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意気揚々と私は国道165号を進んでいくが、再びミスを犯す。国道の分岐点を見逃し、近鉄高田市駅方面に3㎞ほど進んでしまったのだ。時間にすると1時間ほどを費やしたが、急ぐ旅ではないし、それもまた巡り合わせ。
好機と捉え、駅のすぐ近くにある片塩商店街をぶらり散策。衣料品や食料品を販売する店や飲食店などが立ち並んでおり、行きかう地元の人々を眺める。更に地域の人たちから親しまれている石園座多久虫玉神社に道中の安全を祈ったりと決して無駄ではない時間を過ごす。おかげで、ここが源義経の愛人として名高い静御前の母の出身地であり、静御前が終焉を迎えた場所と言われていることなども知れた。
前回の行程では、郊外をただ通り過ぎただけなので、大和高田市の印象が大きく変わった。ほどよく田舎だけれど、生活に必要な商業施設などは一通り揃い、電車で大阪方面にも通勤や通学もしやすい。字面で認識していたこれら情報が実体を持ち、自分の心の深みへと沁み込んでいくのがわかる。まさに百聞は一見に如かずである。
間違えた国道の分岐点まで戻ると時間は12時前。どこまでいけるかは分からないが国道を北上していく。ここからは道幅も狭く、歩道もない区間が一気に増える。いわゆる3桁国道らしい情緒はむしろ好ましくすらあり、心が踊る。とはいえ、行きかう車を安全にやりすごしながら進むことになるので気は抜けない。ほどなく近鉄大阪線の踏切をわたり、北上を続けると法隆寺方面との分岐点。今度こそ、間違えずに西へと進む。
そろそろ昼食時なので、めぼしい飲食店を探すが地元でもよく見かけるチェーン店が多い。せっかくなら地元ならではの店で食事をしたいが、ここで欲張りすぎると結局、コンビニで間に合わせるという結果が目に見えているのがこれまでの教訓。温かいものが食べたいので、近くのラーメン屋に入ってチャーシューたっぷりのラーメンを注文。水を飲みながら、スマートフォンの地図アプリを開き、今日の目的地の大まかな目星をつける。目的地の第一条件は、歩ける範囲に帰りの電車に乗るための駅があること。幸いにもしばらくは国道と近鉄大阪線はほぼ並走しているので、その心配は必要なさそうだ。しかし、万全な状態の午前と比べると、疲労が蓄積してくる午後は思ったより距離を伸ばせないこともわかっている。ここから少し進むと香芝市で、その向こうは再び大阪府へ突入という流れだ。17時頃には日が暮れてしまうので自ずと行ける範囲は限られてくる。恐らく、柏原市の大阪教育大前駅もしくは河内国分寺駅のいずれかになるだろう。(本紙報道部長・麻生純矢)
2022年1月27日 AM 4:55
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