大阪北部地震で児童が倒壊したブロック塀の下敷きになって死亡した凄惨な事故から4年が経過。津市でも事故を契機に「ブロック塀等撤去改修事業補助金」で、条件を満たすブロック塀の撤去を年間60~70件ペースで補助している。しかし、市内には老朽化したブロック塀もまだまだ見受けられ、空き家問題とも密接な関係にあることから今後も増加が予想される。対策には市民の当事者意識も求められる。

ブロック塀_表_OL ブロック塀は、宅地開発が盛んだった高度経済成長期頃に、数多く建てられた。しかし、当時から地震などによる倒壊の危険性は認識されており、昭和56年に建築基準法が改正され、設置基準が強化されたという歴史がある。しかし、塀の多くは建築から長い期間が経過しており、老朽化も目立つようになった。
そんな背景の中で近年、全国各地で大地震が発生する毎に、ブロック塀の倒壊が発生。瓦礫で死傷者が発生する危険性があるだけでなく、道路が塞がれて避難がしづらくなったり、緊急車両が通行できなくなる恐れがあることなど、防災上のリスクが認知されつつあった。そんな中、2018年6月に発生した大阪北部地震で小学校のブロック塀の倒壊に巻き込まれた児童の死亡事故を契機に、全国で見直しが進んでいる。
その流れの中、津市も「ブロック塀等撤去改修事業補助金」をつくり、市内の道路に面した高さ1m以上かつブロック2段積み以上のブロック塀などを撤去する工事と、撤去後にフェンス等を設置する工事費の補助を行っている。補助額は塀の撤去及びフェンスの設置にかかる費用と、撤去及び設置する塀及びフェンスの長さ×1万円のどちらか少ない額の2分の1。撤去と設置それぞれ上限10万円の補助が受けられる。今年3月31日現在で211件約2289万円の補助が行われており、内訳は令和元年度73件、令和2年度71件、令和3年度61件。また、市の建築指導課が行っているパトロールで、倒壊の危険性がある塀を発見し、持ち主に改善を呼びかけることもある。
一方、補助金の利用は外構のリフォームに合わせて利用されるケースが中心。災害に対する備えにまとまった出費をするのは二の足を踏むケースも多く、大地震などで倒壊する可能性のあるブロック塀はまだ残っているという現実もある。しかし、倒壊して通行人を死傷させてしまった場合は所有者の責任が問われることもあるため、適正な管理は不可欠。国交省は管理に必要なチェック項目(別表)を発表しているので確認が必要だ。
また、ブロック塀の問題は深刻化している空き家問題とも密接にリンクしているため、今後も増加する可能性は高い。塀も個人の資産である以上、行政の対策だけでは限界があるので、所有者一人ひとりが当事者意識を持って管理を続けていく姿勢も求められる。
補助金の問い合わせは建築指導課☎059・229・3187へ。