秋になって散歩が気持ち良い。田んぼの風を楽しみながら側溝沿いの道を歩く。
セイタカアワダチソウの黄色がきれいだ。ミゾソバの金平糖みたいなピンクの花もかわいい。センダングサの種がもうできていて、ひっつき虫で遊んでみる。ジュズダマの実も黒くなっている。
ジュズダマは昭和の少女たちの注目植物だった。ネックレスにしたり、お手玉に入れたり。秋の野でジュズダマを見つけると競って採ったものだった。
通っていた小学校の近くに池があって、そこにジュズダマが生えることは、ちょっとした秘密だった。熟した実は艶々と黒く美しい。学校帰りにスカートのポケットをジュズダマでいっぱいにする。毎日採って菓子箱一杯のジュズダマを集めた。
集めるだけで満足していたそのジュズダマを、夏休みの工作の材料にした。ジュズダマのれんを作成したのだ。針を使って木綿糸にジュズダマを通す。それを何本も棒に吊るして目隠しとなるほどの密度にする。
途方もなく長い時間がかかった。今なら難なくやり終えられることも、不器用で根気のない小学生には大仕事だ。夏休みの工作で記憶にあるのはジュズダマのれんのみ。それほど苦労したということだ。
側溝のジュズダマを採りたくなった。でも採ってどうする。のれんもネックレスも要らないし。(舞)