お彼岸はお墓参り。婚家のお墓には夫の父母や祖父母が眠っている。実家のお墓には私の父母や祖父母が眠っている。どちらも大事なご先祖様。誰かがいなければ、私は私の子どもたちに出会えなかった。
 そして、ご先祖様は他にもいる。ファミリーヒストリーという番組を見ると、りっぱな人がぞろぞろ出てくるが、私だって十代もさかのぼれば千人を超えるご先祖様がいる。一人二人はりっぱな人もいるだろう。
 もっとさかのぼればもっとご先祖様がいる。そのご先祖様が戦国時代の戦いにも死なず、度重なる飢饉にも耐えて命をつないでくれたから私がいる。
 この地は都から伊勢への通り道、都人の落としだねの可能性だってある。 在原業平が私のご先祖様かもしれない。遊び女の可能性だってあるけれど。
 もしかしたら、片田の古墳に眠る豪族がご先祖様かもしれない。伊勢平野は古くから稲作が行なわれていたそうだ。ご先祖様は弥生時代からここに住み着いていたかも。
 その前はどこだろう。東南アジアから舟に乗ってやってきたのだろうか。北東アジアだろうか。そしてその前は、モンゴルか中東か。そもそも人類はアフリカで誕生したそうだし。
 その歴史のどこが欠けても私は存在しない。私の子も存在しない。存在自体が奇跡だ。ご先祖様にありがとうと言いたい。         (舞)