社会

昨年度から津市でも始まった『生活困窮者自立支援制度』。市は生活保護に至る前段階の人々を対象とした相談窓口を置き、自立に向けたプラン作成や、就職活動を支えるための家賃相当額の給付、子供に対する学習支援などを実施。初年度は計200世帯が制度を利用したが、生活保護制度と比べると、まだまだ一般への浸透が進んでおらず、更なる周知を行うと共に、貧困の連鎖を防ぐための継続的な施策展開が必要だ。

 

非正規労働者の増加、人間関係の希薄化、親から子へと受け継がれていく貧困の連鎖といった現代社会が抱える諸問題が生み出す様々な問題を背景に昨年4月施行されたのが同法に基づく「生活困窮者自立支援制度」。今後も更なる増加が予想されている生活保護へと至る前段階の人々に対して様々な支援で自立を促すことを目的としている。
全国に福祉事務所を置く
自治体が同法に基づく事業を実施しており、津市でも健康福祉部の援護課が津市社会福祉協議会に業務委託し相談窓口を設置。相談者に対して就労や自立に向けたプランを作成する「自立相談支援事業」、離職などで住居を失った人の就職活動を支えるために家賃相当額を支給する「住宅確保給付金」の支給を国が定めた必須事業として実施中。
更に津市が独自の判断で行っている任意事業として、困窮者の家計の見直しなど生活を改善するために必要なアドバイスを行う「家計相談支援事業」、一般就労に向けた生活習慣改善といった訓練を行う「就労準備支援事業」、生活困窮家庭の子供を対象とした「学習支援事業」を実施。 その他にも、相談者にふさわしい福祉サービスがあれば、取り次ぎを行うなど、生活に困った場合、最初に相談できる場所としてその役割を果たしている。
初年度の実績として、制度を利用したのは200世帯で、プラン作成にまで至ったのが79世帯。生活保護制度と比べると、まだまだ制度自体の一般的な知名度が低く、今後の更なる周知が課題となっている。
とりわけ、子供の貧困は政府を挙げて解決に取り組む重要課題だけに、学習支援事業の持つ意味合いは非常に大きい。昨年度は民間事業者に委託して、一人親世帯の場合は小学4年生~中3が対象、生活困窮者世帯と生活保護世帯は中学1年生~3年生を対象に週1回、津地区と久居地区で学習指導を実施。双方合わせて61名の子供が事業を活用した。今年も実施に向けて事業者の選定など準備を進めている。昨年度、学習支援事業を利用したのは生活保護世帯のみで生活困窮者世帯の子供が居なかったが、生活困窮者自立支援制度を利用した200世帯の内、25世帯に子供がいることが分かっており学習の最初のつまずきとなる小学生や、将来の進路決定に重要な影響をおよぼす高校生にまで支援の幅を広げていけるかも、今後の検討課題となるだろう。
不安定な社会情勢の中、貧困に悩む家庭が増大していく可能性も高く、自立に向けた支援を行う事業の意味は大きい。生活困窮者本人だけでなく、肉親や知人が身近に生活に困った人が居た時に、制度利用を促すことも重要となるだろう。
先進事例を見ると自治体と民間団体の密接な連携によって、制度利用者に手厚いサポートを行っているケースが多い。津市も継続的な取り組みと共に、今まで以上に効果的な支援ができる事業の模索など、更なる施策充実の余地はある。生活保護費の抑制や貧困の連鎖を断ち切るという観点からも重要な施策だけに、今後にも期待したい。
問い合わせは津市援護課☎津229・3151へ。

津市社会福祉協議会が保管・管理している『地域福祉資金』は合併以前の旧10市町村の各社会福祉協議会の基金を原資としており、福祉活動への助成に使われている。しかし、合併から10年を迎えた今でも旧10市町村別に資金が分割されており、積立額の多い少ないで地域毎の助成額に差が出ている。社協の合併協議の中、この資金も合併後3年で一本化が目標とされていたが未だ至っていないのが実情だ。

 

 

プリント 「地域福祉資金」とは、平成18年に旧10市町村の社会福祉協議会が合併した際に、各市町村にあった社協が保持していた基金から、それぞれ2億円と職員の退職金といった必要経費を拠出した上で、残りを積み立てたもの。
この基金の原資は国が昭和63年に行ったふるさと創生事業の交付金や、行政からの補助金、それぞれが集めた寄付金など。合併時の取り決めにより、追加の積み立ては一切せず、無くなるまで取り崩していく形となっている。合併当初で計約13億5千万円の資金があり、年間平均4~5千万円が取り崩され、平成27年度末で約8億7千万円が残っている。
この資金について、津市社協はあくまで保管・管理を行っているだけというスタンスに終始しており、同社協の財産として計上されているものの、実質的な決裁権を持っていない。取り崩しに関しては、旧市町村におかれた同社協の各支部地域におかれている津市地域福祉資金運営員会が地域の実情に沿った事業計画を作成。それに基づき年間の取り崩し額を決めている。
元々、この資金は合併協議で各社協の代表者たちが、合併後3年で一本化するという目標を立てたが、現在も一本化されず、旧市町村単位ごとに分割管理されている。その残高には大きな差があり、同じ津市内で同じような福祉事業を行っているにも関わらず、資金の残高差による財政的な背景で助成額に差が出ることにも繋がっている。
一本化できない最大の原因は地域福祉資金の原資となっている旧市町村が保持していた基金の性質。旧津市社協と比較すると、ほかの旧市町村の社協では、旧町村の地域住民や自治会に積極的に協力を呼びかけて会費や寄付などを集めていたこともあり、基金は地域の人々から預かったものであるという意識が強いからだ。
また、各地域で資金を使った助成事業についても、津市社協は助言は行うものの最終的な決定権は、運営委員会にあるため、久居は平成25年度までに基金を全て地域内の地区社協で分配しており、積立の残高は0となっている。これも一本化の議論を行う際に、どう考えていくかが課題となろう。
ただ、残りの地域で比較しても、津地域の約6億円から河芸の約951万円まで残高に大きな差がある以上、人口比を加味した上でも枯渇までの年月に大きな差が出てくることは明白。津市社協は資金が枯渇した場合に備え、資金から助成を受けている各地域の地区社協に、地域住民からの会費など自主財源を確保するよう呼びかけているが、旧市町村時代に積み立てた基金の多い少ないで、向こう何十年に亘って地域福祉の平等性に影響を与え兼ねないのは無視できない問題だ。それは、そもそも社協合併の意義さえも、否定することに繋がりかねない。
もちろん、一本化できなかった経緯からも、各地域で資金を大切に扱ってきたことは理解できるが、合併協議の中で見出した資金の在るべき姿から逸脱をしているのも事実である。
これまでの経緯を含め、一足飛びな一本化は難しいと思われるが、合併から10年を迎えた今だからこそ、津市全体の地域福祉の未来を見据えた上で、改めて建設的な議論を交わす時に来ているのではないだろうか。

津市内でもこの時期、市街地・農村部問わず、路傍で黄色い美しい花を咲かせている『オオキンケイギク』は生態系に悪影響を与えるため、法律によって移動・飼育・栽培・販売などが禁じられている「特定外来生物」。我々の良く見かける生物の中でも、特定外来生物に指定されているものは少なくないため、まずは正しく認識することが重要となる。

 

 

津市で自生するオオキンケイギク

津市で自生するオオキンケイギク

平成16年施行の「外来生物法」では、人の生命や身体、農林水産業への被害や、日本固有の生態系を破壊する可能性がある海外原産の生物を特定外来生物に指定。飼養・栽培・保管・運搬・輸入・販売・放逐などを禁じている。違反した場合、販売目的の場合は個人で3年以下の懲役や300万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金が科せられる。販売目的ではない場合でも個人で1年以下の懲役や100万円以下の罰金、法人で5000万円以下の罰金と厳しい罰則が定められている。
現在100種類以上がこれに指定されているが、その代表格といえば、この時期に津市でも、鮮やかな黄色の花を市街地や農村部問わず、様々な場所で見かけることができる「オオキンケイギク」だろう。この植物は北米原産で元々、行政が法面緑化に植えるなどしてきた。しかし、生命力と繁殖力が強く、各地で野生化。在来種を駆逐してしまうため、特定外来生物に指定されている。庭先に生えているものを防除する場合でも法律上、枯死させないと運搬ができない。また、今年もそろそろ種をつけ始めるが、そうなると、国から防除の許可を受けた自治体や団体でないと生きた種を運ぶことができなくなる。法的な問題もあるが、なにより、うかつに種がついた株を動かせば大量の種が飛散し、更に生息範囲が広がることが危惧される。
次いで身近なものといえば、釣りの対象として人気の北米原産のブラックバス(オオクチバス・コクチバス)とブルーギルだが、これらも在来種の駆逐が問題となっている。他の特定外来生物と比べると飼育・運搬・放逐での逮捕例が目立つことも特徴。琵琶湖などリリース禁止条例が設けられている場所を除けば釣った場所でのリリースは禁じられていないが、生きた個体は絶対に持ち帰ってはいけない。
人の身体と生命を脅かす特定外来生物の代表格はオーストラリア原産のセアカゴケグモ。津市内でも発見されており、毒性もあるため、行政なども警戒を呼び掛けることが多い。農作物に深刻な被害を与える特定外来生物として有名なのはアライグマで、津市でも被害が出ている。
これらは既に指定を受けている生物だが、新たに加えられる生物もいる。ペットショップでも安価に売られていた台湾などが原産の「ハナガメ」も在来種のイシガメなどとの交雑が問題となり今年9月より特定外来生物として規制される。更に、観賞魚として人気の北米原産「アリゲーターガー」や「スポテッドガー」などのガー科の魚も平成30年4月より規制対象に。大きくなると体長1mを超えてしまうので、持て余した飼い主が川などに放してしまい、問題化している。これら新たに指定される生物を規制される前から飼っている場合、国の許可を受ける必要があり、繁殖もできなくなる。逆に言えば、今まで以上に最後まで飼う責任が出来たともいえる。
例えば、子供が捕まえてきた生物が特定外来生物である可能性もある。そういった際にも注意を促せるよう、まずは一人でも多くの市民が身の回りの生物に関心を持つことが重要だ。

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