法話を行う新堀さん

法話を行う新堀さん

9月10日、津市中河原の真宗高田派・乙部山潮音寺で「秋の永代経法要」と「法話」が行われた。
法要は村上英俊住職が厳かに執り行った。その後、浄土真宗本願寺派・善照寺衆徒、新堀慈心さんの法話が行われた。
新堀さんは、京都府城陽市にある(一財)本願寺ビハーラ医療福祉会が運営する「あそかビハーラ病院」に看護師として動務。余命3カ月未満と診断された末期がん患者を中心に緩和ケアを行っている病院での日々を語った。
新堀さんは、人々の死を看取りたいという気持ちで看護師になり、十年ほど前に同院で働くこととなった。同院にはビハーラ僧(常駐僧侶)がおり、医療だけでは届かない患者の抱える葛藤など心の痛みなどに対するケアを行っている光景を目の当たりにする。日本では、家族の死に目に会えないことを良くないと広く考えられているが「家族の死に目に会えない事が悪くて、会える方が良いという事に疑問を感じるようになった」と語り、「それよりは元気な時に会っておくことの方が大切」と死にゆく側も、送る側も、そして病院で働く者も〝良い死〟という概念にとらわれ過ぎているのではないかという自分なりの考えに辿り着いた。それを僧侶に相談したところ「どんな死に方をしても、仏から見れば平等」と言われて納得したことなど、自らの経験を通じ、医療の現場で生きる仏教の教えを紹介した。