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7月26日、国連世界観光機関の駐日事務所を訪ねた。新たに赴任した副代表と、刷新された新メンバーへのご挨拶が目的である。同行者は松阪歴史文化舎と三重ふるさと新聞だ。コロナ禍以前は2~3カ月に一度ぐらいの割で訪問していたのだが、長引くパンデミックの影響で、インバウンドと共に疎遠となっていた。実に二年ぶりの訪問である。
とはいえ、前日7月25日のニュースによると、三重では新たに1660人の新型コロナ感染が発表され(重症者はゼロなのに、病床使用率は42・6%)、また、奈良においても2134人の感染が発表されている(重症者は10人で、病床使用率は43%)。したがって、行程と参加者は接触者の追跡が容易な必要最小限のものとなった。コロナウイルス感染は、日本においては健康被害よりも社会生活に被害をもたらすからだ。ウイルスが弱毒化しても、厳格な指定感染症法に愚直に縛られたままだからである。
奈良公園では子連れの鹿は目立つものの、観光客の姿はまばらだった。外国人グループもゼロだ。路駐の観光バスもなく商店街も空いているようだった。国連世界観光機関APTECや奈良市観光協会がオフィスを構えるシルキア奈良も火曜日だからか静かである。
国連世界観光機関のオフィスでは、副代表を含む四人の新メンバーと旧知の国際部プロジェクトコーディネーターとお会いした。私は自作の2021年の年次グラフで国際収支の分析を紹介し、国際ツーリズムも貿易であるという国際的コモンセンスについて一時間ほど話した。21世紀の外貨獲得産業は国際ツーリズムだからである。
松阪歴史文化舎は、近代日本のルーツとして、豪商を育んだ松阪の位置付けを話した。三重ふるさと新聞は、高田本山専修寺と復元運動の高まる津城の活用を紹介した。奈良と三重は、紀伊半島歴代文化観光圏として外国人に訴求できるポテンシャルを有しているが、隣接県なのに所属する経済圏が異なる為、メインメディアによる情報疎通が少ないからである。
国連世界観光機関から12月に開催予定である「ガストロノミー・ツーリズム」の国際シンポジウムへのお誘いと、休刊中の「インターナショナル・ツーリズム・ハイライト2021」が、「2022」との合併号としてリリースされるとの情報を得た。ツーリズム・ハイライトは、世界のツーリズム情勢を数字で知る貴重な道しるべである。これにより2018~2019年の我が国の国際観光収入が、中国を抜いて極東エリアで最も高かったことが分かる。
4月から、私は売却譲渡された鳥羽のホテルの再生に挑んでいるが、MICEを目標に据え、ホテルの平面図も携えてきた。先方からは「世界観光倫理憲章および関連文書」「責任ある旅行者になるためのヒント」「ガストロノミーツーリズム発展のためのガイドライン」そして「ディスティネーション・ブランディング・ハンドブックの要旨」を頂戴した。前者二冊は既刊だが、後者二冊はコロナ禍に訳出されたものである。「ガストロノミーツーリズム発展のためのガイドライン」は、政府、自治体、DMO、その他の利害関係者に、地域のガストロノミーツーリズム開発の企画と運営において、考慮すべき事項や取るべき行動について示し、また、「デスティネーションブランディングハンドブックの概要」には、ブランド管理戦略を使用したブランディング・プロセスのステップ・バイ・ステップガイドが記載されている。井の中の蛙に陥らない為にも、世界の事例を知ることは重要である。
皆様ありがとうございました。
ところで、28日から奈良では全国知事会議が始まった。感染が急拡大する中、社会経済活動を維持するため、新型コロナの感染症法上の扱いを季節性のインフルエンザと同じ扱いに見直すことも含め、これまでの対策を転換すべきとの意見が相次いだ。
神奈川県知事は「いつまでも『2類相当』では実態とあわず、社会経済活動が止まってしまう」と、季節性のインフルエンザと同じ「5類」に見直すべきだと訴える。北海道知事は「オミクロン株は99%が軽症であることを踏まえ、議論を進めていくことが重要だ」と指摘。千葉県知事は「感染者の『全数把握』は見直しの必要がある。負担を軽減するため『定点把握』に移行すべきだ」と述べている。当然だ。
(OHMSS《大宇陀・東紀州・松阪圏・サイト・シーイング・サポート代表》)
2022年8月11日 AM 4:55
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