の取り組みは、コロナ禍で観光産業が苦境に立たされる中、改めて榊原温泉や地域の魅力を歴史や文化を下地にしながら多くの人々に発信したいという榊原舘4代目社長の前田諭人さん(31)の思いが原点となっている。どうすれば、より多くの人達に気軽に榊原まで足を運んでもらえるのか、創意工夫を凝らし、第一弾として打ち出したのが今回の企画。
「晦日餅」は人気テレビ番組に出演するなど、活躍中の「夢菓子工房ことよ」=四日市市西日野=の岡本伸治さん(47)とのコラボで商品化。古くから毎月1日に伊勢神宮に参拝して1カ月の息災を祈る風習「朔日参り」にちなみ、参拝の前に湯ごりのため、榊原に立ち寄って欲しいという思いが込められている。
また、県内の参宮街道沿いには名物の餅が数多くあり、旅人達をもてなすという餅街道文化も意識している。
餅は月替わりで「祓」の意味を込めた12種類をデザイン。季節の植物や榊原の景色をモチーフにしており、中の餡の味も毎月変わる。販売は毎月最終日と1日。今月30日と10月1日に販売する初回は、紅葉に彩られた景色の中で禊ぎをする清流をイメージ、中は渋川栗餡。岡本さんは「餅のデザインと味で榊原の歴史と文化を表現した」と笑顔。1個450円(税込)、毎月80個限定。要予約で電話やショッピングサイトから購入可能。販売日には館内の喫茶十六夜でも、お茶とセットで食べられる。
「湯禊水」は美容や健康への効果が期待される泉水を500mlのペットボトルにつめた飲む湯ごり。口当たりも肌触りと同様、かすかなとろみがあり、なめらか。そのまま飲むだけでなく、コーヒーやお茶を入れるのにも最適。日持ちして持ち運びもし易いので、榊原温泉の泉質を知ってもらうツールとしての役割も期待している。1本200円。6本組を1000セット限定で税込1200円で榊原舘で販売。晦日・朔日に日帰り入浴すると1本もらえる(先着100名)。
また、毎月末に宿泊すると、チェックイン時に晦日餅を抹茶と共に提供し、湯禊水も一人一本進呈する。
前田社長は「どれだけ泉質が良くても来て頂かなければ伝わらない。気軽に足を運んで頂くきっかけになれば」と笑顔で語る。今後も様々な企画で、自社だけでなく榊原地域全体の魅力を全国に発信していくが、最初の一歩に期待が高まる。
問い合わせ・予約☎059・252・0206。