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ウイルス性の感染症「風疹」は発熱や発疹などの症状があるだけでなく、妊娠初期の妊婦が感染すると、胎児に障害が発生する危険性がある。そこで、公的な予防接種が受けられなかった世代の男性を対象に抗体検査と予防接種の無料クーポンを送っているが、津市でこれまで利用されたのは対象者の4割弱に留まる。市は、自分だけでなく、周囲の人を守るためにもクーポンの利用を呼び掛けている。
風疹は2~3週間の潜伏期間を経て、発熱、発疹、リンパ節の腫れといった症状が出る感染症。成人してからかかると症状が重くなる傾向にあるとも言われているが、この病気の恐ろしさは他にもある。妊娠初期の妊婦が感染すると、「先天性風疹症候群」で胎児に白内障、難聴、心疾患などの悪影響を及ぼす可能性があるからだ。
現在では、乳児期から公的な予防摂取が充実しているため、予防に十分な抗体を持った人が増えているが、公的な接種を受けられなかった昭和37年(1962年)4月2日生まれ~昭和54年1979年4月1日生まれの男性が主となり、周期的な流行が発生しており、前回は2018年だった。風疹にかかることでも抗体は得られるが、かかったか明らかでない場合は、知らず知らずのうちに家族や職場の妊婦に風疹を感染させてしまうことも恐れられている。
風疹の予防には、抗体保有者を増やすことが重要なため、厚生労働省は居住する自治体から、先述した公的な接種を受けられなかった年代の男性に抗体検査と予防接種の無料クーポンを送付している。コロナ禍などの影響もあり、クーポンの期限は延長されており、令和6年度末(2024年3月31日)まで利用可能。津市では、約3万2000人にクーポンを送付しており、うち1万2000人が抗体検査を受けているが、利用は40%弱にとどまっている。クーポンが使用期限を迎える令和6年度末(2025年3月31日)までの利用を呼び掛けている。
クーポンを利用する際は①最寄りの医療機関で採血を行い、抗体を検査②検査の結果、十分な抗体を持たない場合は予防接種を受けるという流れとなる。これまで抗体検査を受けた人の内の30%弱が十分な抗体を持っておらず、予防接種を受けている。対象世代の男性だが有効期限切れのクーポンしか手元になかったり、クーポンを紛失した場合は、電話(健康づくり課及び市内保健センター)、津市ホームページからのオンラインなどで申請を行えば、クーポンを郵送してもらえる。 厚生労働省では令和6年度末までに対象世代の男性の抗体保有率を90%に上げることを目標に定めているが、苦戦を強いられている。風疹の流行を抑えるためには、対象世代の男性の協力は不可欠。自分だけでなく、家族や職場など周囲の人を守るという意識に基づく行動も求められる。
問い合わせは津市健康づくり課☎059・229・3310へ。
2023年12月6日 AM 10:20
2日、「国際ソロプチミスト三重」=阿部奈々会長=は、伊勢神宮に電動車椅子5台を献納した。
国際ソロプチミストは世界の約130カ国で展開する女性の奉仕団体。国際ソロプチミスト三重でも、社会で活躍する女性や団体、経済的に恵まれない中で学業に打ち込む女性や外国人留学生への支援などを行っている。
今回は同団体の認証45周年を記念に献納。これまで伊勢神宮への電動車椅子の献納は30周年に7台、35周年3台、40周年5台で今回のものを合わせると計20台になる。車椅子は内宮と外宮で希望する参拝者に貸し出されている。
伊勢神宮内宮の宇治橋前に集合した会員15名は車椅子の試走を行いながら、神楽殿前まで移動。献納する車椅子と共に祈祷を受けた。
阿部会長は「高齢者など、車いすが必要な方の参拝に役立てば」と話した。
2023年12月6日 AM 10:16
「ここが鈴鹿峠か」。鈴鹿御前とも同一視される女盗賊の立烏帽子、坂上田村麻呂に退治された鬼神・大嶽丸など数々の伝説や伝承でも彩られた地。標高357mで鈴鹿山脈で最も低い峠であることから、古くから交通の要衝とされ、都のあった畿内と東国の境目となっていた。ここを境に、三重県の大部分を占める伊勢国と、現滋賀県に当たる近江国に分かれる。無数の木々に包まれた峠道は閑寂だがしばし瞳を閉じて、やんごとなき人から貧しき人まで数えきれない人が行き来をしていた往時の光景を思い浮かべる。きっと誰もが知る歴史上の有名人が何人もこの場所を通っている。道は人々の思いによって踏み固められており、無数の人生が束ねられた歴史が描いた軌跡そのものでもある。自動車で国道を走って、滋賀県に入った経験は何度もあるが、自らの足で来ると感動もひとしおである。片山神社から峠は想像以上に近かったのも嬉しい誤算だった。
このまま、滋賀方面に進むのは勿体ないので、峠からほど近い三重県指定の天然記念物の「鈴鹿山の鏡岩」に立ち寄る。明治時代に片山神社に合祀された田村神社の跡地を示す石碑などを越えて進むと、ほど無く巨岩が姿を現す。岩肌の一部が光沢を帯びており、これが名前の由来で、山賊がこの岩を磨き、姿が映った旅人を襲ったという伝説も残る。その正体は、断層が生じる際の強力な摩擦力により研磨され、鏡のような光沢を帯びる鏡肌(スリッケンサイド)である。現在は、全体的にくすんでいて鏡というイメージからは少し遠い印象を受けるものの、活発に人々が峠を行き来していた時代には、難所にそびえ立つ神秘的な姿が畏敬の対象であったことは想像に難くない。
再び峠道まで戻り、少し歩くと三重と滋賀の県境は目前。人は、どんな境を超える時にも高揚感がこみあげてくるものである。それが市境、県境と大きな区切りとなればなるほど、気持ちが昂る、まして、ここは昔の国境でもある。未知への扉を開けるような気持ちで道を進んでいく。(本紙報道部長・麻生純矢)
2023年12月6日 AM 9:21