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2022年11月
18団体で構成する「津郷土芸能連絡協議会」の創立20周年を祝う記念式典と祝賀会が12日、津市センターパレスホールで開かれ、地元選出の県会議員、市会議員ほか来賓多数と関係者の175名が参加。20年の節目に歴史ある津の郷土芸能を更に充実させ、魅力ある活動の継続と次世代育成に取り組むことを誓うと共に、晴の日を皆で祝った。
同協議会は津市の郷土芸能の歴史や魅力を伝えることを目的に2003年に10団体で発足。その後、市町村合併などを経て現在、18団体で構成する。毎春の「郷土芸能ふれあいフェスティバル」や、津まつりで演舞などを披露しているほか、歴史ある津の郷土芸能を充実させると共に魅力ある活動の継続・次世代育成に取り組んでいる。
冒頭、挨拶に立った主催者代表の森直樹会長は「多くの先輩方、1000名を超える当会関係者の方々に感謝と敬意を持って本日を迎えることができた。今後も伝統芸能を子ども達に伝承していく」と謝辞を述べ、今後の更なる発展に期待感を示した。
来賓の前葉泰幸津市長は、 「地域の伝統芸能の技・技術を継承するには、それを披露する場が必要。コロナ禍で2年間、津まつりが開催できなかったことで、継承し続ける事がいかに大変かを再確認した。当たり前のように行われてきたことが、実はそうでは無かったんだと気付かされた。まつりを催行するには準備、安全の確保などが必要で、そのノウハウを繋いでいくのは実に大変であると。郷土芸能を通じて人の心の繋がりを確認する場になっている。その意味で協議会が果たしてきた役割は非常に大きい」と感謝した。
また、津商工会議所の伊藤歳恭会頭は「18団体は、唐人踊り、しゃご馬、太鼓、獅子舞、津音頭、よさこい、など非常に多岐にわたっている。次世代育成と郷土の文化を守って頂いており、本当に素晴らしい協議会だと感じる。津商工会議所は〝演舞をしない〟唯一の加入団体ではあるが、津まつりで披露の場を提供させて頂くことを目的に活動している。また、当会議所青年部の元気玉太鼓も創立以来、お世話になっている。今後も微力ながら郷土芸能発展に頑張っていく所存」と祝辞を述べ、郷土芸能が地域のアイデンティティとして重要な役割を果たしている事を強調した。式典後半では、郷土芸能の活動に尽力した10名を表彰し功績を称えた。
式典後の祝賀会では、今年から同協議会に加入した青山高等学校和太鼓部・葵の演奏でスタート。
来賓である県議会議員7名を代表して登壇した前野和美県議会議長は、「郷土芸能がこのように守られていることに感謝を申し上げる」と述べ、続けて「先日、全国の県議会議長による議長会が3年ぶりに広島県で開かれ、懇親会の場で広島神楽が披露された。古の時代から300年以上の歴史があり、その時代、その時勢に合わせた形で継承されてきたと説明を受けた。我々県議会議員も伝統芸能に関わらせて頂けたら。ぜひお声をかけて頂きたい」と祝辞を述べた。
アトラクションとしてステージでは、ダンスチーム「凛」の演舞や各団体代表者による活動への意気込み披露など多彩な内容で会場を盛り上げた。
※同協議会の構成団体は=青山高等学校和太鼓部、安濃津よさこい組織委員会、伊勢津太鼓保存会、伊予町青壮年会、榊原湯の瀬太鼓、白塚獅子舞保存会、津音頭保存会、津商工会議所青年部元気玉太鼓、津しゃご馬保存会、津青年会議所・高虎太鼓、津・高虎太鼓、津・高虎太鼓華乃津会、津民芸保存会、町屋百人衆、美里龍神太鼓、美杉連山のろし太鼓保存会、分部町唐人踊り保存会、津商工会議所
2022年11月24日 AM 4:55
国際的に活動する刻字作家・有石さんの個展、津城復元の会協賛チャリティ展「古代文字をアートに 刻字家有石展・最終章」が11月30日㈬から津市中央の三重画廊で開かれる。会期は12月4日㈰まで。
有石さんは、1968年に長揚石氏(初代・国際刻字連盟会長)に師事。毎日書道展刻字部審査部長・総務部長・陳列部長・国際刻字公募大展審査員・日本刻字展審査部長を歴任。
現在は(公社)全日本印章業協会主催の全国印章技術大競技会審査員、全印協認定印章アドバイザー。白浦惠壽子(別号)として「古代文字で恋文を描く」をテーマに創作活動する。
作風は現代性を表現した作品が多く、漢字圏以外の国々への出品・訪問が目立つ。作品の収蔵先は、チェコ共和国国立美術館・在サウジアラビア王国日本大使館・真言宗総本山高野山金剛峯寺。
海外展出品・訪問国は、米国・イスラエル・オーストラリア・フランス・シンガポール・チェコ共和国・サウジアラビア王国・ポーランドなど計10カ国に上る。
個展は1980年に松菱で第1回を開催して以来、今回で10回目、今回が最終の個展となる。出品数は「天孫降臨」「雪月花」「祈」など珠玉の26点、参考出品2点。その内の1点は25歳の時に制作した500文字(西冷印社記)の作品。
「今後、個展の開催はないので、興味のある方はぜひ観て頂ければ」と話す。
写真の作品「神木(祭神如神在)」=「文明の始まりは象形文字(絵文字)である。古今東西、真理はひとつであるはず。絵画・音楽は万国共通であり、刻字も例外ではない。人種・言語・宗教を超えて、人々に伝わるような、文字を読むのではなく観て感じてもらえるようなデザイン性・空間構成を重視。神木の形をどうするか…全ての枝の先に神を宿らせた。祭神如神在を左右に入れた」と話す。
2022年11月24日 AM 4:55
時刻は17時50分。日没も迫り、薄暗くなった大都会の中心に私は立っている。周囲には、仕事を終えて家路を急ぐ人の姿が目立つ。ここは梅田新道交差点。目指し続けてきた国道165号を遡る旅の目的地である。津市にある終点からここにある始点まで遡り続けてきた距離は約120㎞。途中で道を間違えた分も加えてざっと計算すると、ここまで計9日間で140㎞ほど歩いてきたことになる。そして、この場所に立つのは実に3年ぶり。前回は同じく津市に終点がある国道163号を遡る旅をしていたのだが、今回と逆方向の東から来た。今回は国道の最後の区間が一方通行のため、並行する大阪市道南北線を北上。土佐堀川と堂島川を渡り、関西を代表する歓楽街・北新地を越え、国道2号を西へと進み、梅田新道交差点へと入ってきた。
競い合うように雨空へと向かって伸びる高層建築物の谷間であるこの交差点の一角には、ひっそり佇むように小さなモニュメントが建てられている。これは「大阪市道路元標」。道路元標とは、国道の起点や終点に設置される標識で、ここは東京から大阪を結ぶ国道1号の終点、ここから北九州に向かって走る国道2号の起点など、4つの国道の起点と3つの国道の終点がある。その中に、津市に終点がある国道163号と165号も含まれている。この旅を振り返ると、①津市雲出本郷町の国道終点から久居IC②久居ICから西青山駅③西青山駅から名張駅④名張駅から榛原駅(宇陀市)⑤榛原駅から長谷寺駅(桜井市)⑥長谷寺駅から桜井駅⑦桜井駅から上ノ太子駅(大阪府太子町)⑧前回が誤って国道のバイパス方面へと進んでしまったので本道を通るため、大和八木駅から大阪教育大駅(大阪府柏原市)⑨柏原市から大阪市の終点という流れ。(駅は全て近鉄)。
春夏秋冬と歴史に彩られた道中での出来事は全て鮮明に記憶している。徒歩は自動車と比べると10分の1以下のスピードしか出ない反面、旅路の景色、天候、気温、湿度、においなどの情報を文字通り五感で味わえる。新幹線や高速道路などで移動すると一日で多くの目的地を巡ることができるので時間効率は良く、あっという間に次の街へ移動できる。しかし、矢継ぎ早に新しい情報が入ってくるため、脳の処理速度が追いつかず消化不良起こすことがままある。その点、徒歩旅は多面的な情報をじっくりと咀嚼しながら、飲み込み、自らの血肉へと変える時間を得られるのが最大の魅力といえる。
事実この旅を終えようとしている現在、旅の前には、ほとんど知らなかった土地に対する知見を得ただけでなく、愛着さえ抱いている。
モニュメントを眺めていると、旅路での思い出が次々と蘇り、熱い思いがこみあげてくる。スタートから2年以上。長いようで、あっという間だった。年度を締めくくるこの日に国道165を遡る旅を締めくくることができ、えも言われぬ達成感が心を支配している。だが、明日どうしても行ってみたい場所があるので、今日は宿がとってある。疲れた体に鞭を打ち、なんとかホテルに到着した私は、朝まで泥のように眠った。(本紙報道部長・麻生純矢)
2022年11月24日 AM 4:55