自慢をするつもりはないが、私の家事は手早い。掃除にしても料理にしても短時間で片付ける。半時間あれば三品四品の皿小鉢をテーブルに並べられる。家事の質についてはこの際言及を避けたいが。
私の子どもの頃の日曜日は家事のお手伝いと決まっていた。今どきそんな小中学生がいるだろうか。母は、「近所の〇〇ちゃんはこんなにちゃんと手伝いをする」と言うのが常で、女の子は学校の勉強より家事での評価の方が重要だった。そんな家庭があっただろうか。お手伝いはしつけだったのか、母が楽をしたかっただけなのか。
その頃、祖母がよく口にした言葉に、「遅いことは猫でもする」というのがあった。「猫の手も借りたい」という言葉もあるのに、「遅いことは猫でもする」とはどういうことかと思いながらも、私はしかたなく従っていた。仲が良いとは言えなかった嫁姑でも、女の子に家事をしつけることでは一致していたらしい。おかげで手早くはなった。
今朝も夫と並んで洗濯物を干していたら、夫が一枚干す間に三枚をきれいに干してしまった。すると、「どうしてそんなに早くする必要があるのか」と言われた。不要不急の暮らしなのに。
私はすかさず言い返した。「遅いことは猫でもする」祖母に教えられたその言葉が、身に沁みついてしまっている。      (舞)