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あっと思った時にはハサミが突き刺さっていた。頑丈にテープが貼られた段ボール箱を開けようとした時のこと。二重に貼られたテープはハサミを当てても固くて、力いっぱい押したらするっと滑り、その先に左手の人差し指があった。
みるみる血が噴き出してぼたぼたと落ちた。痛さよりも驚きで、自分の指を眺めた。深く刺してしまった。こんなけがをしたのは久しぶりだ。傷口を水で洗ってティッシュで抑え、その上からゴム手袋をはめて縛り止血した。
ゴム手袋が透けて真っ赤になったティッシュが見える。でもしばらくしたら血は止まった。止血用のゴム紐を緩め、ティッシュを替えて手袋のまま半日を過ごした。左手でも指のけがは不自由だ。料理にも掃除にも左手を使っていたことが分かる。
ゴム手袋を絆創膏に替えて三日で外した。触っても出血する様子はない。傷痕はくっきりとあるものの、痛みはほぼ去った。
皮膚が伸びて傷口を塞ぐ。一週間経った今、化膿してないし、押さえても痛くない。何の薬も使わなかったのに、自然に治った。それが不思議でもあり、見事でもあると思う。
医療が今ほど整わない頃でも、人は病気もけがも乗り越えて命をつないできた。身体や心が傷ついた時、自身で治して行く力が人にはある。生き物の持つ治す力は素晴らしいと思う。 (舞)
2022年8月11日 AM 4:55
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