2024年1月

店頭に並んでいる各種「福引せんべい」

 今年も、津市の平治煎餅本店で「福引せんべい」が販売されている。
 節分に津観音で行われる『鬼押さえ節分会』は今年は2月3日開催される(鬼押さえ儀式と福豆まきは①13時~②14時半~③16時)。その土産として親しまれているのがこの煎餅。厄除けとしても重宝されており、昔は中勢地区の和菓子店で広く作られていた。生地の中心に干支、その周囲に「節分」「福引」「厄除」の焼印を押し、熟練の職人たちが手仕事で三角錐状に折り曲げ、中心の空洞に「えびす」や「大黒」などの縁起物を入れていく。通常の仕事の合間の限られた時間を使って一つひとつ仕上げていくので大量生産できない。
 同店では「今年も節分会で福を持って帰って頂けたら」と話す。全国発送も可能なので、離れた家族や知人へ贈る人も増えている。
 種類は、大8000円(完全予約制で予定数に達し次第売切れ)、中1800円、小900円、ミニ900円。全て税込。大門本店・江戸橋店で販売中。
 問い合わせは大門本店059・225・3212。江戸橋店059・226・9968。

 

還暦・年男年女をはじめ体験したい人を募集

伊勢路に春を呼ぶ参宮街道の風物詩、津観音こと恵日山観音寺『鬼押さえ節分会』が今年も2月3日にある。吉例の福豆まきに登壇する善男善女を募集中。本堂横に設けられる特設舞台から、津市長や津クイーンらと一緒に福豆・菓子をまく。今年厄年の人、還暦の人、年男年女はじめ、一度は体験してみたいという人まで誰でもOK。時間は①13時②14時半③16時のいずれか1回。集合は各1時間前に、北側道路をへだてた大宝院へ。
 男性は裃、女性は赤袢纏を着てもらい、厄除け祈祷の後、福豆まき。参加費は1万円(厄除け祈祷料・福さらえ・福ます・福豆などの縁起物を授与)。福当たり(1泊ペア温泉旅行、食事券、買い物券等)多数。申し込みは☎津225・4013またはFAX津226・7057、あるいは往復葉書に、氏名・生年月日・住所・電話(携帯、FAXも)・希望時間(第1希望&第2希望)を書いて、〒514の0027、津市大門32の19、津観音大宝院へ。締め切りは2月1日必着。

 

ジャパン・レール・パスとは、日本国以外からの訪日外国人旅行を対象に各社の鉄道・路線バスが乗り降り自由で利用できる特別企画乗車券

日本の旅館業法によると、旅館営業とは、和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業であり、客室数は5室以上となっていた。一方、ホテル営業とは洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業であり、客室数は10室以上となっていた。しかし、2018年の旅館業法改正によって、ホテル営業と旅館営業は「旅館・ホテル営業」として統合され、厚生労働省の統計である衛生行政報告例からも区別が消えた。旅館とホテルの違いが分かりにくくなったのである。
 39年の経験から一般的な旅館とホテルの違いを言うならば、旅館は食文化や大浴場、遊興施設などのエンタメ性がおもてなしの根幹を成し、ホテルは、プライバシーを重視した部屋の時間貸しが基本にあり、似て非なるものである。ホテルと違って旅館の多くは定員ベースを設定しており、例えば定員ベース4人利用で一泊二食8万円の畳敷きならば、一人あたりの料金は2万円となるが、その部屋を2人で利用するならば4万円となる。この理解が浅いと、安易に売り買いしても成功しない。
 私は1年半かけて鳥羽のホテルマリテームの再生に挑み、観光庁の「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」の1億円近い補助金も獲得した。しかし、旅館として存続することを決めていた大阪本社は、近県の観光地に比べてインバウンド客がほとんどいない鳥羽の市場性が暦に大きく左右されることを知り改修を断念、シンガポールのファンドも出資者として名を連ねる大手リゾート会社への転売を決め、ホテルマリテームは閉鎖した。さもありなん、改正旅館業法によると大浴場は少なくとも週一回は空にしなければならない。今年は二年に一度の耐震診断もある。老朽設備の中、そのコスト転嫁すら無策だったのである。
 その後、ホテルは解体され、新たに新築されるという。ボイラーやエアコン、配管等の耐用年数からみても妥当な選択だと思う。しかし、ハードウェアの新調だけでは、オフシーズンをカバーできる程のインバウンド流入でも無い限り、安売り国内旅行社の餌食になるだけである。採算性は疑問だ。
 なぜ三重県中勢以南にはインバウンドが少ないのか。昨年、私はレポートを広く(本紙も含め)公表したが、実は根本的問題はJRと県の鉄道政策にある。この事につき、少し進展があった。先日、業界団体と知事との懇話会があったが、前知事時代には無策だったインバウンド誘致政策を、現知事はジャパンレールパス問題も含めて取り組むとの姿勢をみせた。誘致政策は個々のホテルの努力だけでは限りがある。「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」で外観を綺麗に着飾っただけでは、シーズンオフ対策にはならない。行政は「官民一体」との言葉を好んで使うが、だったら誘致政策こそ、行政機関がしっかり取り組むべき事業なのである。地元宿泊者ゼロの豪華客船に旗を振っている場合ではない。
 (OHMSS《大宇陀・東紀州・松阪圏・サイト・シーイング・サポート代表》)

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