163号をゆく

 

8月31日、終点の岩田橋北交差点よりスタート

8月31日、終点の岩田橋北交差点よりスタート

8月31日、終点の岩田橋北交差点よりスタート

8月31日、終点の岩田橋北交差点よりスタート

「この道はどこまで続いているのだろう…」。幼き日、きっと誰もが一度は抱いたことのある想い。しかし、それは大人へと成長していく過程でいつの間にか忘れ去られ日々の生活の中に埋もれがちな想いでもある。かくいう私自身もそうであったるように…。
子供の頃からという訳ではないが、私がこの仕事を始めて以降、そんな思いを抱き続けているのが国道163号。この道路について簡単に説明すると、大阪市北区の梅田新道交差点から津市丸之内の岩田橋北交差点を結び全長は118・5㎞。津市から上野市にかけての区間は、津藩の拠点であった津城と上野城を結ぶ官道として整備された伊賀街道をルーツとしている。この区間は、県道津上野線が平成5年に国道に格上げ認定されたもので、国道と呼ばれてからは比較的歴史が浅い。日常的に津市中心市街地から美里町や榊原温泉方面や、伊賀方面へ向う幹線道路として日々多くの人が利用をしている。
20周年記念企画と銘打ち、この道を徒歩で津市の終点から大阪市の始点まで遡る旅を試みようと思った原点は、13年前に入社した間もなくの頃にある。鈴鹿市で生まれ育った私は、文字通りこの辺りの地理について右も左も分からない状態だったため、現在の森昌哉社長(当時報道部長)に同乗してもらい、旧町村の役場周りをした。ナビゲーションを受けながら旧芸濃町から、グリーンロードを通り、旧安濃町、旧美里村と役場を辿り終わり、旧津市内へと戻ろうとする時に走ったのが国道163号との出会いだ。緊張から解放された安堵感もあって、豊かな新緑に彩られた山里の風景が今も脳裏に焼き付いて離れない。この時は、この道がどこからどこへ続くのかなんて考える余裕すら無かった。
国道163号は同じく津市内を走る国道23号や国道165号と比べると道幅も狭く、沿道に商業施設なども少ないため、地味な存在といえるかもしれない。しかし、最初の出会いから、幾度も走る度に私の心を捉えて離さない魅力を感じていた。それが何なのか分からないが、幼き日に抱いたあの気持ちに似たものであることは確かだ。そこで会社自身の大きな節目の年に、私自身の想いの源を確かめる機会として、この道を自分の足で余すことなく踏みしめるという企画に至ったというわけだ。
旅路の風景を綴る前にこの旅のルールを簡単にまとめておこう。①事前の現地下調べなしの一人旅②交通に支障がない限り徒歩で終点から始点まで現道約106㎞を踏破する③体力と時間を考慮し、一度で歩き切るのは難しいので行程を5~6回に分割④前回の中断地点までは公共の交通機関で戻り再開。これ以外には特に大きな制約を設けない気楽な旅にしたいと思う。
さて、これからどのような風景や人々に出会うのだろう。見慣れたはずの道に、不思議な高揚感を感じながら8月31日、岩田橋北交差点の終点より旅が始まった。(本紙報道部長・麻生純矢)

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