2022年11月

三重大学の近くの赤信号で車を止めていたら、バタバタとヘリコプターの大きな音が聞こえた。白地に赤のヘリコプターが頭上を過ぎ、大学病院の方へ飛んでいった。ドクターヘリだ。
ドクターヘリという言葉を知ったのはアメリカのテレビドラマだったろうか。救急の医師や看護師がヘリコプターで患者のもとへ駆けつける緊急救命の最前線である。
病院の方に目をやると、白い建物に緑色の文字が鮮やかだ。あそこで亡くなった友人がいる。人がいつか去っていくのは当たり前のことだけれど、救える命なら救ってほしい。それが見知らぬ人であっても。
さっき飛んでいったヘリコプターにも命の危機にある患者さんが乗っていただろうか。救命できるうちに病院に着いたかと気になった。
ヘリコプターは速い。道路状況の影響を受けないし、救急車よりずっと速い。三重県の端までも何十分かで到着し、患者さんを治療しつつ病院に搬送できるという。素早く手当を受けられるところが心強い。
機器でいっぱいの機内には、きっと志高くてカッコいい医師や看護師が乗っているだろう。どんなことが行われているだろうかと想像する。それは私の中でドラマになってしまうが、現実に命に係わる責任感と重圧は生半可なものではないと思う。乗務の方々を尊敬するばかりだ(舞)

様々な胡麻や胡麻油の味や香りを試食で確かめる生徒たち

様々な胡麻や胡麻油の味や香りを試食で確かめる生徒たち

11日、津市大谷町の大川学園・三重調理専門学校で、九鬼産業株式会社と産学連携した「出前講座」が開かれた。
三重県雇用経済部の「みえの食の人材育成プラットフォーム」を活用した事業で、三重の食の将来を担う人材の確保と育成が目的。「みえの食の達人」から直接学ぶよい機会となっている。
今回は、明治19年創業で胡麻の老舗として知られる同社の管理栄養士・柏木紗也さんと田中美妃さんが生徒たちを前に胡麻や胡麻油について語った。
二人は、生徒たちに胡麻は3000種類ほどあること、国産の胡麻は消費量全体のわずか0・03%に留まっていることや、白・黒・金など胡麻の種類で含まれる栄養素の違いがほとんどないこと、胡麻油も絞る胡麻の焙煎の具合によって色合いだけでなく、味や香が変わるため、適した料理が変わることなど、身近でありながら知られざる胡麻の一面を解説。
様々な胡麻や胡麻油を試食して味の違いを確認したり、胡麻をすり下ろしてペーストをつくる実習も行った。また、胡麻ペーストをかけたアイスや、バターの代わりに胡麻油を使ったシフォンケーキなども提供され、生徒たちは味わいながら、奥深い胡麻の魅力を実感していた。

中部電力㈱の「竹原水力発電所」=津市美杉町竹原=が今年10月で完成から100年、来年1月で運転開始100年を迎える。地球温暖化対策の温室効果ガス排出抑制のため、太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入が進んでいるが、大正から令和と長い時の中で自然と調和しながら地域の電力を支え続けてきたこの発電所を紹介する。

 

「竹原水力発電所」

「竹原水力発電所」

発電所内の発電施設

発電所内の発電施設

取水口

取水口

向谷水路橋

向谷水路橋

豊かな自然に囲まれた君ヶ野ダムの麓。雲出川と、その支流・八手俣川の合流地点付近に竹原水力発電所はひっそりと立地している。JR名松線伊勢竹原駅の南付近の鉄橋辺りを通過する際に車窓からも建屋が見えるが、多くの人が何か気付かずに通り過ぎていることだろう。
明治30年(1897)に三重県県下で初の電気事業を行ったのは津電灯で、すぐに県内各地で電力会社が立ち上げられた。三重県は全国的にもかなり早い段階で水力発電が開始されており、明治32年(1899)に新宮水電が鮒田発電所で発電を開始。次々と県南部を中心に水力発電施設が運転を始めており、大正時代に最盛期を迎える。雲出川では、現在の津市美杉町八知に大正6年(1917年)に大勢水力電気が神河発電所で事業を開始(昭和6年に廃止)、同じく大勢水力電気が認可を受け、同社を合併した北勢電気が大正11年(1922年)10月に完成させたのが「竹原水力発電所」。運転開始は翌1月で100年の節目を迎える。現在は中部電力㈱の三重水力センターが運転及び管理している。県内で現在稼働している水力発電所の中では5番目に古い。
竹原水力発電所の発電出力は760kWで約1600世帯分の電力をまかなえる。形式は水路式で、日本の水力発電所に多く使われているフランシス水車を発電に使用している。取水口は、八手俣川の君ヶ野ダム付近にあると勘違いされがちだが、実際は更にその上流にある。取水口から3つの水路橋を経た水路の全長は約3・4㎞。水は発電所背後の山の斜面を下り発電所内に流れ込む。発電の有効落差は83mとなっている。森林セラピーの高束山コースで通る向谷水路橋は建築物としても非常に趣き深いので一見の価値あり。
100年の間に無人化したり、建物を建て替えたり、水車の改造などは行われてきたが水路のルートはほぼ当初のまま。 現代では、地球温暖化対策の温室効果ガス排出抑制のために、太陽光や風力など再生可能エネルギーを用いた発電法が普及しているが、自然と調和する形で100年にわたり、小規模だが電力を安定供給してきた竹原水力発電所は21世紀のキーワード〝持続可能〟の好例といえる。
大正、昭和、平成、令和と時代を乗り越えてきた発電所は、また次の時代に向けて動きだす。

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