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県内観光の弱点克服めざす 拠点を巡るルート観光
一見勝之三重県知事新春インタビュー。ようやくコロナ禍を乗り越え、新たなステージへと進んでいる県政。三重県の更なる飛躍には欠かすことのできない観光政策、未来を語る上で欠かせない人口減少対策、新たなビジネスを後押しするスタートアップ、更なる発展への寄与が期待されるリニア開通に向けた取組みなど県政の重要課題について聞いた。 (聞き手・本紙社長・森昌哉)
─あけましておめでとうございます。では最初に観光政策です。知事は「県内を訪れる観光客の宿泊日数は少ない。長く滞在してもらえるようにしたい」と、周遊型観光を普及させる必要性を強調されます。特に宿泊先を変えながら複数の名所などを訪れる「周遊型観光」のルートを県内に構築する補助金の支出先として申請のあった3件を採択しましたが、アフターコロナ、ウイズコロナにおける三重県の観光政策について、現在までの取組み状況、進捗状況など具体的にお聞かせ願います。
知事 今年もよろしくお願いします。コロナ前の県内の年間観光客数が大体4000万人。順位では大体全国10~11位。三重県の県勢が21位くらいと考えると良い数字。しかし、平均宿泊日数が低い。名古屋や大阪から観光客が来るが、日帰りで帰ってしまいます。全国平均と比べると下。これをなんとかしないといけない。泊まってもらわないと県内にお金が落ちにくいからです。首都圏からの宿泊者数もコロナ前から減っています。式年遷宮があると上がるが、そこから下がり続けているので、なんとか横ばいにして、出来れば伸ばしたい。更に外国人も少ない。これが3つの弱点。
これを観光部が指摘してくれたので、これに対する対応を考えています。やり方はとてもシンプルだが結果が出るのに時間がかかる。例えば、三重県は駅中の広告をこれまで出してこなかったので一昨年から出し始めました。宿泊日数を増やすための周遊型の観光で何泊かしてもらえるようにしたい。三重県は観光地は他の県知事から羨ましがられるほどある。そこを繋ぎ合わせるためにルートの観光をやっている。外国人もコロナ以前まで戻っていない。他ではコロナ前を超えているところが増えているのは外国人。三重県は外国人が増えていないので戻らないんです。日本人は海外へ行ったりし始めましたから国内の戻りは少し遅い。それを補って余りあるのが外国人。三重県はそれができないので、これをしっかりやっていかなければならない。観光指針を令和5年4月に出して、インバウンドや東京にもちゃんとPRを行うことなどを始めました。それを更に広げて深度化してるのが観光基本計画。いま議論中で、ほぼほぼ出来上がっている。
─柱となる考え方や政策は決まっていますか。
知事 まず拠点を巡るルートを決めるには、地域のDМО(観光地域づくり法人)と言われる観光の公社的なものがルートを考えていかなければならない。そのための補助金を用意しています。
─県内の観光地は点在していますよね。
知事 南勢では伊勢志摩鳥羽は近いので密接に連携しており、鳥羽に泊まって鳥羽水族館やミキモト真珠島、伊勢神宮、志摩へ行くというのもできます。もちろん、志摩や伊勢に泊まってもいい、北勢ではナガシマリゾート、鈴鹿サーキット、関宿、そして少し足を伸ばせば伊賀もある。
そして、中勢地域でどうやって観光地を掘り起こしていくか。DМОは伊勢志摩にも亀山にもあるが、中勢にも高田本山専修寺という国宝があり凄く良いんですが、その後にどこへいくというのがある。
しかし、津市の寒松院にはびっくりするくらい立派な藤堂家のお墓が並んでいる。松阪にも昔の武家屋敷があり、旧長谷川邸などもあるので周遊を考えても良いと思います。そもそも、セントレアと直結している「津なぎさまち」を使わない手はないと思います。
─地元の盛り上がりも大切ということですね。
人口減少問題の解決めざし 子育てや出会いを支援
─三重県は人口減少対策に役立てるため、子育て支援策のアイデアを募る新しい「みえ子ども・子育て応援総合補助金」発表しました。1市町あたり計3600万円を上限に事業のアイデアが提案できる。人口減少が特に進む10市町に対し、県は事業費の3分の2、その他の市町には半分を補助する。優れたアイデアがあれば、柔軟に上乗せを検討する方針とのことですが、現在までの受付状況などをお聞かせ願います。また、子育ての前段階といいますか、まずもって生涯未婚率が高まる一方の、結婚したくても成婚に至らない、どうしたらいいのか分からない、などの声も聞きます。三重県としての何か取り組みがあればお聞かせください。
知事 人口減少にスポットを当ててきたが、国でも子供にかかるお金を減らそうと3人以上の大学無償化などを決めています。我々も医療費の一部を市町の肩代わりをする事で浮いた計1・3億円を子育て支援に充てて下さいということをやっている。もっとストレートにこども総合補助金で市町がやりたくてもやれないようなことを県から2分の1か3分の2の補助をしています。これは成果を上げているので、そこが重要だと思います。妊娠から大学生になるまでの支援も大事ですが、結婚したくても出来ない人へスポットを当てる必要があります。県議会でも議論はありますが、やっていくべきだと考えます。47都道府県のうち31は結婚支援をやっています。50歳の未婚割合が1990年で男性3・9%、女性3・1%。2020年には男性は25・1%、女性13・6%と増えている。しかし、いずれ結婚するつもりとアンケートに答えた人は半数いるが結婚できない。それは出会いがないからなので、みえ出逢いサポートセンターの利用も伸びており、新たにサポーターをつくって活動をしている。
─当社もそういった方々への支援として結婚相談所事業をやっています。出会いの場がなく、昔のように世話やきな人もいないし、社内ではハラスメントになる可能性があり、異性とのコミュニケーションがとりにくいという背景があります。基本的に結婚がなければ子育てはありませんよね。
知事 ぜひぜひ頑張って頂きたいです。先進国が抱える問題で、子育てに光があたったのは1930年代のスウェーデンのミュルダール夫妻がきっかけとなり、ヨーロッパは子育てを支援するようになった。日本では随分遅れており、ドイツは10年くらい前に女性の家庭大臣が就かれて以降、出生率が上向きになっている。20年、30年かかるかもしれませんが、ひょっとしたら10年くらいで成果が出てくるかもしれない。今やらないと落ちる一方。三重県にとっても、大事な問題。茨城県はAIを使用したマッチングで2年間で91組が結婚している。三重県も一対一の引き合わせをやっていて238名の利用登録がありました。
企業のスタートアップ応援!
─日本は従来からの慣例や慣習、経済界の上下関係、資金調達の難しさなどが影響して、若者などが新しく自由な発想でのビジネスモデルの構築がしづらいと言われます。時代の流れが早い昨今のビジネス界においては、日本が世界に取り残されないためにも才能ある起業家が、その能力がいかんなく発揮できる土壌づくりが欠かせません。三重県は経済団体や大学などと連携して、起業を希望する人達を支援する新たな枠組みをつくり、スタートアップ企業の創出に力を入れていくとし、「みえスタートアップ支援プラットフォーム」を設立しました。「三重県ならではの環境に配慮したり、自動車など県内産業に密接したりする企業が生まれてほしい」と述べられていましたが、この新たな枠組みへの期待感は。
知事 新しいもののように聞こえますが、新しい商売のやり方を考えて起業するというのは、三重県は例えば三井家、真珠の御木本幸吉など今であればスタートアップとして認められるものがあります。それだけの県民性や気概はあると思います。スタートアップが出てくるためには、それだけ大きな市場と資金が必要。小さなところからでも結構なので、アイデアを出してやって頂きたい。農業であれば、津市の浅井農園さんは非常に頑張って頂いており、他県の知事も見に来て凄いと驚いていた。新しいやり方をしている。色んな所に工夫を凝らしていくのがスタートアップで、それを行政が応援していく。3つ補助金もつくったので、新しい産業を起こしていかなければならない。アメリカ一強の時代になっているのは、新しいことをやっていったからです。日本は意思決定に時間がかかりますが、良いものを出してます。例えばデンソー発のQRコードは世界を席巻しています。
─ものづくりから付加価値産業型へとビジネスがシフトしている面もあります。今までは良いものを安く作るという方向性で進んできましたよね。
知事 私も商売人の息子ですが、安く売るのは良いことなんですが、物の価値を評価してもらうのが大事。段々変わってきているとは思います。
観光もそうで高付加価値とか富裕層を狙う方向で考えていった方が良いです。余裕のあるものをどうやって提供していくのかということだと思います。
リニアの県内停車駅は 三重県の活力に寄与
─知事はリニア中央新幹線建設促進三重県期成同盟会会長でもあります。10月には、県内の停車駅位置の確定に向けて、鉄道や高速道路によるアクセスや利便性等を十分に勘案し、リニア中央新幹線の整備効果を県内全域に波及できる場所となるよう「三重県駅は、期成同盟会が令和4年11月に示した亀山市内の3つのエリアから選定し、その場所を提案すること」などを含む要望書をJR東海に出しています。名古屋から大阪間のリニアが開業した際の三重県駅の開設は、三重県民の悲願でもあります。知事も思いや期待をお話ください。
知事 リニアは三重県にとって決定的で重要な施設になる。昔はお伊勢参りで全国から人が集まっていた。高度経済成長期以降は名神高速道路は三重県を迂回しているし、東海道新幹線も同じ。東京に40年近く住んでいましたが、三重県を遠いと思っている人が多いが、そんなことはないんです。リニアが出来ると東京から一時間。大阪まで20分。どちらも通勤圏内になり、多くの企業が三重県に来る可能性があります。なぜならば三重県は土地が安い。働き手としての三重県民は凄く勤勉で真面目。この評価は東京や大阪からも聞きます。その日が来れば人口も増えていくし、産業も振興していくので1日も早く開通してほしい。
─これは大きなテーマになりますね。県民の活力にも繋がっていくので頑張って頂きたいです。本日はありがとうございました。
2024年1月10日 PM 12:48
1月2日・3日、津市大里窪田町に伝わる「窪田獅子舞」(津市指定無形文化財)が6年ぶりに披露される。
町内にある式内社・石積神社の3年毎の式年に合わせて舞い、五穀豊穣、家内安全、地域発展などを祈願している。前回は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止された。
獅子、笛と太鼓の囃子、巫女などの役割があり、小学生から20代が参加。獅子と囃子はこれまで男性のみの参加だったが、時代の流れに合わせ、今回初めて小学生が担う子役に女子2名が参加している。
練習は窪田集会場で11月中旬より毎日続けられており、経験者らで構成する継承団体「春月会」の会員が熱の入った指導を行っている。参加する若者たちは「頑張るので、沢山の人に見に来てほしい」と声を揃える。
獅子舞が披露されるのは1月2日①桜町町内舞9時半~、JR一身田駅前②六大・坂部町内舞14時~、窪田集会場前。1月3日(全て石積神社)①階下・馬場町内舞9時~②窪田町獅子神楽祭式典14時~③舞込み15時~。
2024年1月10日 PM 12:22
近鉄久居駅東口前の緑の風公園で、高さ約15mの木をライトアップしたツリーイルミネーションが点灯中。
久居地区の地域活性化に取り組む「久居げんき会」が2020年から毎年設置しているもの。同会はこの公園で、年に一度のグリーンフェスティバルや、毎月ひさい緑の風マルシェを開催している。12月16日にはイルミネーションの点灯式が行われた。
公園の木に沢山の電飾をつけて美しく彩っているほか、光のトンネルなども設置。公園の北東には子供たちがつくった竹あかりも飾られている。帰宅時に駅を利用する人たちも公園に立ち寄り、闇に浮かび上がる幻想的な光を楽しんでいる。
点灯は1月10日までの17時~22時頃。
2024年1月10日 PM 12:20