2022年5月

4月より不妊治療の公的保険適用が拡大しているが、津市でも三重県の助成制度を活用した特定不妊治療費補助制度を始めるため、6月の市議会に補正予算案を提出する。第二子以降の胚移植に伴う費用助成の回数追加と、先進医療で発生する費用の助成を行う。ライフスタイルの変化に伴う晩婚化が進むにつれ、不妊治療を行う夫婦も増えているが重い経済的負担を和らげることは有効な少子化対策といえる。

 

今回の案で津市が利用するのは三重県の助成制度。これは不妊治療の保険適用に伴い、同保険制度を補う助成を実施する市町の費用の2分の1を補助するというもの。
不妊治療は保険適用されたものの、受精卵を培養した胚を胎内に移植する「胚移植」は一子あたりで40歳未満は6回まで、40歳以上43歳未満は3回までの回数制限が設けられている。
津市が行う助成事業の内容は2つ。1つ目は第二子以降に前述の保険適用回数を超えた場合に助成を行うというもの。具体的には保険と違い、一子毎のリセットは無く通算8回まで。採卵から胚移植を行う場合は一回につき30万円の助成。胚移植のみの場合は1回17万5千円の助成を行う。
もう一つは保険診療と組み合わせて実施できる保険適用外の先進医療への助成。助成は治療費の70%で上限5万円。胚の培養の精度を高めるタイムラプス、不妊の原因にもなる子宮内細菌の状態を検査するEММA・ALICEなどが対象。
事業の対象は今年4月1日以降に開始した治療。治療開始時点で法的な夫婦または事実婚の夫婦。夫婦の一方、もしくは双方が津市の住民基本台帳に記載されている人。市はこれら事業903万円の補正予算案を提出。380件の助成を想定している。
近年では晩婚化が進んだこともあり、不妊治療は非常に身近になった。市内の不妊治療を行っている病院の待合室には、多くの人たちが訪れ、時に診察室から涙を浮かべながら出てくる女性の姿も見かける。そういった苦しい治療には、精神、肉体だけでなく、重い経済的な負担がつきもの。それを理由に、我が子に恵まれないまま治療を断念してしまう夫婦もそう珍しくはない。今回の助成制度案は経済的な負担を和らげるという観点から、有効な少子化対策といえる。
ただし、不妊治療で第一子を得た夫婦は前述の苦労を味わっていることも多い。積極的に第二子以降の不妊治療に取り組むケースはそれほど多くないとみられる。

そういった観点から考えると、第二子以降に絞った胚移植の助成の効果は限定的になる可能性は否めない。
今回の議案が6月の市議会で可決され助成制度がスタートしたとしても、それとは別に、待望の第一子を経済的な理由で諦めざるを得ない夫婦が少しでも減るような方策も、新たに検討していくべきだろう。
少子化対策は、市政の未来を考えていく上で避けては通れない重要課題のひとつ。津市の未来を見据え、よりきめ細やかな取組みが広がっていくことにも期待したい。

幻想的な光りを放つヤコウタケ

幻想的な光りを放つヤコウタケ

㈱シエン(本社・津市。隅谷利光代表取締役、以下シエン)は、きのこへの関心を高めてもらおうと、「光るきのこ!ヤコウタケ栽培キット」(製造・㈱岩出菌学研究所)を販売している。
ヤコウタケは、小笠原諸島、伊豆大島の八丈島に自生し、降水量の多い5月~6月に緑色に発光することで知られる。
栽培キットは、自然発光する珍しいきのこを自宅でセッティングして栽培することで、きのこの成長過程を観察してもらい、きのこへの関心を高めるのが目的。
具体的には、付属の容器に種菌を仕込み、温度と湿度を管理することで、2週間~4週間で成長し、美しい緑色に2日~3日間光るという(観賞用のきのこのため食べられない)。環境により成長が遅い場合や発生しない場合がある。
キット内容は=種菌、腐葉土(保湿用)、スポイト、栽培容器、栽培説明書。
価格は税込2970円。同社店頭(津市末広町1の11)で販売。販売時間は平日(月~金)9時~12時、13時~17時。
問い合わせはシエンへ☎059・213・0404。メール kinoko@iwade101.com

《 夜の一力 》  1919(大正8)年

《 夜の一力 》 1919(大正8)年

三重県立美術館で開館40周年記念第1弾となる「宇田荻邨展」が開かれている。6月19日迄。
松阪市生まれの荻邨(1896─1980)は京都画壇を代表する日本画家として活躍。流麗な線描と明るく爽やかな色彩で描き出される格調高い荻邨の京洛風景は、今もなお人々を魅了してやまない。
松阪第一尋常高等小学校(現・松阪市立第一小学校)時代から非凡な才能を示していた荻邨は、伊勢の画家・中村左洲に手ほどきを受けた後、1913(大正2)年に17歳で上洛。京都画壇の菊池芳文、芳文没後はその養子である契月に師事して研鑽を積み、1919(大正8)年の第1回帝展に《夜の一力》が初入選を果たす。以降、帝展・新文展・日展・京展などを舞台に活躍を続け、近代の日本画界に確固たる地位を築いた。
展覧会では、初期から晩年までの代表作に、思考の跡をたどることのできる下絵や写生帖、さらに郷里・松阪との繫がりを感じさせる作品などを加え、65年に及ぶ荻邨の画業を紹介。観覧料は、一般1000円、学生800円、高校生以下無料。月曜休館。開館9時半~17時(入館は16時半)。

本紙読者5組10名様に今展覧会のチケットをプレゼント。ご希望の方は、〒・住所・氏名・年齢をご記入の上、〒514の0028、津市東丸之内26の12、MECビル3階、三重ふるさと新聞「美術館」係までご応募下さい。締切は5月19日必着㈭。当選はチケットの発送をもって代えさせて頂きます。

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