地域

橿原市忌部町

橿原市忌部町

11月11日9時頃。前回の行程で大阪府入りしていたのだが、国道のバイパスと本道を間違えたことが発覚したため、奈良県橿原市から再スタート。JR畝傍駅前の駐車場に車を停めて歩き始める。晩秋に差し掛かっていることもあり、ほほを撫でる風が冷たい。
前回道を間違えたのは、畝傍山の麓付近。道路標識の案内がバイパス「165号」と記されているのに対し、本道「166号」と重複路線を優先していたため、間違えてしまったという経緯である。今度は、しっかり本道へと入っていく。
バイパスの方は用地買収の都合もあり、農地が多いいわゆる郊外を歩く雰囲気だったのに対して本道の両側には色々な店舗が立ち並び町の顔が見える。国道をイチョウ並木が黄色く染め上げている。しばらく進むと道路標識に書かれた「忌部町」という地名が目に飛び込んでくる。物々しい名前と思う人も多いはずだが、本来忌むという漢字は穢れを忌む(避ける)という意味がある。古代の朝廷の祭祀を司った中央氏族・忌部氏発祥の地でもある。初代天皇・神武天皇が眠る畝傍山周辺は建国の地とも称され、かつて我が国の都があった地。国道上の何気ない道路標識一つとっても古代史と直結するのは大和のお国柄といえる。
橿原市を超えると大和高田市。この流れは、前回のバイパス沿いと同じ。そして、市街地を通るので街の色合いをより色濃く感じるのも同様。といっても、私たちが暮らすこの地域とそう大差のない地方都市らしいひなびた町並みが続く。でも、そこに暮らす人たちは全く違うし、息づく文化や風習も全く違う。耳を澄まし、目を凝らし、自分の感性や知識というフィルターで街の情報をこしとっていく。今時、インターネットで調べれば大抵の情報は手に入るが、百聞は一見に如かず。歴史や統計などの情報は手に入るが、街の匂いや雰囲気までは感じられない。「人生に行き詰った時は旅をするべき」という言葉を聞いたことあるが、正にその通りと思う。自分が普段認識している「世界」なんて、実際のスケールと比べれば酷くちっぽけだと気付くことができるからだ。自分の居場所は必ずどこかにあるし、自分を必要としてくれる人もどこかにいる。どんな賢人であろうが、言葉ではなく、心で理解するためには行動するしかない。その行動の最たるものこそが旅である。お金をかけた分だけ遠くに、そして日常とは異なる景色を見ることが出来るが、普段何気なく通っている国道を歩いて遡るだけでも、「世界」に対する認識を新たに出来る。
(本紙報道部長・麻生純矢)

講師を務めるたつみ都志さん

講師を務めるたつみ都志さん

「半泥子と千歳山の文化遺産を継承する会」と津文化協会が主催する「半泥子のワンダーランド千歳山荘」が12月9日㈭から15日㈬の9時~17時(最終日は16時、13日は休館)、県総合文化センター第1ギャラリーで開かれる。後援=津市、津市教委、三重大学、石水博物館ほか。入場無料。
大正昭和の茶陶の世界に、大きな変革をもたらした川喜田半泥子は、津の郊外、千歳山に構えた山荘で陶芸や書画、茶に打ち込み、通じ合う人との談論風発を愉しんで千歳山文化を開花させた。
今展では、半泥子が愛した千歳山の風光や千歳山荘の建築、関連資料を通して半泥子のワンダーランド千歳山荘の秘密と魅力に迫り、更に千歳山荘を活かした津の町づくりを考える。
会場では、半泥子ゆかりの作家が手がけたふすまや杉の扉、半泥子ブランドとして開発した産品などを展示。
半泥子の愛した茶室を再現した呈茶コーナー・県茶道協会企画(状況により中止もある)や、三重の美術家によるチャリティ美術展が行われる。
▼講演会
12月11日㈯13時半~(開場13時)、県総合文化センター多目的ホールで講演会を開催。テーマは「谷崎潤一郎の家、川喜田半泥子の家」。大正・昭和を生きた谷崎と半泥子、二人の営みと家に焦点を当てて、芸術家の家と作品の関係や、家を残すことの意義を考える。 ①三重大学名誉教授の菅原洋一さん。演題は「川喜田半泥子の家─千歳山荘」
②武庫川女子大学名誉教授で谷崎潤一郎記念館前副館長のたつみ都志さん。演題は「谷崎潤一郎の家─倚松庵(細雪の家)、鎖瀾閣(蓼食う虫の家)。
共に事前申込不要。先着順。会場ではマスク着用のこと。

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著者の西村訓弘さん

著者の西村訓弘さん

三重大学地域イノベーション学研究科教授の西村訓弘さんによる著書「社長100人博士化計画」が12月1日、月兎舎より発刊された。
南伊勢町に生まれた西村さんは、企業の研究員やバイオベンチャーの経営者を経て、三重大学医学部教授となり、2009年には同大学地域イノベーション学研究科の創設に関わり現在に至る。
同科では、地域企業の社長らを学生に受け入れ、事業に関するテーマで研究を進めてもらい博士号の取得を目指している。博士となった社長がリーダーとなり、小さなイノベーションを群発させれば、疲弊した地域も甦る、との思いからだ。 なぜ田舎に人々が住めなくなったのか、地域イノベーション学研究科はどういう経緯で生まれたのか、社長が博士になると地域はどう変わるのか。本書では、西村さん自らの体験を基に考えた地域イノベーションの本質を明示。博士社長達の取り組みを紹介しながら、既成概念を創造的に破壊して、もの、ひと、ことを組み直し、新たな結合を生み出すイノベーションにより、地方が負っていた都会とのハンディキャップ(地域格差)を解消し、どんなに疲弊した場所からでも新たな富みを生み出す理想的な未来像を示している。
構成は、第一章=私の原点、第二章=バイオベンチャーのトップからアカデミズム畑へ、第三章=なぜ田舎に住めなくなったのか、第四章=社長100人博士化計画始動、第五章=博士社長たちと拓く新しい地域社会。
巻末には、「地域の潜在能力をいかにして引き出すか」をテーマに、西村教授、㈱マスヤグループ本社代表取締役の浜田吉司氏、発行人の月兎舎代表・吉川和之氏のてい談も掲載。
コロナ禍の今だからこそ、経営者、県や市町の職員、第1次産業の従事者、学生など、様々な人々の参考になろう。
四六判196頁、税込1320円で県内主要書店、WEBで取り扱い。
問い合わせは月兎舎☎0596・35・0556。

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