珠玉の映画「紀子3部作」の第2弾「麥秋」

珠玉の映画「紀子3部作」の第2弾「麥秋」

映画上映などを通じて、津市と縁の深い映画監督、小津安二郎を顕彰する「彼岸花映画祭in津」の第8回が9月23日(金・祝)13時~(開場12時半)、三重大学山翠ホールで開かれる。主催=同映画祭実行委員会、共催=津市・三重大学、後援=中日新聞社、㈱ZTV、本紙、ほか。
小津安二郎は、日本を代表する映画監督。「世界のOZU」として20世紀の文化芸術分野における世界最高峰の一人として認められている。普遍的テーマである「家族」を見つめ続け、家族こそが人間とその生活の原点であることを、映画を通じて訴えている。
中でも『東京物語』(1953年)は2012年、英国Sight&Sound誌で世界の監督が選ぶ映画の第1位に輝いた。小津の世界的評価は、没後に長い時間をかけて高まっていき、生誕110年の2013年には世界三大映画祭(カンヌ、ヴェネチア、ベルリン)で小津作品が上映されるという快挙も成し遂げた。
1903年12月東京で生まれた小津は、9歳の時に父の故郷である三重県松阪へ転居し、旧制宇治山田中学を卒業後、飯高町の宮前小学校で一年間、代用教員をしてから松竹蒲田撮影所へ入社している。小津の母も祖母も生粋の「津」の人で、津は小津の映画表現の根本にかかわる美意識を育てたところと言える。
今回の第3部で上映する作品は「麥秋」(ばくしゅう)=1951年モノクロ124分。出演は原節子、笠智衆、三宅邦子ほか。
同作品は、小津の監督作品において、原節子が「紀子」という名の役(同一人物ではない)を3作品にわたって演じた、いわゆる「紀子三部作」の2本目にあたる作品。1949年の『晩春』に引き続き、父と娘の関係や娘の結婚問題を主なテーマにしているが、本作ではそれがより多彩な人間関係の中で展開されており、北鎌倉に住む三世代家族の姿から、戦後の日本人のあり方を温かなタッチで描いている。原節子は28歳独身の家族思いの女性を好演している。第6回文化庁芸術祭賞受賞作品。
そのほか、◆第1部(13時~)は、ピアノ・兼重直文さん、ヴァイオリン・内山優子さんによる「映画を彩る作曲家たち~ベートーヴェンとシューベルト~」。◆第2部(14時半~)は映画解説「麦穂の余情」。
入場無料。チケット不要。
問い合わせは事務局☎090・3389・1454ヘ。