

検索キーワード




新型コロナウィルス感染症の第7波によって三重県の陽性者数や自宅療養者数も過去最多が更新される中で台風や集中豪雨などの災害シーズンが到来。津市内でも連日、陽性者や濃厚接触者が増えているが、災害発生時には、避難と感染防止の両立が大きな課題となる。被災した場合に備え、個々の事前準備が重要になるが、陽性者や濃厚接触者はどのように避難すべきか注意点をまとめた。
新型コロナ第7波の勢いはとどまることを知らず、8月18日の1日当たりの陽性者数は4642人、翌19日には自宅療養者の数は2万8335人と共に過去最多で予断を許さない状況が続く。また、陽性者の周囲には自宅待機が求められる濃厚接触者が多数存在している。そんな中で台風や集中豪雨シーズンを迎えた現在、全国で大きな課題となっているのが、感染防止対策をしながらの、陽性者や濃厚接触者の避難の両立についてだ。
災害対策を考える上で最も大切なのが事前準備。避難といえば、学校などの指定避難所に行くことだけをイメージするが実際には違う。行政がつくった洪水や土砂災害などのハザードマップを確認し、自宅が安全を確保できる位置にあるかを確認。安全な場合は食料や日用品を備蓄し、自宅にいることが避難に相当する。また、2階以上に上がる場合、想定最大浸水深を上回れるのであれば、垂直避難も非常に有効な避難となる。行動制限が求められる陽性者や濃厚接触者については、感染予防の観点からも、これが最も有効な避難となる。ホテルや旅館、安全な場所にある親戚・知人宅への避難も有効だが、陽性者や濃厚接触者の利用は難しい。自宅の安全が確保できない可能性がある場合、指定避難所に避難することになるが、注意点がある。
津市内には計172カ所の指定避難所があり、河川の水位が一定の域を超えるなどの基準を満たした場合に開設される。津市は感染防止対策を含めた避難所開設マニュアルも整備しているが、コロナ禍になって以降、幸い大きな災害が発生していないため、避難所の開設は一度もない。
自宅での安全が担保されない地域に住む陽性者の避難については、症状の軽重に関係なく、基本的には宿泊療養施設への避難が求められる。手続きとしては、管内の保健所に連絡すると三重県が施設を手配してくれるので、自力で避難するという流れ。しかし、津市内には宿泊療養施設は無いため、近くても鈴鹿市や松阪市まで移動する必要がある。台風などある程度、予測ができる災害に対して早めの対応は可能だが、ゲリラ豪雨などは事前予測が難しく、一瞬の判断が生死を分ける可能性もある。令和2年に内閣府が都道府県や保健所設置市・特別区に向けた(ネット上でも閲覧可)「避難所における新型コロナウイルス感染症Q&A」には「近隣の宿泊療養施設へ避難ができない場合、まず避難所に避難し、避難先が決まるまで待機してもらうことが考えれる」「災害時には電話の殺到や停電による通信障害の発生も予想される」といった想定が記されている。
これに対して、県は、自力で宿泊療養施設に避難できない人の移送も考慮する一方で、災害発生時に全員に行き届いた対応が難しい可能性があることも認識。ここで生じる〝空白〟への対策は市町に協力を求めるしかできないのが実情という。
津市では、濃厚接触者も指定避難所へ非難する場合は、保健所か市担当部署への事前連絡を求めているものの、「非常時には躊躇わず、陽性者も濃厚接触者も指定避難所へ避難してほしい」と生命を守ることを最優先にした行動を呼びかける。指定避難所に避難した後は、前述のマニュアルに従い、それぞれ一般避難者との隔離といった適切な対応を行う。陽性者については先述の通り、市が県と調整を行い、宿泊療養施設の手配を行う。
感染症予防の権限は県にあり、感染者や濃厚接触者の住所を事前に把握できないのが市の泣き所となっている。県と災害リスクの高い地域の情報共有はしているものの、万全の対策は難しい。
ただし、繰り返しになるが災害対策は個々の事前準備が大切。リスクの高い地域に住む人は、自分が陽性者や濃厚接触者になった場合には、どうするべきかを予め把握することも重要といえる。
災害時の宿泊療養施設などの相談は、津保健所新型コロナ受診・相談センター9時~21時☎059・223・5345。21時~9時☎059・229・1199。
指定避難所などの相談は津市防災室☎059・229・3104。
2022年8月25日 AM 4:55
<< 第8回・彼岸花映画祭in津 小津監督「麥秋」上映 9月23日 三重大学山翠ホールで 「掘出工房わたせい」松阪店で1時間だけ 福祉施設の貸し切りに 29日・買物サポートプロジェクト >>