くすりの回覧板

 片頭痛は、セロトニンという物質が異常に放出されて脳血管が収縮し、その反動で収縮した血管が一気に拡張することで起こる強烈な痛みの発作です。
 片頭痛発作は、仕事や勉強の効率を低下させたり、家事ができなくなるほどの痛みで、吐き気を伴うなど日常生活に大きく支障をきたします。日本では、人口の約8%が罹患していると推定されています。
 片頭痛発作は大きく分けて2つあり、発作が今から起こりそうだというサインの様なものが体調変化として現れる、“前兆”があるものと、無いものがあります。発作の程度を軽くするためには、症状が起こってからなるべく早く薬を飲むことがポイントです。
 治療薬には、発作が起こってから飲む薬と発作を予防する薬があります。
 発作が起こってから飲む薬は、一般的に鎮痛薬として使われる痛み止め、吐き気などがひどい場合には吐き気止め、抗うつ薬や抗不安薬などです。また、片頭痛の原因物質のセロトニンにより拡張した脳血管を収縮させて発作を軽減する薬もあり、現在5種類発売されています。このタイプの薬は発作が起こってからでも服用でき、吐き気や嘔吐などの症状も改善してくれるのが特徴です。
 発作を予防するための薬は、基本的に毎日服用します。発作が起こってから飲む薬で効果が無かったり、副作用がひどい場合や、月に何度も片頭痛発作がある場合に使われます。脳血管の異常な収縮や拡張を調節する薬や、てんかんのお薬として使われている薬も片頭痛に使用されます。
 この様に片頭痛には色々なタイプの治療薬があります。発作を引き起こす状況をできるだけ作らないようにするとともに、自分に合った薬を見つけてその痛みを軽減していきましょう。(㈱メディカル一光・フラワー薬局新町店薬剤師 村木 けい子)

 この季節になるとそろそろ花粉症で悩むという方が多くなってきますよね。今回は東洋的な視点で花粉症についてお話しします。
 花粉症は、元々身体の水分の巡りが悪い傾向がある方が、花粉や埃などの外邪の影響で、主に肺(気管支や鼻なども含む)の水分代謝が更に悪くなり、溜まった水分(痰飲)が鼻や目から溢れるという状態です。
 また、生活環境によって気の働きが弱くなったり、巡りが悪くなったりすることで、免疫のバランスが崩れ、鼻水や涙をしっかり止めておく力も弱くなって症状へと繋がります。
 ですから、症状を抑えるためには、実は花粉症の季節に入る前の生活がとても重要なのです。不規則な生活や運動不足、辛い物・味の濃い物の摂りすぎ、ストレスなどにより症状は出やすくなりますので、早めの対策が大切です。
 また体質改善のために普段から漢方薬を飲むこともお勧めします。肺や粘膜、胃腸を丈夫にしたり、身体の水分の巡りを良くしたり免疫のバランスを整えておくことで、症状がひどくならないですみます。 
 花粉のシーズンに入った今でも、日常生活に気をつけて頂くのはもちろん重要ですが、普段からの対策としてお茶もお勧めです。  食品ですので、あくまで補助的なものですが、有名な甜茶を始めとして紫蘇やシジュウム、菊花、薄荷、紅豆杉などもあります。
 それでもなかなか治まらない方は、症状を治めていく漢方薬がお勧めです。小青竜湯が有名でよく使われますが、辛夷清肺湯や荊芥連翹湯など症状や体質によって別の薬が向いている場合もあります。
 普段の体質改善の漢方のことも含めて、気になられる方は医師・薬剤師に相談してみてください。
 (㈱メディカル一光・久居センター薬局薬剤師 多田洋平)

 アルコール依存症はお酒を飲む人なら誰でも発症する可能性のある病気です。お酒を飲みたいという欲求が強く、飲酒のコントロールができない精神依存と、お酒をやめるとイライラや不安が強くなり、手の震えや不眠など様々な症状が現れる身体依存があります。 自分の意志だけでお酒をやめることは困難で、治療薬が必要となる場合があります。
 治療薬は2種類あり、一つは肝臓で作用する抗酒薬です。この薬はアルコールが代謝されてできる二日酔いの原因となる物質(アセトアルデヒド)を増やし、ひどい二日酔い状態を作り出すことで、お酒に対する嫌悪感を強くさせます。
 もう一つは脳に作用する断酒補助薬で、お酒を飲みたいという強い欲求を抑える働きがあります。
 脳内には脳の興奮に関わる物質(グルタミン酸)と脳の抑制に関わる物質(GABA)の2つの神経伝達物質があり、通常は釣り合った状態になっています。 しかし、アルコールを摂取すると、グルタミン酸が弱まり、GABAが強くなって脳の機能が抑制され、眠気やふらつきなどの症状が現れます。これが酔っ払うという状態です。大量飲酒を長く続けるとグルタミン酸がGABAより多くなり、バランスが崩れます。そのバランスを取るためにお酒を飲みたいという欲求が強く出てきます。これがアルコール依存症のメカニズムと考えられています。
 そこで、グルタミン酸を抑え、このバランスを戻そうとするのが断酒補助薬です。断酒補助薬での治療には、カウンセリングなどの心理社会的治療を一緒に行う必要があります。
 アルコール依存症は大量飲酒を長い間続けることで進行します。飲みすぎは様々な生活習慣病の要因ともなるので注意しましょう。(㈱メディカル一光・フラワー薬局城山店薬剤師 松本 佳奈)

[ 1 / 5 ページ ]12345