社会

津市美杉町三多気の国登録有形文化財「田中家住宅主屋」=田中稔さん(61)所有=がこのほど茅葺屋根の葺き替え時期を迎えたが、費用が約1千万円と高額にも関わらず、国の補助の対象外で工面に苦慮している。また田中さんは、同住宅を将来に亘り保存し、地域活性化のため活用する方法も検討中。同様の課題は市内のほかの登録有形文化財も抱える可能性があり、行政による保護施策の充実が求められている。

 

 

今月10日、美山町の茅葺職人が田中家の屋根の一部を修理する様子

今月10日、美山町の茅葺職人が田中家の屋根の一部を修理する様子

国登録有形文化財「田中家住宅主屋」と三多気の桜による豊かな山村景

国登録有形文化財「田中家住宅主屋」と三多気の桜による豊かな山村景

平成8年、文化財保護法の一部改正により誕生した「文化財登録制度」は、近年の生活様式の変化などにより消滅の危機にさらされている、多種多様で大量の文化財建造物を後世に幅広く継承することが目的。
重要なものを厳選し、許可制などの強い規制と手厚い保護を行う「指定制度」を補完する。保護措置は届出制と指導・助言など緩やかで、所有者が外観の変更や内装の改修をある程度自由にできるため、生きた文化財として保存されるのが特徴。
登録の基準は、原則として建設後50年を経過したもののうち、①国土の歴史的景観に寄与しているもの②造形の規範となっているもの③再現することが容易でないもの。
「田中家住宅主屋」は江戸後期の木造平屋建、入母屋造茅葺。国指定名勝で、さくら名所100選に選ばれた「三多気」の並木とともに豊かな山村景観を形成していることが高く評価され、基準の①を満たしているとして、平成22年9月10日に市内の民家としては初めて登録された。
現在、この家には田中さんの母・彌生さん(85)が一人で住んでおり、花見客
や、茅葺屋根と周囲の自然がつくる美しい風景を撮影しに来る写真家にも人気のスポットとなっている。
一方、このほど屋根の葺き替え時期を迎えて、1千万円という費用の工面や、将来に亘る保存・活用という大きな課題にも直面している。
昔はこの地域に茅葺の家が多かったため、地元の山に住民が共有する茅場があり、刈り取り作業も皆で行っていた。そして田中家では町内の職人に葺き替えを頼んでいたという。
しかし時代の変化でその風習もなくなり、約20年前に屋根全体を葺き替えた際は、7~800万円の費用
をかけ、茅葺の家が多数現存する「重要伝統的建造物保存地区」がある京都府南丹市美山町の職人に工事を依頼した。
その当時、田中さんは市の正規職員だったためローンを利用できたが、現在は定年退職し嘱託職員であるため今回の葺き替えではローンが組めない。
また登録有形文化財建造物の修理に関しては国の補助があるが、要綱で明文化はされていないものの総工事費が約2千万円以上・設計費200万円以上といった条件があり、個人宅での利用は極めて難しい。
そこで田中さんは、跡継ぎがいないこともあり、クラウドファンディングによって、今回の葺き替え工事を含め将来に亘って同住宅を保存し、活用する方法を検討中。保存のための資金を集め、地域活性化や田舎暮らしをしてみたいなどの目的で同住宅に滞在してもらうという構想がある。
田中さんは「住民が途絶えさせず昔からある桜と共存している家を、屋根を直すことに同じ方向性の思いがあり、夢を持つ人のフィールドにしてもらいたい」と話しており、実現が期待される。
市内には他に18件の登録有形文化財があり、特に所有者が個人の場合、保存や活用に同様の課題が生じ得る。人脈やノウハウなどがないと個人での解決は難しく、国が一定の文化的価値を認め、後世への継承を目的に登録されている以上、行政による補助などの保護施策の強化が必要だろう。

津市出身の太田美穂さん(20)はこの春に三重県初のガールズケイリン(女子競輪)の選手となり、今は7月に予定されているデビュー戦に向け、ホームバンクの松阪競輪場でトレーニングを重ねる日々を送っている。華やかな勝負の世界に身を投じた太田さんは全国の選手たちとしのぎを削ることになるが、これから県内で同じ道をめざす未来の後輩たちの憧れの存在となれるよう、今後の活躍が期待されている。

 

三重県初のガールズケイリンの選手になった太田美穂さん=松阪競輪場で

三重県初のガールズケイリンの選手になった太田美穂さん=松阪競輪場で

戦後よりしばらく開催されていた女子競輪は、長らく途絶えていたが、2012年よりガールズケーリンとして正式に復活。男子競輪とは一線を画する独自のルールと、女性選手たちが織りなす華やかなドラマが人気を博している。
太田さんは、父・安治さんが監督を務めていた小学生の陸上チーム「一志Beast」での活躍を皮切りに、小中高と陸上競技に打ち込んできた。転機が訪れたのは高校卒業を間近に控えた頃。大学進学が決まっていたものの、陸上競技を続けることに迷いが生じていたところに、いきつけの整体院で「ガールズケイリンをやってみないか」と勧められた。早速、松阪競輪場でガールズケイリンのレースを観戦し、その世界観に魅了され、すぐに選手を目指すことを決意した。その後、土日や夏休みには自転車漬けの日々を送った。
太田さんの師匠は、松阪競輪場をホームバンクとするS級最高齢優勝記録を持つ萩原操選手(54)。萩原選手門下の男性選手に交じっての練習で、男子と女子のスピードの差に、時には心が折れそうになりながらも、精神的にも肉体的にも鍛錬を重ねた。
そして昨年、太田さんは日本競輪学校=静岡県伊豆市=に入学し、約10カ月間の厳しい生活を終え、この3月に卒業。日本競輪選手協会の三重支部にも所属し、晴れて三重県初のガールズケイリン選手として第一歩を踏み出した。
学校に入るまでは、男性と練習をする中で悔しい思いもしてきたが、同じ女性と走った時に自分の実力が改めて認識でき、自信にも繋がった。そして、同期のライバルたちの存在は、更に競技に打ち込む原動力にもなっている。
「自分の力で勝つことやコツコツ努力を重ねて結果に繋がることも嬉しい。競技としては、様々な駆け引きがあるのも魅力」と笑顔で語る太田さんは現在、7月に予定されているデビュー戦に向けて、松阪競輪場で萩原選手らの指導を受けながら力を蓄えている。
太田さんが萩原選手たちの温かい指導を受けながらガールズケイリン選手へと成長していく姿は、ユーチューブでも動画として配信されており、「ミポリン」の愛称で親しまれている。動画を見た人たちから温かい言葉をかけられることも多く、「地元の松阪競輪場のバンクで走りたいという気持ちが強い」と師匠である萩原選手や、応援してくれる人たちへの感謝を込めながら語る。
三重県初のガールズケーリン選手としてプレッシャーを感じることもあるが、全国のライバルたちとの戦いを夢見て今日も練習を積む太田さん。同じ女性選手が身近にいない先駆者ならではの苦労も少なくないが選手としての飛躍と共に、同じ道を目指そうとする〝未来の後輩〟の目標にもなれるよう今後の活躍が期待されている。

 

 

「広い庭なんていらない!」と友人が言っている。それが庭の広さ自慢じゃないことは明白だ。この時期の雑草といったら、倍々ゲームのように増えていくから。
道端の草を見ていても、雨の後には一気にボリュームが増える。中でもスイバは、ぴゅーっと伸びて、薄赤い花を咲かせている。似たような草で、少し大きい緑の花を咲かせるのがギシギシ。これもあっという間に大きくなる。
庭に除草剤はまきたくないし、草引きは大変だ。自分で草刈り機を使えれば一応格好はつくけれど、それも重労働。広い庭を持つ人には気の毒な季節である。
草を動物に食べさせたらと考える。庭で兔を飼うのはどうだろう。ギシギシを摘んで兔に与えた記憶がある。スイバやギシギシは兔の大好物だ。
山羊や羊なら、もっと草を食べる。ニュージーランドで聞いたが、彼の地では夜でも冬でも羊を外に放りっぱなしらしい。ニュートン算みたいに、羊が草を食べる速度と庭の草が伸びる速度を計算して庭に羊を放しておく。
それでも、動物を飼うのは除草作業より手間がかかりそうだ。防草シートぐらいが、現実的な雑草対策だろう。さらに上をいく対策は、広い庭を持たないこと。庭は公園に任せて、日本人らしく小さな敷地のウサギ小屋に住めば草の悩みは解決だ。      (舞)

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