2022年5月

平忠盛塚(平家発祥伝説地)は昭和14年に三重県指定史跡に指定

平忠盛塚(平家発祥伝説地)は昭和14年に三重県指定史跡に指定

郷土史講座「伊勢平氏と落人(「平維盛」)伝説」が6月30日㈭9時半から錫杖湖水荘で開かれる。参加者を募集している。
講師は、三重郷土会常任理事の浅生悦夫さん。
津市産品には平清盛の父忠盛が生まれた所といわれ、忠盛の胞衣塚や産湯をつかったという産湯池があって、伊勢平氏発祥地の伝説地として県指定史跡となっている。また芸濃町には平清盛の孫「平維盛」が源氏の追ってを逃れて生涯を終えたと伝えられる河内地内(平家落人の里)もある。今講演会では、平安時代末期に武家政権樹立を果たした平氏一族について、その動向と地域に残る背景などを探る。当日のスケジュールは、講演10時~12時、昼食12時~13時、成覚寺の見学13時~14時(希望者のみ)
参加費は1000円(昼食代含む)。定員50名(先着順・定員に達し次第締切)。
申し込みは☎059・266・2517芸濃総合支所地域振興課(担当・野島、稲垣さんへ)。

森林の荒廃が問題化する中、森林所有者による適切な森林管理と立地する市町村の責任を示した『森林経営管理制度』が4年目を迎えた。市域の58%が森林を占める津市では制度開始以来、市域にある森林所有者を対象とした調査や境界線明確化、間伐などをしている他、県内の市町で初めて所有者から委託を受けた森林を集積し、林業経営者に再委託を実施。今後も意欲的な取り組みで森林整備を進めていく。

 

森林経営管理制度は、林業の成長産業化と森林資源の適正管理が目的。森林は経済的な価値に加え、防災機能、水源涵養、景観形成、地球温暖化防止など多面的な役割を果たす。しかし、木材価格の低迷によって資産価値を失った森林の多くが放置され荒廃。同制度では、そういった問題に対し、森林所在地の市町村の責務が明確化されているのが特徴。
津市は市域の面積7万1119haの58%を占める4万1533haの森林を有している。このうち3万3551haが民有の人工林。その75%にあたる約2万5000haで適切な管理が行われていない。同制度では、そういった森林を対象とした事業などを行っていくが、その原資となるのが国の「森林環境譲与税」。毎年、市町村に私有林人工林面積、人口、林業就業者数に応じた金額が分配される。それを森林整備、木材利用、人材育成と普及啓発という3つの目的に応じて、それぞれの裁量で必要な事業を行うことができる。令和元年度から譲与が始まり、令和6年度に満額が支給されるが、市町村によって取り組みに大きな差が出ている。上手く活用できず、余剰金を基金として積み立て続けている自治体も少なくないが、津市では意欲的に事業を行っている。令和2年度の同税の活用割合(譲与総額から基金に積み立てた額を除いた事業費の割合)は全国平均48%に対して、三重県は54・2%で全都道府県で13位。津市はというと、92・4%と更に高水準。同年度の譲与額約1億800万円から約1億円を費やし、事業の根幹を支える森林整備を進めている。
津市の具体的な取り組みを紹介すると、まず森林の適切な経営管理に取り組む前段階として、森林所有者を対象に、自己管理を行うのか、市への管理委託を希望するのかを確認する「経営意向調査」を実施。現在までに芸濃地域、美杉地域、白山地域の一部と一志地域の森林所有者1万2532名(約6万5000筆)に調査票を発送。うち回答ありが56%6944名。そのうち約7割が市への管理委託を希望している。所有者の中には調査票を受け取って初めて自分が森林を所有していることを知ったというケースも珍しくない。一方、4割強はまだ所有者との連絡が取れていない状態でその中で最も多いのが未回答の28%3550名。単純に回答し忘れている人も多いため、再度葉書を送ると反応をもらえるケースも少なくないという。次いで、宛先不明が8%の1050名。これについては、固定資産税情報や登記簿で調査する非常に地道な作業で所有者を特定。その結果、判明した所有者への発送準備中が5%566名、逆に3%422名の森林所有者が所在不明と分かった。
次のステップは森林現況調査と境界の明確化。回答を得られた森林の木の生育状況や密度などの森林現況調査を行った上で、隣接地の所有者全て立ち合いのもと、境界の明確化を実施。現在までに芸濃町河内地内で約283haが完了。今年度は美杉地域でも行う。
森林現況調査と境界明確が行われた後、市への委託条件が整った森林に対して所有者の同意を得た上で、経営管理権集積計画を作成。現在までに約170ha分を完了。ここで林業経営に適さないと判断された森林に関しては、15年の管理契約を結び、その間に市が1回間伐をする。現在までに市有林が中心ではあるが、芸濃町河内地内と美杉町太郎生地内で計約128haの間伐が実施された。
一方、林業経営に適する森林と判断された場合は「経営管理実施権配分計画」を作成。県の認定を受けた「意欲と能力のある林業経営者」へ再委託が行われる。津市では芸濃町河内地内約10 haで同計画を作成し、県内で初めて林業経営体への再委託が確定している。ここに至るまで、非常に丁寧な所有者との調整や林業経営体の協力が不可欠。津市の真摯な取り組みの賜物でもあり、他の市町村の規範となり得る快挙といえるだろう。
今年度は白山地域の一部、久居地域の一部、美里地域(計9363ha)で意向調査を実施。7月から順次所有者の下へ調査票が送られる予定。そして、令和5年度までに市内全域の森林で意向調査を実施。譲与額が満額となる翌令和6年を、ある程度基盤が整った状態で迎えられることもあり森林整備の規模を拡大していくとしている。
市町村の裁量が大きい分、取り組みに差が出やすい森林経営管理制度だが、広大な森林を有する津市が本腰を入れて事業に取り組む姿勢を見せていることは森林所有者が自己管理、市への委託のいずれを選ぶにしても安心感に繋がる。
制度の担当部署である林業振興室では意向調査の対象地域で相談会を開くほか、随時相談を受け付けている。特に、調査票が届いていたが、未回答のまま放置している人は期限切れでも構わないので一度同室へ連絡を。
問い合わせ津市林業振興室☎059・262・7025。

三重県内の医師・歯科医師約1800名でつくる三重県保険医協会(津市観音寺町)は5月17日、「今般の後発医薬品の供給不足問題を国民が正しく理解するために、国の責任で国民への広報啓発活動を強化すること」とする要望書を、内閣総理大臣、厚生労働大臣、地元選出国会議員に提出した。
2020年に発覚した小林化工・日医工などの不祥事の影響を受け、後発医薬品(ジェネリック医薬品=先発医薬品の特許が切れた後に発売された医薬品)等の供給が制限され、出荷調整によって購入も代替えも困難な状況が続いている。
同協会は、昨年12月に医科会員と県内病院を対象に「後発医薬品の供給不足による診療への影響」を行い、その調査結果をもとに「安全性が確保された医薬品の安定供給に係る要望書」を今年1月13日に前述の各大臣・議員に提出している。
今回は、後発医薬品の供給不足による処方への影響について調剤薬局での実態も把握するため、三重県薬剤師会会員の薬剤師を対象に調査した。 結果、「処方に影響が出ている(かなり出ている・やや影響がある)」が99%。
後発医薬品の品質、供給体制などについて、これまでの国の管理・指導は適切だったと思うかどかについては、69%が「適切ではなかった」と回答。さらに、今後も後発医薬品の使用促進政策を進めるべきか、という質問には「進めるべき」が32%、「進めるべきではない」が18%、「どちらでもない」が22%、「分からない」が15%だった。
これらを踏まえ、同協会では、後発医薬品の供給問題に伴い、直接患者に薬を提供する医療機関や調剤薬局の業務に負担がかからないよう、国の責任で国民に正しい情報が発信される対策が必要と判断した。

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