サウナ室に座るときは、上段が好きだ。せっかくの熱い空気を楽しみたい。おしゃべりは禁止だから、みんなで並んで汗が出るまでじっと耐える。
 そうしてうつむいていたら、並んでいる足に目が留まった。足の形がそれぞれ違う。親ゆびが一番長くて斜めにゆびが並ぶ人、二番目が長くて山形になっている人。足の幅、甲の高さもそれぞれ違う。当たり前だが足にも個性がある。白くて細くて華奢な足に憧れる。
 もしかしたら外反母趾かもという形の足も並んでいた。私のまわりの女性にも外反母趾は多い。若い頃からハイヒールをよく履いていた人は足に無理をさせてきた。それが外反母趾の原因の一つだろう。
 だいたいハイヒールなんてものは不自然極まりない履物だ。体重が爪先にかかる上に、靴の先端が細いデザインが多い。細いヒールは不安定でちょっとした凸凹でぐらついてしまう。デートで履けば男ウケするかもしれないが、仕事はスニーカーが良い。今ならスニーカーパンプスもある。
 高齢になると足はますます大事になる。痛くて歩けない足になると、外出する気力がなくなり、筋肉も減る。その先はフレイルで、またその先は……。
 サウナ室に並ぶ足を見ながら、どの足が丈夫で長持ちだろうとこっそり見比べた。細いよりどっしりが良さそうだ。足こそ見栄えより機能だ。  (舞)