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2021年9月
遠方で帰省できない友人に頼まれてちょっとした用事をしてあげたら、経費を知らせてと言ってきた。わずかなこと請求もできないので、気にしないでと返事したら、菓子折りとともに定額小為替が送られてきた。
そういうものがあるのは知っていて、受験料や手数料支払いに使った経験はあるものの、受け取ったのは初めてである。
住所氏名を書いて郵便局へ持っていったら、無事に換金できた。千円。こういうお金の送り方があることをすっかり忘れていた。
お金を送る際に真っ先に思い出すのは現金書留で、使うこともある。コロナ禍で県外の親戚にお祝いを届けられなくて、現金書留にのし袋を入れて送付した。
買い物をしてもクレジットカードや電子マネー、QR決済と、ほとんど現金を扱わない暮らしをしているので、現金書留は新鮮な感じがした。
近頃は、商品券や図書券も電子マネー型ギフトカードやQRコードになってきている。ネットショッピングで使えるギフト券も便利だ。いずれは結婚式のご祝儀もスマホでQR決済キャッシュレスとなるだろうと、これは聞いた話である。
スマホで送金は簡単だが、さすがにご祝儀ともなると抵抗を感じる。お年玉もお盆玉も、ピッピッとするよりかわいい袋に入れて手渡したいと思う。面と向かって会えればの話だが。 (舞)
2021年9月9日 AM 4:55
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で今月と来月に開催予定だった三重国体と全国障害者体育大会の中止で打撃を受けた三重県内の宿泊事業者による「三重県旅館ホテル生活衛生同業組合」は8月31日、三重県庁を訪れ、鈴木英敬知事に経済支援などを求める要望書を提出した。
三重県内の200余りの旅館やホテルで構成する同組合は、組合員の施設を対象としたアンケート調査で、両大会の中止による損失を約15億円以上とした。更に政府の緊急事態宣言が発令された影響で宿泊客を確保できる見込みが立たず、窮地に立たされている。
鈴木知事へ提出した要望書の内容は次の4つ。
①宿泊業へのキャンセルに対する補償金制度の創設…国体出場者や関係者に確保していた宿泊枠のキャンセル補償②信用保証枠の拡大について…国体関係で予測していた9月の売り上げが消滅したことで、当面の資金繰りに逼迫する事業者が多いとみられるため、早急に三重県信用保証協会の保証枠の拡大を求める③緊急事態宣言等発出に伴う損失の補填…地方創生臨時交付金等を活用し、雇用や関連産業育成等の観点による宿泊業に対する補填と支援④ワクチンパスポートの活用…国のワクチン接種証明を活用した国内、海外からの誘客促進
要望書提出にあたり同組合の木村圭仁朗理事長は「9月の資金繰りが難しい事業者も多い」と窮状を訴えた。鈴木知事は「観光シーズンの秋に予約が入っていない状況も理解している」とした上で、補償については「満額は難しいが、宿泊とバスについてはなんらかの財政支援はきっちりと行いたい」とし、信用保証枠の拡大など、その他の要望についても前向きに検討していく意志を示した。
2021年9月9日 AM 4:55
香久山を越えてしばらく。国道165号の北側に香久山・畝傍山と共に大和三山と称される耳成山が見える。この山は、少しいびつな香久山と比べるととても美しい円錐形をしている。万葉集には中大兄皇子、後の天智天皇が大和三山を詠んだ歌がある。
香久山は 畝傍ををしと 耳梨と 相争ひき 神代より かくにあるらし古へも 然にあれこそ うつせみも 妻を 争ふらしき
要約すると、神代に香久山と耳成山は、愛しい畝傍山を巡って争った。だからこそ、今の世の中でも(人々は)妻を取り合って争うのだ。
といったところだろうか。
後世の人たちがこの歌を巡って様々な想像を巡らせ議論も交わされてきたが、ここではそれにはふれない。
私の率直な感想を述べると香久山と比べると耳成山は、ずいぶんと美形だ。人間に例えるなら均整の取れた肉体に甘いマスク。逆に整いすぎていることに違和感すら覚える。今の世間でも見目麗しい芸能人に対して、整形疑惑というものがかけられ、根も葉もない話が喧伝されるといったことは、そう珍しくもない。実はこの山にも、整形疑惑がかけられている。
正確には整形というより、この山が人の手でつくられたものではないかという疑惑である。そんな噂話が出た一つめの原因は、余りに山容が整いすぎていること。山裾の左右がほぼ対称で、いかにも山のお手本のような形。自然の産物であることを疑う人がいることにもうなづける。標高は140mで最も高い畝傍山(標高199m)、ライバルの香久山(152m)と近いサイズであることも、なんとも、おあつらえ向きに思える。
もう一つは大和三山の位置関係。畝傍山を頂点に耳成山と香久山を結ぶと藤原京をすっぽりと囲む綺麗な二等辺三角形が出来上がる。今でこそ、ほとんど聞かなくなったが、ひと昔前に流行ったピラミッドパワーをおぼえているだろうか。ピラミッド形の物体内部では、疲れが取れやすくなったり、食べ物が腐りにくくなるといった効果があると騒がれた。藤原京の配置も、三つの山が描く三角形から受ける呪術的な恩恵を考慮していたなどと意識し始めると、空想はどんどん膨らんでいく。
そういった話が積み重なって、耳成山が人工的に作られた山であるという説が古くから根強く存在している。完全に人工ではなく、とりわけ天然の山を古墳として改造した山であるという話は、文字通りの「整形疑惑」である。
ロマンは感じるものの、にわかには鵜呑みにしづらい話だが、私は強い否定も肯定もしたくないタイプの人間である。出鱈目を流布するつもりは毛頭ないが、歴史の余白を楽しむくらいの余裕は欲しい。古代ギリシアの詩人ホメロスの叙事詩イリアスに魅せられ、伝説の都市トロイアを発掘したハインリッヒ・シュリーマンのような先例もあるではないか。嘘を嘘と、実を実と決めつけることほど、真理の探究という至上命題からほど遠い考え方は無い。
私はもう一度、耳成山を一瞥し、再び目的地である大阪方面をめざして国道を歩き始めた。(本紙報道部長・麻生純矢)
2021年9月9日 AM 4:55