過疎化が進む中山間地域の活性化は長年議論されているが、津市美杉町奥津を舞台とした「みつまたプロジェクト」が始動する。年々、増加の一途を辿っている耕作放棄地に、獣害に強い和紙の原材料となる植物のミツマタを植え、地域を支える産業へと育てていく構想。経済面からも移住し易い環境を整えるチャレンジをしていく。

 津市の中でも少子高齢化が顕著で、急速に過疎化が進んでいる美杉地域。津市は三重県宅建協会津支部と協力し、「空き家情報バンク」をいち早く行い、移住者や二拠点生活者に向けて、空き家や土地の情報提供を行うなど、様々な対策に取り組んできた。しかし、地域の中に「働く場所がない」という構造的な問題がある以上、対策にも限界がある。更に地域住民の高齢化とシカ、イノシシ、サルなどの獣害の増大によって耕作放棄地が増え続け、地域の魅力である景観が失われていくという問題も発生している。これらの問題を解決しようと、名松線終点の奥津駅近くにあるミニ道の駅「かわせみ庵」の運営や名松線を元気にする会の会長を務めるなど、様々な地域活性化に携わってきた中田かほるさんを中心に、地域内外から有志が集まり「みつまたプロジェクト」が企画された。
 プロジェクトでは、三重県内唯一の和紙メーカーである大豐和紙工業=伊勢市=と協力し、耕作放棄地でミツマタを栽培し、和紙を製造する地域産業を生み出すことを目標としている。ジンチョウゲ科の落葉性の低木であるミツマタは枝が三つに分かれることから、その名がつけられており、樹皮からとれる繊維が和紙の原材料となる。獣害に強く、手入れも比較的簡単という特徴があり、地域の状況と非常にマッチしている。また、3~4月に見られる黄色い花が美しく美杉町内でも伊勢地地区にある群生地が近年人気となっている。
 プロジェクトは3月12日、中田さん所有の農地に苗木を地植えするところから本格スタート。5年後の収穫に向け、毎年作付面積を増やしながら木を育てていく。美杉町内で暮らす人や移住者の収入源足り得るレベルにまで育てていくことを目標としている。その過程においても、行政などからの補助金には頼らず自立した事業として成立するラインをめざす。そのためには、多くの人の協力が不可欠だが、地域内だけで完結させようとすると、どうしても無理が生じてしまう。そこで、幅広い人たちの知恵と力を借りることも主旨に掲げている。核となる部分は美杉町内のミツマタ栽培の名人からアドバイスを受け、旧津市在住の挿し木の技術を持った人が苗木を増やすことにも協力。そして、その挿し木から苗木を育てたり、耕作放棄地に植える人は広くボランティアを募っていく。これはプロジェクトを通じて、地域と関わる人が増えることによって、多くの人にとっての思い出の場所となり、人が集まり易くなる環境が生まれるという発想に基づいている。
 過疎化が急速に進む中山間地の地域活性化は大きな課題だが、解決が非常に難しいだけに、この新たな取組みに期待が集まる。
 現在ボランティアを募集中=①ミツマタの地植えボランティア…3月12日9時15分にかわせみ庵に集合(先着10名)②不要になった園芸用ポットの募集(3月12日9時15分までにかわせみ庵に持参)③挿し木したポットを自宅で育てて、第2回の地植えに協力してくれる人。
 問い合わせ☎090・4083・8550へ。

左から小菅会長、青山会長、西橋内中の青木校長

2月24日、津市東古河町の津市立西橋内中学校で、津・お城の会=小菅雅司会長=が西橋内地区青少年育成協議会=青山昇武会長=に津城跡の石垣めぐりマップ、1200部の贈呈を行った。
 同会は普段から津城の清掃活動などに取り組んでいる団体。一方、同協議会は同中学校のほか、新町小学校、養正小学校で構成されており、校区内に津城跡があることから配られた。マップは地元のボランティアガイドグループ「安濃津ガイド会」が作成したもの。津城跡の石垣の見どころを詳細に解説している。
 寄贈に当たり、小菅会長は「お城を地域の子供たちにもっと知ってもらい、大事にしてもらいたい」と挨拶。青山会長は「津城は校歌にも出てくる名所。生徒さんに地域に愛着を持ってほしいという思いがある」と感謝した。
 マップは各校を通じて全校生徒に配られる。

 

満開の梅園にて…伊勢の津七福神の各寺社代表者

3日、津市藤方の結城神社で、津市内の5寺2社で構成する宗教・宗派の垣根を越えた霊場めぐり『伊勢の津七福神』の代表者らによる「観梅祈願祭」が行われた。
 伊勢の津七福神には福禄寿霊場の同神社の他、大黒天霊場・四天王寺=栄町=、毘沙門天霊場・津観音=大門=、寿老神霊場・高山神社=丸之内=、恵比須天霊場・初馬寺=栄町=、弁才天霊場・円光寺=河芸町上野=、布袋尊霊場・安楽寺=一志町波瀬=が名を連ねている。祈願祭は、東海地方でも屈指のしだれ梅の名所である同神社の梅園が見頃を迎える時期に合わせて実施。
 今年は最も美しく咲く時期と重なったこともあり、多くの市民や観光客が見守る中で行われた。まず拝殿には各寺社の代表者らが集まり、神仏習合の伊勢のスタイルで儀式を執り行い、寄せられた家内安全や無病息災などを祈願した。
 きらびやかな衣装を身にまとった代表者たちは、満開の花が彩る梅園を練り歩いた。

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