地域

「続・三重の味 千彩万彩」 

「続・三重の味 千彩万彩」

講演する大川吉祟さん

講演する大川吉祟さん

地域に伝わる郷土料理の試食会

地域に伝わる郷土料理の試食会

みえ食文化研究会がこのほど、「続・三重の味 千彩万彩」を出版した(2千円)。
同研究会=成田美代会長(三重大学名誉教授)=は、主に三重県の食文化について書き残す作業を行っており、平成18年に発行した初版の「三重の味 千彩万彩」で、三重県の各地に伝わる郷土料理をはじめ、県内で収穫できる農産物や獲れる魚介類などを膨大なデータと共に紹介。三重県の食文化を知る上で貴重な資料ともなっている。
今回の「続・三重の味 千彩万彩」では、初版にはなかった祭りとかかわる食や絶えた食、復元できた食、また、数十年もすれば伝統となりそうな新しい食などにも注目しページをさき内容を拡充している。
特に、初版で節分けしていなかった郷土料理に関しては、「年中行事食」「人生儀礼食」「日常食」に分けて紹介。さらに地域独特のものは、可能な限りどの食文化圏に属する郷土料理であるかも明示。食を通じて地域の習わしや、しきたりを知ることができる。
6月28日には、学校法人大川学園にて、同研究会運営委員長で同学園理事長の大川吉祟さんが講師となり食文化講演会「三重県における人の一生と食事」を開催。約80名が聴講に訪れた。
大川さんは各地に昔から伝わる言い伝えを紹介。妊婦から出産に至る食事として、津市では「磯物を食べると髪の濃い子が生まれる」、桑名では「生後5カ月を過ぎると鮑の雄と雌を食べる」ことや、妊婦に食べさせないものとしては、安濃町ではソバや鰯(イワシ)は「脂が濃く血が騒ぐ」、また焼き芋は「灰で焼いて芋を食べると灰汁(あく)が多いで」と避けていることを解説。
さらに明和町では脊の青い魚、刺激物、肉類を、小俣町では鯖、鰯、鰻が妊婦にはよくないと町史に記されていることを紹介した。
産婦の食事は、コンロを外に持ち出して使う、庭に竈を作るなどして家族と別にする「別火・別鍋」の事例が県下全域でみられるとし、桑名では「出産7日目までは部屋(なんど)から出ることが許されない」ことや、伊賀市玉瀧では食器や火だけでなく、履物まで家族とは別にしていることを紹介。
これらは、出産をケガレと忌むことによってなされ、「産日と死に日は食い合わせ」ともいわれることや、熊野地方では「産の穢れは死の穢れより厳しい」と言い、山仕事をする人々は以前から習わし通りにしないと「血をみる」と言うことなど、各地方の風習を解説した。
講演後は、出版記念パーティーも開かれ、現在も各地に伝わる郷土料理や、再現された郷土料理を試食。参加者らはそれぞれ関心のある料理に舌鼓を打ちながら三重県の食文化を体感していた。
尚、同書籍に関する問い合わせは、みえ食文化研究会☎津226・3131へ。

梅雨晴れ間の田んぼは美しい。青々とした稲のじゅうたんの上を風が渡っていく。風の姿が見えるようだ。
青田は一様に見えて、一様の緑ではない。緑の色が濃いところ、薄いところ、草丈の高いところ、そうでもないところ。その中に、ひと際緑濃く、丈の高い一群がある。
それを見て、ずっと昔に考えたことを思い出した。我が家の子どもたちが中高生だった頃のこと。あの緑濃く丈の高い一群の稲のように、我が家の子どもたちも他に抜きんでてほしい。
しかしながら、あの一群は真に優れているのだろうか。青田の時代に緑濃く丈の高い苗が、そのまま充実した実りを保証されるのだろうか。さらに、充実した実りとは、収量が多いことか、それとも美味しい米ができることか。
中高生の時期の子どもに抜きんでることを求めても、それが人生の実りにつながるかどうか。さらに人生の実りとは、いったいなにか。いろいろ考えても答えは出なかった。
その後、我が家の中高生は、大人になって就職をした。彼らの今の生活が充実しているかどうか。さらに今後の人生が豊かなものになるかどうか。今となっても、私にはさっぱり分からない。できることなら彼らの人生に、明るい光と涼やかな風があってほしいと祈るのみである。
(舞)

長友教授の講演を聞く参加者たち

長友教授の講演を聞く参加者たち

6月25日、津市美里社会福祉センターで「平成27年度地域見守り推進研修会」が開かれた。主催=津市社会福祉協議会、津市地区社協連絡協議会。 津市では、高齢化に対応し、地区社協を基盤に関係団体の連携により、一人暮らしの高齢者などの見守り活動を実施中。今後も更なる高齢者の増加が確実で、その活動の場が増えることから、地域に根差した活動の支援と関係機関の強化を目的にこの研修会は開かれた。地区社協、地域包括支援センターの関係者や見守り活動に取り組む市民など160名ほどが参加。 最初に、三重短大教授の長友薫輝さんによる講演会。演題は「『ささえ愛』でつながりづくり」。長友さんは、介護、認知症、引きこもりといった地域が抱える問題を解決するための第一歩として、住民一人ひとりがそれを「看過できない」と自分のことのように感じられるかが大切ということを語った。更に、以前のような人とのつながりが薄れた地域は、ただ声を上げるだけでは意味がなく、現状が面倒なことを放置してきたからこそ起きた問題と認識を改め、新たな仕掛けやチャレンジで挑む必要性を指摘した。その上で行政に要求ばかりをするのではなくみんなで対話をしながら課題を考えながら、楽しく和を広げていく環境づくりの重要性を訴えた。 その後、市内の団体で特に先進的な活動をしている「みまもり研究会あのう」と「成美地区社会福祉協議会」が、それぞれの取組みを報告していた。

[ 1,296 / 1,836 ページ ]« First...102030...1,2941,2951,2961,2971,298...1,3101,3201,330...Last »