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2月6日に、伊勢市の神宮会館で開かれた第59回新春税務講演会=主催・三重県下税務連絡協議会=の会場において、「税に関する高校生の作文コンクール」で名古屋国税局長賞を受賞した髙田爽良さん(三重県立津商業高等学校1年)が、受賞作「『平等』のために」を朗読した。
国税庁は、次代を担う高校生が、学校教育の中で学習したことや自分自身の経験・体験などを通して、税について考えたことを作文の形で発表してもらい、それを機会に税に対する関心を深めてもらいたいとの趣旨で毎年「税に関する高校生の作文」を募集している。初回の昭和37年度から今年度で61回目になる伝統あるコンクール。
今回、名古屋国税局管内では131校(全国1424校)、応募作文数1万3749編(全国14万8050編)の応募があり、髙田さんは名古屋国税局長賞受賞者5名の中に選ばれた。三重県下の応募では唯一。
高田さんは、ジャンルを問わず本を読むことが好きで、作文も得意。中学3年生の時は(公財)三重こどもわかもの育成財団が主催する「中学生のメッセージ三重県大会」で優良賞を受賞している。作品のタイトルは「人間の基本ソフトウェア」。
今回の受賞作「『平等』のために」は、自身の体験を通じて税金が平等な国民生活の実現に役立っていることを実感したことから応募した。
以下、受賞作を紹介する。
◆名古屋国税局長賞◆
私は前から、よく考えてしまうことがある。それは、人々は生まれた時点で平等は確約されていないのではないか、ということである。まず性別、地域によって給料の異なるアルバイト、年齢による待遇の違いなどが平等に反していると感じるが、特に感じるのは生涯でかかる医療費の違いだ。
熱や風邪は別として、アレルギーや疾患を持つ人は持っていない人に比べて診察代や薬代による負担が当然大きくなる。これを感じるようになった理由として、私は喘息や皮フ炎で何年も通院をしていたことがある。ふと請求書を見たとき、診察代の高額さに驚いた。こんな額を毎週のように払わせてしまっているのか、という申し訳なく思う気持ちすら抱いた。だが、小学校高学年くらいのときに、医療費は保険、そして税金でまかなわれていることを知った。
私が暮らす津市では、子ども医療費助成制度という十五歳までの子どもを対象とした、医療費の助成がされる制度がある。市町村からの助成なので、もちろんこれは税金があってこそのものだ。税金について全く知識が無かった私はかなり衝撃を受けた。それと同時に、金銭面での負担は軽減されているんだ、と安堵した。冒頭でも話に上げたとおり、先天的に通院が必要になるペナルティを少しでも持つ人と、全く持たない人とでは、生涯で治療にかかるお金が大きく違うはずだ。それにより人生の豊かさが左右されてしまうことは、絶対にあってはならない。だから、この医療費の助成というのは、一見関係のないように見えて、実は「平等」を目指す大きな土台となっているように、私は感じたのである。
税金についての知識がまだまだ浅い私たち学生は、税金をマイナスに捉えてしまうことの方が圧倒的に多いと思う。ワンコインで買えていた駄菓子の値上がりも、何千人、何万人もの人が残念に思ったことだろうか。
まだ子どものうちは良いが、大人になったらたくさんの税金を納めることになる。そんな税金に嫌悪感を抱かずに、巡り巡って私たちに還元されていることを学び、気付くことが、これからの時代を担う私たちの使命である。
私が今、健康に暮らせているのは税金のおかげと言っても過言ではない。平等に近づくための、税金という土台が構えられているこの国、この市町村で生活できていることを幸せに、そして、誇りに思う。
2023年2月23日 AM 4:55