検索キーワード
2021年12月
前葉泰幸津市長新春インタビュー。昨年は新型コロナとの戦いが市政の最優先課題だったが、今年もワクチン3回目接種への状況、市民や企業への支援策など身近な関心事も多い。また、市政が大きく歪められた自治会問題の反省点と二度と同じ過ちを起こさないための改善策などについて聞いた。 (聞き手・本紙報道部長・麻生純矢)
─新年あけましておめでとうございます。最初は新型コロナウイルス対策です。昨年の市政はコロナ対策が最重要課題でした。ようやく感染拡大が収まり、街は徐々に落ち着きを取り戻している一方、オミクロン株の上陸などで予断を許さない状況も続いています。市民生活や経済活動に対する津市の支援策について教えてください。また、津市のワクチン接種状況や、接種券の発送が始まっている3回目のワクチン接種のスケジュールなどを教えてください。
市長 新年あけましておめでとうございます。昨年末12月24日に子育て世帯への10万円の一括振り込みをしました。政府の対応が二転三転しましたが、そもそも新学期に向けて振り込むのにクーポン発行は物理的に無理な話で、現場に即した対応を考えて欲しいとの想いはありました。
生活支援と地域経済への支援は今後も続けていく必要があります。生活支援は、広く市民に行き届くように現在、水道基本料金を4カ月無料化しています。これは昨年に続いて2回目ですが、コロナ禍が長引く中で、市民生活を支え続けていくことが行政最大の課題なので、時間と経費をかけず、市民への還元を考えて行っています。
経済界は状況に応じ、どんどん変わっていきます。特に厳しい状況に陥る業種も常々変わっていきます。緊急事態宣言が出された後、特に飲食や観光業界に厳しい状況が続いています。市としては、地域の状況に応じた対応が必要です。コロナ禍になって一年ほどの頃、経済界の方々に、どのような支援策が必要かとお尋ねしたところ、企業の大小を問わず、目新しいことより継続的かつシンプルで利用し易く即効性のある施策を求める声が多かったです。そうであれば、愚直に今まで「よかった」とか「助かった」と言われる支援金を再度やるなど、繰り返していくことが求められています。苦しい目の前の状況を乗り切って頂ければ、必ずトンネルの出口は見えるようになると信じて、対応は丁寧に、制度はシンプルという形でやっていきます。
ワクチンは昨年の1回目と2回目はワクチンの供給が滞ったり、打ち手の体制などの事情で個別や集団接種への予約を頂くなど細かな対応が必要でした。一方、3回目は接種から8カ月経った人にクーポン券が送られるので、ご予約して頂く形になります。これまでのように予約が殺到することはないと思います。ところが、ワクチン供給のアンバランスが問題となっています。令和4年3月までに接種を受ける人で、これまでファイザーを打った人が約8万人。この方々が全員ファイザーを希望すると5万1597回分しか供給がないので足りません。一方でモデルナは令和4年3月までの必要量が4500人にも関わらず、3万6750回分が供給されています。このままいくと交差接種をするか、ファイザー待ちが発生します。政府は接種後8カ月から6カ月に前倒しをしようとしていますが、そうなるとこれまでの最大接種回数である1カ月に約8万回を上回る約11万7400回もの接種を行わなければなりません。政府は最前線とのコミュニケーションが上手くいっていないというか、言っても伝わり難い状況になっています。3回目のワクチンも市の状況をかなり丁寧に国に伝える必要があると思っています。
全体としては接種率は85%と県平均よりも高い接種率なので、3回目以降もしっかり対応していきたいと思っています。
─続いて昨年の自治会問題です。元相生町自治会長の不当介入によって市政が大きく捻じ曲げられた結果、職員から逮捕者が出たり、コンプライアンス違反で多くの職員が処分されました。しかし、その裏側は市役所内で誰にも助けを求めることが出来ず、止むに止まれず巻き込まれてしまった職員も少なくないなど「善悪」の二元論だけで断じられない複雑な様相を呈していました。再発防止のため、市として取り組まれていく対策を改めて教えてください。
市長 市民の皆様にご心配をお掛けし、私自身が職員の行き過ぎた問題となる行為を止められなかったと、体制を十分に整えられなかったことを心より反省し、申し訳なかったと思います。
問題を振り返ると、特定の方や、地域の声を受け止める仕組みが古い体質のままだったと感じます。具体的には、人権担当理事や地域調整室は地域の窓口だったのですが昔、同和対策事業特別措置法があった頃は同和対策室長が部長級でした。このポジションは地域の課題を受け止め、地域改善事業や同和対策事業などを実施できる権限を持っていた。ところが、同和という言葉が地域改善に変わり、同和対策室長が人権担当理事となり、01年には特措法による同和対策事業は終了しました。そうなると頂いた課題を人権課では解決できなくなりました。権限のある他部署へ伝えて、その方向でやってほしいと地域側に寄り添わざるを得ないポジションになっていたのです。それがもたれ合い、馴れ合いや事なかれ主義につながっていたのだと思います。
だから昭和49年以来続いてきた組織体制を変えないといけないだろうと人権担当理事を廃止します。踏み込んだ話をすると、特定の地域だけ別の窓口で受けるのはやめようということです。4月からは自治会の窓口である地域連携課で全てお話を伺うことにします。ただそれは人権施策を遅らせたり、やめる話ではなく、人権課はしっかりと仕事をします。半世紀続いた組織体制を今回断ち切る機会にしたい。
不当要求に対する職員の対応や公正公平に職務が遂行されていない事実を見つけた時の公益通報の課題、要望は口頭や電話で行われることが多いので記録を残す体制の問題、更にそれが適正に運用されていくのかを監視する問題を、新しい条例で対応していきます。
条例最大のポイントは10条にあり、市政の透明性と組織の自浄作用の維持、公正公平な市政を遂行する統制の取れた組織体制の保持が掲げられています。自浄機能を維持するという文言を条例に盛り込むのは珍しいですが、止むに止まれず巻き込まれる職員を出さないために組織のシステムを整える必要があります。そのために職位が上の者が下の者をきっちりと掌握すると同時に、下から上、つまり現場から本庁や政策決定の部門に状況の報告が上がり易く、風通しの良い職場にしないと担当部署でそれを抱え込まざるを得なくなる。双方向にスムーズな意思疎通ができるような役所にしたいです。これがガバナンス。ここは私が行き届かなかったと反省しています。
最後は職員自身が変わらないといけない。職員の改革は、後ろ盾がきっちりしていれば、毅然たる態度で堂々と公正公平な市政を進め、職務を担えます。公務員は全体の奉仕者として宣誓をしているので、原点に返った時に、後ろめたいことがないか自分で常に身を律していく。そういう信頼される組織にしたい。
─最後に2022年の市政における「キーワード」をお願いします。
市長 2011年に市長となり、10年目と11年目はコロナ対策に集中しました。11年目の昨年は自治会問題で負を生産する年でした。12年目の今年は価値を加える「正の蓄積」の年にしたいです。どうやって蓄積するかというと、先述のコロナ対策や自治会問題への対策だけでなく、プラスになることをやっていきたい。
一番大きいのは街づくりです。大門と丸之内を例に挙げると、津センターパレスの津都ホテル跡に新しいホテルがオープンします。築36年が経過したセンターパレスという古いビルに新しい価値を加えて、新しいお客様をお呼びすることになる。それに従い、大門と丸之内も今までとは少し違うスタイルでお客さんを迎えられる街にしていかなければならない。
実は国土交通省都市局の調査が入っています。都市局の調査のゴールは都市計画。つまり、マスタープラン。用途地域を指定し直して、容積率を変えたり、ビルの建て方を令和にふさわしい形になるようにどういった規制がいいのかを含めて考えていきます。
10年前には大門や丸之内の方々が現状を変えないで欲しいという声があった。調査を始めるにあたって、地域の皆さんとも話をしましたが、変えましょうという雰囲気になってきました。
行政が無理矢理変えるぞ、というのではなく、地域が変えるぞというムードになってきていることは、一緒にどうやって変えようかという議論をすべき状況に来たと思っています。
いつ変えるかという話しになった場合、明日から変えたいが10軒中9軒あっても、1軒だけが嫌だと言っていると変えられない。しかし、その1軒に5年後、10年後という話をすると自ずと答えが出ると思います。
ある程度は時間軸をとって、5年後に10軒が足並みをそろえて何かをするとか、まとまって売却したり、地主のまま地上権を設定するなど、色々なことができます。次のマスタープランが令和10年スタートなので、今から議論をしていき、もしまとまれば前倒しにすればいいという気持ちで臨んでいきます。
津駅は道路局の調査なので事業がゴールです。あそこは国道23号直轄道路の付帯施設で津駅の東口ロータリーをより使い易くするために、街が変わるという流れ。
時を同じくして調査が入っているので、大門・丸之内と津駅前を中心に絵姿を描いていく。それによって価値が加わっていく「正の蓄積」を始めたい。10年間の市長経験が生きる仕事ができれば。10年前はできなかった大門・丸之内のことを今ならできるかもしれないし、国の事業を引っ張れるようになった。市民の皆さんに私の力を使って頂き、その結果をお届けする年にしたいです。
─今年が良き年になりますように。ありがとうございました。(了)
2021年12月31日 AM 5:00
12月2日、津市河芸町上野の円光寺で「伊勢の津七福神」の開創9周年記念法会が催された。
伊勢の津七福神は、津市内の霊験あらたかな7寺社が宗教・宗派の垣根を超えて連携した霊場めぐりで平成24年に開創。各々を七福神の一柱に見立てており、技芸上達の弁才天霊場の円光寺、無病息災の福禄寿霊場・結城神社=津市藤方=、五穀豊穣の大黒天霊場・四天王寺=栄町、必勝祈願の毘沙門天霊場・津観音=大門、延命長寿の寿老神霊場・高山神社=丸之内、商売繁盛の恵比須天霊場・初馬寺=栄町、子孫繁栄の布袋尊霊場・安楽寺=一志町波瀬。これまでの巡拝者は6500人を超える。
法会は同寺の本堂で各寺社の代表者によって神仏習合スタイルで執り行われたが、今年はコロナ禍で最低限の人数だけが参列した。
伊勢の津七福神友の会の西田久光会長は講話の中で、開創に尽力した四天王寺の前住職で令和3年の1月に逝去した倉島昌行師を偲び「人間は一期一会。人と人とのご縁を大切にしたい」と語った。
伊勢の津七福神霊場会会長で、円光寺の坂倉賢芳住職は「コロナに明けてコロナに暮れた年だった。令和4年は皆様方に大きな幸せが巡ってくるように祈っていく」と、明るく10周年を迎えられることを心より願った。
2021年12月31日 AM 4:55
久居ロータリークラブは11月30日と12月2日に、久居中学校=津市西鷹跡町=で、2年生を対象とした職業講話を開いた。
職業意識を育むキャリア教育に協力するため、様々な分野のプロとして活躍する会員たちが講師を務めている。
11月30日の講師は、介護サービスの淺野信二さん=㈱セントレア=、広告デザインの下里義治さん=㈲ミフジ印刷=、化学製品製造の山松健一さん=東和化工㈱=、医師の園田茂さん=藤田医科大学七栗記念病院=。
生徒たちは自分に興味のある分野の講師の話を教室と、別室でのオンラインで聴講した。
山松さんは、最も身近な自社製品として瓶に入れて薬品などの錠剤を保護するクリーンフィルムを紹介。製法を解説しながら「自社でつくった製品がスーパーやコンビニに並んでいるのをみると喜びを感じる」と仕事のやりがいを語った。
その他の講師たちも自分たちの得意分野を語り、生徒たちは将来の進路を思い描く参考としていた。
2021年12月31日 AM 4:55