地域

 幼稚園児の声がうるさいと訴訟になっているという。
 静かな環境がほしいという人々の心情は一応わかる。しかし、はじけるような子どもの声は、未来への呼びかけであり、子どもたちは国の宝です。これを消して日本の未来はない。
 私たちボランティアの会は、この10数年来、津市の一角に里山3・44ヘクタールをお借りして、子どもたちの体験学習支援をやっている。しかし、里山というクラッシックな環境活動なので、拘わる人は高齢化、その取り組みもしぼみかけている。
 里山は、人間のかかわりが育てた日本固有のかけがえのない文化であり、農家の方々をはじめ、きれいに手入れすることによって、ササユリやリンドウが咲き、生態豊かな環境に鳥や昆虫が群れ集い、人々の心に癒しを与え、そのことが、子どたちの栄養剤になっていくのだ。
 しかし、近年「里山」は放置荒廃状態となっています。里山を愛する人も減ってきた。
 これは私の未来(新年)への夢だが、近隣の迷惑にならない里山に「森の寺子屋」を建てて、そこで思いっきり大声ではしゃぎまわり、ネット社会を離れたこどもたちが、週に一回でいい、生き生き遊び学ぶ環境をつくりたいと考えている。
 こんな構想を私は20年前に津市の懇談会で提案し、「津の夢・シンボルプラン」に採用されました。
 私も後期高齢者の仲間となりましたが、このような夢をこれで終わらせたくない、今のままでは、次代の子どもたちがやさしく、思いやりのもてる人になれないと不安な気持ちがつのる。
 さいわい津市という町は、なんとなく文化性をもった町ではないかと思います。
 そこで、今一度、地元の方々の協力もいただきながら、私が描く構想を実現したいと考えています。
 私たちの会が掲げるビジョン(将来像)は、里山の保全、青少年の健全育成支援、里山を介した市民交流の3本柱です。
 私の描く青少年健全育成支援、市民交流構想に賛同し、支援してくださる方がぜひ現れてほしい。これは私の新年(未来)にむけての夢なのです。(NPO法人・みえ里山自然ふれあいの会事務局長)

赤塚高仁さん

赤塚高仁さん

 15日、京都KBSホールで、赤塚建設=津市乙部=の社長として、究極の健康住宅「住めば住むほど元気になる家」を三重県下に建築し、住む人に笑顔と健康を届けている赤塚高仁氏と㈱船井本社代表取締役社長の舩井勝仁氏との共著「聖なる約束 砂漠は喜び 砂漠は花咲き」(出版社・きれいねっと)の出版記念講演会が開かれた。
 赤塚さんは、日本宇宙開発の父と呼ばれる故・糸川英夫氏の愛弟子。 日本とイスラエルの交流に人生を捧げた師の遺志を受け継ぎ、両国を結ぶ親善団体「日本テクニオン協会」の会長を務めている。同国を訪れた回数は12回にも及び、「聖書に学ぶやまとこころの旅」団長として、マスコミが伝えないイスラエルの真実の姿や聖書の教えの素晴らしさを人々に伝えている。

舩井勝仁さん

舩井勝仁さん

 舩井さんは、㈱船井総合研究所の創立者である父の故・舩井幸雄氏が発足した「世のため人類のためのよい近未来」をつくろうとする勉強・実践団体「にんげんクラブ」を中心に活動をしている。
 全国から500人以上が駆け付けた会場のオープニングを飾ったのは、和太鼓集団・鬼太鼓座。力強い音と巧みなパフォーマンスで会場を魅了した。
 旧約聖書の創世記に記された天地創造が描かれたステージ備え付けの巨大なステンドグラスを背に、赤塚さんは「この場に私たちが立っていて、全国から多くの方がここに訪れたことは約束としか思えない」と挨拶。舩井さんも「聖なる約束という本を書くことになったのも、不思議なものを感じる」と続いた。
 更に、2人と共にイスラエルへ渡った今野華津子さんが登壇。〝世界一〟のエステティシャンにも輝いている今野さんは、経営不振だったタラサ志摩を再建したことでも有名。古事記を通じて大和民族の心を伝える活動をしている。今野さんは「イスラエルに行き、この地に戻り、世界中から日本という国を見ている二人。それぞれの立場で全く反対の方向から導き出した未来への光や方向性が語られると思う」とエールを送った。
 その後、舩井さんは、赤塚さんの熱い人柄とイスラエルの旅について語り、「イスラエルの初代首相のベングリオンは砂漠に雨が降って緑になると、平和になるのが分かっていた。イスラエルに行ってびっくりしたのは徐々にナツメヤシが増えて、砂漠が緑になっていること。やまとこころを持っている日本人の良さは、ええ加減なところ。そして、どんな苦難も乗り越えられる日本人は中東やアフリカを平和にしていく使命がある」と呼びかけた。
 登壇した赤塚さんは「イスラエルは日本人が世界で唯一学ぶべき国。空を飛ぶ鳥に空が、水を泳ぐ魚に水が見えないように、日本人に一番見えていないのは自国だ」と指摘。2000年も前の〝約束〟を守り、一度滅びた国を蘇らせたイスラエルと比べ、ほとんどの国民は建国の歴史すら、知らないという日本の実情に対し「歴史を知らない民族は滅びる」と訴えかけた。
 世界中で迫害されたユダヤ人たちが国を蘇らせるに至ったのは聖書に書かれた自分たちの歴史を忘れなかったからと説明。現在の日本国内には、日本が遅れた国と思ったり、その良さを語ることをはばかるような空気があるが、パラオでは第二次世界大戦時に米軍と戦いペリリュー島で玉砕した日本兵が現地住民たちを大切にしたことから、今でも尊敬されており、国旗も日本に似たデザインを採用したことを紹介。「日本が悪い国だと思い込ませようとしている間違った人たちに従ってはいけない。日本が本当のやまとこころを取戻し、日本人本来の魂に戻って、世界がそれに学ばなければならない」とメッセージを送った。

いすみ鉄道のムーミン列車

いすみ鉄道のムーミン列車

 11日・12日の両日、津市商工会(服部基恒会長)の「ふるさと鉄道『JR名松線』と連携した地域活性化プロジェクト委員会」=中田かほる委員長=の委員ら11名が千葉県房総半島の第三セクター「いすみ鉄道」を視察研修、鉄道を利用した観光開発による地域活性化を学んだ。
 松阪駅と津市美杉町の伊勢奧津駅を結ぶJR名松線は現在家城駅~伊勢奧津駅間が代行バスで運行されており、27年度末に全線復旧の見込みだが、問題はそれ以降。津市商工会では沿線経済団体の立場で名松線を活用した地域活性化の方策を探ろうと、全国商工会連合会の地域内資金循環等新事業開発検討事業の認定を受け、8月、名松線を元気にする会や津ガイドネットなど組織外からも委員を求め同委員会を発足させ、地域づくりの専門家を交えて検討している。
 その中で注目したのが1988年に房総の旧国鉄木原線(26・8㎞)を引き継ぎ営業開始した地元行政などによる3セク「いすみ鉄道」。沿線人口の減少に伴う利用客減による慢性赤字に苦しみ、廃線論議が出る中、09年に第2代公募社長に元英国航空会社旅客運航部長・鳥塚亮氏を迎えて観光路線化を進め、『ムーミン列車』や全国で唯一残存する旧国鉄型ディーゼルカー(キハ28と58)を運行。ホタル鑑賞や地元食材を使ったレストラン列車、夜行列車などユニークな企画列車の運行などによる普通客増や、オリジナルグッズ・地元産品などの物販による地域経済への波及効果も生み出している。
 委員会では事前に鳥塚社長の著書を読み、いすみ鉄道を取材したTV番組を観るなど事前勉強をした上で現地訪問。初日は伊勢海老特急に出す料理を担当している『ヴィラそとぼう』に宿泊。地域創造研究所・松本圭史所長を講師に、名松線を活用した地域経済活性化プロセスの検討や、いすみ鉄道視察のポイント確認を行った。また女将から効果や現状なども聴取した。
 翌日はムーミン列車に乗り、大多喜駅のいすみ鉄道本社を訪問。山口一衛総務部長らから昼食を挟み3時間にわたって同鉄道の取り組み、ジャズ列車など貸し切り列車の運行や駅構内・沿線の花壇整備などを行っている沿線住民と鉄道ファンによる『いすみ鉄道応援団』=会員140名=の活動などを詳しく聞き質疑応答、機関庫で整備中のレストラン列車も見学した。
 名松線を活用した地域経済活性化には、津市商工会が中心となった飲食・物産のビジネス集団の立ち上げと、JR東海の理解・協力が不可欠。越えるべきハードルは低くないが、中田委員長は「いすみ鉄道さんを見学させて頂き、私達が温めてきた観光列車の社会実験につなげていけそうな気がしてきた。鉄道会社、沿線住民、鉄道ファンなどみんなが頑張っている姿を感じる。自分達だけではできないので、いろんな人を巻き込んで活性化させていきたい」と意欲的だ。

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