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2023年2月
㈱ZTV(三重県津市あのつ台4丁目7の1、田村欣也取締役社長)は、1月24日夜から25日にかけて三重県を襲った大雪に伴い、津放送局エリア内(津市・亀山市・松阪市嬉野地域)のテレビサービス加入者に対し、周辺の状況をリアルタイムに知らせるため、コミュニティチャンネル(地デジ12チャンネル)を通常放送から「道路・河川ライブカメラ」に切り替え、放送した(放送時間は1月25日㈬8時45分~16時)。
同社では、2014年より国土交通省と連携した「道路・河川ライブカメラ」の放送をしており、現在は通勤・通学前に交通状況等を把握できるよう毎朝(6時~、7時30分~、8時30分~)15分間放送している。
また、台風や大雨時には通常放送を「道路・河川ライブカメラ」に切り替え放送している。
同社は現在、防災行政無線など防災関連情報を加入者に届ける仕組み作りを進めており、行政と協力し更なるテレビサービス加入者の防災に繋げる考えを示している。
問い合わせ 0120・222・505(受付時間は年中無休9時~17時半)。
2023年2月9日 AM 4:55
小雨舞う昨年12月13日、私たちは奈良県コンベンションセンターを訪れた。コロナ禍の中、2年前の4月に誕生したここは、校倉造り風の壁に唐草文様の絨毯と、随所に正倉院や天平文化にちなんだデザインの美しい会議場だ。
今回の奈良訪問は国連世界観光機関(UNWTO)の「第7回ガストロノミーツーリズム世界フォーラム」に参加するためで、同行者は本居宣長記念館の名誉館長、松阪の旅館組合長、三重県の旅館組合長代理、三重ふるさと新聞の社長、そして、近畿日本ツーリストの職員である。
ガストロノミーツーリズムとは、いわゆるフードツーリズムよりも少しばかり次元が高く、美食観光とも訳される概念で、基本は地産地消だが、B級グルメやジャンクフードとは縁遠い(私ならば「郷土料理探訪」と意訳するが)。
このガストロノミーをテーマとした世界フォーラムは、2015年、2017年、2019年にスペイン、2016年にペルー、2018年にタイ、2021年にベルギーで開催されている。
基調講演はプロジェクト粟の代表による「ガストロノミーツーリズムの未来へのビジョン」。代表によると、奈良には7つの風があるという。土地そのものが持っている性質『風土』。そこで営まれる農業や漁業による『風味』。その風土の中で風味を追求していくことで生まれる『風景』。自然と仲良く健康に生きていくための知恵『風習』。自然のものを活用しながら作られた生活工芸『風物』。生活文化である『風儀』。その6つの風のなかで培われる価値感とか心持ちである『風情』だ。
続くセッションⅠは、「女性と若者。才能にスポットライトを当てる」と題し、発酵デザイナーさんと「été」のオーナーシェフによるパネルディスカッション。世界のほとんどの地域で、女性と若者がツーリズム労働力の大部分を占めているが、ツーリズムはエンパワーメント(能力開花)への道筋を提供することが証明されており、ジェンダーや年齢に応じた政策の開発により、違いを生み出す機会を最大化する必要がある。
このセッションの目指すところは、女性と若者が生産的な活動に従事し、経済的機会をつかみ、社会に影響を与え、それによってツーリズムを変革するために必要なスキルと知識を女性と若者に提供することにより、永続的な遺産の構築を支援する次世代のツーリズムリーダーを称え、力を与えることにある。
彼らの住む地域社会だけでなく、あらゆる場所で、パンデミックの影響から包括的かつ回復力のある回復を確実にするために、これらの労働力が観光業で不釣り合いな影響を受けていることを投げ掛ける。
ランチタイムを挟んで、セッションⅡではFOODLOSS BANKのCEOと、日本ガストロノミー学会設立代表、そして海外登壇者による「私たちの地球、私たちの未来…持続可能な食品」。
食は、持続可能な調達、持続可能なメニュー、食品廃棄物の防止と削減を通じ、循環性と観光事業の変革への入り口を表す。しかし、多くの観光事業は世界市場から食料を調達しており、その結果、漏出や二酸化炭素排出量が増加している。また、ホテルでは購入した食品の最大60%を無駄にすることもあり、観光業では大量の食品廃棄物が発生している。この問題は、業界にとって年間ベースで1000億米ドルを超える損失を世界的に表しているが、食品プロセスの最適化と循環型アプローチの統合による節約の最大の機会の一つでもある。
世界で生産される食料の3分の1が廃棄されているが、食品廃棄物に対する行動は、すべての人にとって最優先事項でなければなならない。ツーリズムにおける食品廃棄物削減に関するグローバル・ロードマップは、観光関係者が食品が決して無駄にならないように持続可能な管理を受け入れるための一貫した枠組みを提供する。
そして、セッションⅢ は、「SDGs達成に向けた規模の拡大…UNWTOガストロノミーツーリズム・ピッチチャレンジ」の当選者発表だ。 UNWTOによる簡単なプレゼンテーションに続いて、起業エコシステムとその主要な利害関係者がどのように協力してSDGsを達成し、観光および食品産業の収益、規模、および持続可能性を確保できるかについての洞察を提供。第3回UNWTOガストロノミーツーリズム・スタートアップ・コンペティションで選ばれたファイナリストが、バスク・クリナリーセンター(BCC)と協力して聴衆にアイデアを売り込み、彼らのガストロノミーとツーリズムに基づくソリューションを政策、実際、地域社会、さらには持続可能な行動ができるかについてが紹介された。
日本で開催となった今回の世界フォーラム参加者は、国内からが約300名と海外約150名で450名。ノーマスクも僅かにいるが、概ねは(外国人も含め)マスク着用だ。まさに相互理解の賜物である。来賓は国交副大臣に、観光庁長官、奈良県知事、そしてマドリッドのUNWTO事務局長。サプライズなことに、冒頭、観光庁長官によって、奈良県田原本町の取り組みと共に三重県鳥羽市のガストロノミーの取り組みも紹介された。それなのに三重県から来た出展ブースは名張市だけ。三重県はUNWTOの自治体賛助会員であり、それこそ山海の幸の宝庫であるにもかかわらずである(後日確認したら、三重知事ほか一名も招待されていたそうである)。
別室に設けられた展示場では、大阪国税局や名張市等々、各地の酒を紹介するコーナーがみられる。今回のセッションにはなかったが、酒もガストロノミーの重要な部分である。例えば、三重県にしても数多の酒があり、それぞれが地政学的特性を有しているのだ。
(OHMSS《大宇陀・東紀州・松阪圏・サイト・シーイング・サポート代表》)
2023年2月9日 AM 4:55
「歩きたい。どこか遠くへ」。胸の奥に湧きあがる根源的な欲求に抗えなくなっている。
思い返せば10年ほど前、津市全域を自転車で巡る旅をしたことで私の中に眠っていた旅への情熱のようなものが目覚めた。それは海外など遥か遠くを目指すのではなく、自分の足で歩いて行ける日常の先にある非日常を知りたいという感情を原点としている。ここ60年ほどで移動の主役は自動車や電車などに奪われてしまうと同時に、歩くことを煩わしく思う人も増えた。100m先のコンビニへ車で移動する人だってそう珍しくない。津市からは5時間あれば鉄道などで名古屋、大阪はもちろん、東京へ出ることも可能。一方、普通の人が徒歩で休憩しながら歩けばせいぜい一日20㎞移動できれば御の字。効率面ではナンセンスという他ない。
裏を返せば、歩くことはとても贅沢な時間の使い方といえる。歩くことで古の人たちと同じ時の流れに身を置き、心を通わせることもできる。普段見逃していた様々なものをじっくりと観察することができ、その繰り返しがきめ細やかなフィルターを自分の中に形成していく。何気ない風景からも情報を漉しとれるようになるので、世界の解像度が飛躍的に上がるというわけだ。今では、私が旅をする時は目的地以上に、過程にこだわるようになっている。自動車で移動する時ですら、出来るだけ「下道」を通るようになっている。
これまでに、津市に終点がある国道163号線と国道165号の計250㎞を踏破する旅をしてきた。前連載に当たる「国道165号を遡る」には昨年末に連載を終えたばかりなので、読者の中には「もう次が始まるの?」と思われる方も少なくないはず。しかし、165号を踏破したのが昨年の3月31日。実に10カ月ほど前。長らく徒歩旅をしていない訳で、うずうずしても仕方がない時期に来ている。
随分前から「次はどうする?」と考えていた。歩くことは、もはや私のライフワークとなっているので確定事項。そうなると自ずとどの道を歩くかが主題となる。真っ先に候補が浮かんだのは、津市に起点がある国道306号。この国道は、津市、鈴鹿市、四日市市、菰野町、いなべ市を経て終点の滋賀県彦根市に至る道。この道は私の出勤ルートで、滋賀県方面に出かける時はいつも通るため、勝手知ったる国道だが不採用になった。前の連載からの読者はお判りだと思うが、私の場合は天下御免の一人旅。一日で20~30㎞歩いてその行程で起った出来事を記事にしたら、次回は中断地点から再び歩き始める。一人で歩き、取材し、撮影するの繰り返しで一本の道を味わい尽くすというスタイル。中断地点から返ったり、再開する際には、公共の交通機関を利用するのだが、306号はアクセスが非常に悪く、効率の良い旅ができない。これが不採用の理由である。
次の候補は国道23号。三重県の北中部に暮らす人たちが国道と聞かれたら真っ先に思い浮かべるであろう路線。伊勢湾に沿って愛知県豊橋市と三重県伊勢市を結ぶ東海地方の大動脈で、ルーツは伊勢参宮街道。お伊勢参りが国民的な慣習となった江戸時代以前から続く信仰の道。ただこの道も公共の交通機関とのアクセスが芳しくない区間が多く、自動車道として整備されていることからも、歩くことが困難な国道であるため不採用となった。しかし、伊勢神宮に至る道というヒントを得たことによって、歩くべき道が決まった。
それは伊勢別街道である。江戸橋付近から関東方面へと伸びる伊勢街道と枝分かれし、東海道の関宿まで関西方面へと延びる18㎞ほどの道。これだけだと距離的に物足りないので、そこから東海道の関宿から、終点の京都の三条大橋をめざす計100㎞ほどのルートを巡ることとする。
これまでの旅は国道を歩いてきたが、今回はそのルーツである旧街道を辿る。昔は主要道であったが、家屋が通りに面しているため、道幅の拡幅が難しく、車社会とは噛み合わなくなり、今では地域住民の生活道路になっている場所も多い。つまり、普段通ることがない区間が多く、私にとっての〝非日常〟がゴロゴロしているということ。当然、峠越えにもチャレンジするので、これまで以上に過酷になる。ただ3回目ともなれば、経験に裏打ちされた自信が自ずとわいてくる。満を持してのチャレンジといえるかもしれない。
2023年1月24日13時過ぎに私の新たな旅が幕を開けた。(本紙報道
2023年2月9日 AM 4:55