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パソコン机の引き出しを開けたらオーデコロンの瓶に目が留まった。ケルンのオーデコロンだ。ケルンはオーデコロン発祥の地で、ドイツ土産としてもらったこれはナポレオンも使ったという歴史ある香り。
この瓶を見るたびにお土産としてくれた友達を思い出す。辛かっただろう闘病の末に亡くなって、一年余りが過ぎた。コロナ禍でお見舞いにも葬儀にも行けなかった。まだ、どこかにいるようにも感じる。
オーデコロンの香りは柑橘系で、どちらかというと男性向きかもしれないが、人に会わない夜ならば、香りは自分ひとりで楽しむもの。耳の後ろに少しつける。
香りは記憶を引き出すきっかけになるという。紅茶とマドレーヌで過去を思い出したというのは有名なお話だが、私もオーデコロンの香りでもらった時を思い出した。子どもの幼稚園で出会い、それから長い付き合いだった。写真を見返すと若い私たちが笑っている。
お互い賑やかな人間ではなかったので、ぼそぼそと愚痴をこぼし合い、一緒にご飯を食べ、時には一緒に山に登るという付き合いを続けてきた。話を聞いてもらって楽になることもあった。
会うは別れの始め。人がいつかは去っていくのは当然のことだけれど、やはり寂しい。彼女を私の記憶の中に長く留めて、何度でも思い出すことが供養になるだろう。 (舞)
2023年5月11日 AM 4:55
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