昭和47年に行われた三重大学初の公開講座の受講生によって翌48年に創設された「都市環境ゼミナール」=伊藤達雄会長=が12月14日㈫14時~16時、三重大学地域イノベーション学研究科3階イノベーションホールで公開セミナー(12月例会)を開く。
講師は同大学特命副学長(環境・SDGs)で、初代WHO(世界保健機関)アジア・太平洋環境保健センター(WHOACE)所長の朴恵淑氏。テーマは「COP26(グラスゴー気候合意)報告~気候危機とカーボンニュートラル社会~」。
朴氏は、今年10月15日付けでWHOACEの初代所長に就任。先月13日まで英国グラスゴーで開かれたCOP26に出席している。
当日はCOP26報告に関するホットな内容と、気候変動対策として近年注目されるカーボンニュートラル社会について話を聴く。聴講希望の人は当日直接会場へ。
問い合わせは同ゼミ事務局☎059・231・6403へ。

橿原市忌部町

橿原市忌部町

11月11日9時頃。前回の行程で大阪府入りしていたのだが、国道のバイパスと本道を間違えたことが発覚したため、奈良県橿原市から再スタート。JR畝傍駅前の駐車場に車を停めて歩き始める。晩秋に差し掛かっていることもあり、ほほを撫でる風が冷たい。
前回道を間違えたのは、畝傍山の麓付近。道路標識の案内がバイパス「165号」と記されているのに対し、本道「166号」と重複路線を優先していたため、間違えてしまったという経緯である。今度は、しっかり本道へと入っていく。
バイパスの方は用地買収の都合もあり、農地が多いいわゆる郊外を歩く雰囲気だったのに対して本道の両側には色々な店舗が立ち並び町の顔が見える。国道をイチョウ並木が黄色く染め上げている。しばらく進むと道路標識に書かれた「忌部町」という地名が目に飛び込んでくる。物々しい名前と思う人も多いはずだが、本来忌むという漢字は穢れを忌む(避ける)という意味がある。古代の朝廷の祭祀を司った中央氏族・忌部氏発祥の地でもある。初代天皇・神武天皇が眠る畝傍山周辺は建国の地とも称され、かつて我が国の都があった地。国道上の何気ない道路標識一つとっても古代史と直結するのは大和のお国柄といえる。
橿原市を超えると大和高田市。この流れは、前回のバイパス沿いと同じ。そして、市街地を通るので街の色合いをより色濃く感じるのも同様。といっても、私たちが暮らすこの地域とそう大差のない地方都市らしいひなびた町並みが続く。でも、そこに暮らす人たちは全く違うし、息づく文化や風習も全く違う。耳を澄まし、目を凝らし、自分の感性や知識というフィルターで街の情報をこしとっていく。今時、インターネットで調べれば大抵の情報は手に入るが、百聞は一見に如かず。歴史や統計などの情報は手に入るが、街の匂いや雰囲気までは感じられない。「人生に行き詰った時は旅をするべき」という言葉を聞いたことあるが、正にその通りと思う。自分が普段認識している「世界」なんて、実際のスケールと比べれば酷くちっぽけだと気付くことができるからだ。自分の居場所は必ずどこかにあるし、自分を必要としてくれる人もどこかにいる。どんな賢人であろうが、言葉ではなく、心で理解するためには行動するしかない。その行動の最たるものこそが旅である。お金をかけた分だけ遠くに、そして日常とは異なる景色を見ることが出来るが、普段何気なく通っている国道を歩いて遡るだけでも、「世界」に対する認識を新たに出来る。
(本紙報道部長・麻生純矢)

講師を務めるたつみ都志さん

講師を務めるたつみ都志さん

「半泥子と千歳山の文化遺産を継承する会」と津文化協会が主催する「半泥子のワンダーランド千歳山荘」が12月9日㈭から15日㈬の9時~17時(最終日は16時、13日は休館)、県総合文化センター第1ギャラリーで開かれる。後援=津市、津市教委、三重大学、石水博物館ほか。入場無料。
大正昭和の茶陶の世界に、大きな変革をもたらした川喜田半泥子は、津の郊外、千歳山に構えた山荘で陶芸や書画、茶に打ち込み、通じ合う人との談論風発を愉しんで千歳山文化を開花させた。
今展では、半泥子が愛した千歳山の風光や千歳山荘の建築、関連資料を通して半泥子のワンダーランド千歳山荘の秘密と魅力に迫り、更に千歳山荘を活かした津の町づくりを考える。
会場では、半泥子ゆかりの作家が手がけたふすまや杉の扉、半泥子ブランドとして開発した産品などを展示。
半泥子の愛した茶室を再現した呈茶コーナー・県茶道協会企画(状況により中止もある)や、三重の美術家によるチャリティ美術展が行われる。
▼講演会
12月11日㈯13時半~(開場13時)、県総合文化センター多目的ホールで講演会を開催。テーマは「谷崎潤一郎の家、川喜田半泥子の家」。大正・昭和を生きた谷崎と半泥子、二人の営みと家に焦点を当てて、芸術家の家と作品の関係や、家を残すことの意義を考える。 ①三重大学名誉教授の菅原洋一さん。演題は「川喜田半泥子の家─千歳山荘」
②武庫川女子大学名誉教授で谷崎潤一郎記念館前副館長のたつみ都志さん。演題は「谷崎潤一郎の家─倚松庵(細雪の家)、鎖瀾閣(蓼食う虫の家)。
共に事前申込不要。先着順。会場ではマスク着用のこと。

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