ウォーキングの際にはなるべく歩道のある道を選んでいる。運転することもあるので、道路の歩行者が運転者のストレスとなることはよくわかっている。お互い事故は避けたい。
そうして選んでいる歩道であるが、歩道上のゴミが気になる。飲み物のカップやパンの袋が歩道の隅に転がっている。同じ道を通ると、同じゴミがいつまでも同じ位置にある。
誰もゴミを片付けないからそこにある。では私が片付けようと思うには時間がかかった。目立つのは恥ずかしい。ゴミを拾う姿を近所の人に見られたくない。良い人を演じているように思われるのではないかと心配になる。
それでもある日、レジ袋と火ばさみを手にウォーキングに出た。帽子を深くかぶってマスクしてうつむいてゴミを集める。怪しい人みたい。
ペットボトル、空き缶、マスク、吸い殻、ストロー、お菓子の袋。さまざまなものが落ちている。いつものウォーキングのコースを行くうちに、レジ袋が大きく膨らんだ。
その時、自転車でそばを通り抜けた中学生たちが「あっ、ゴミ拾いしている」と声をあげた。怪しむのではなく、肯定的に見てくれたようだ。声が明るい。
私も明るい気持ちになった。ゴミ拾いは恥ずかしくない。みんなが気持ちよくなることだ。歩道がきれいになって、私もこんなに嬉しい。   (舞)