社会

今年誕生65周年を迎えた「ボートレース津」は、名張市や岐阜県での場外発売場開設や、電話投票の増益を図る施策などにより売上が改善傾向で、平成28年度に続き29年度も一般会計への操り出しができる見込み。また29年度から会計処理方法を、資産の状況を把握できる「発生主義会計」に変更したほか、年度内に施設整備計画を策定し、引き続き、経営基盤の強化と、市財政への貢献を目指していく。

 

平成29年3月にオープンした「チケットショップ養老」

平成29年3月にオープンした「チケットショップ養老」

競艇・競馬等の公営競技は、レジャーの多様化などにより全国的に入場者数・売上が減少。ボートレース津の売上も平成2年度の503億円をピークに年々減っていた。
また平成9年度~同14年度に行われたスタンド改修の総工費約171億円のうち、約78億円は借入で、売上の低下と借入の償還が重なり、16年度より市の一般会計への繰り出しがストップ。経営
改善が市政の大きな課題となっていた。
この状況が好転したのは23年度。ボートレース津隣接地にオープンし、早朝からナイターまで営業する外向発売所「津インクル」により、売上が大幅に向上し、28年度には12年ぶりに繰り出しが復活した。
また津市は27年度、名張市に「ミニボートピア名張」、28年度には岐阜県養老町に「チケットショップ養老」をオープン。
それぞれ場外舟券売場がなかった2地域に設置してボートレースファンのニーズに応えたこともあり、一日の想定売上(各700万円・500万円)を月平均で達成している。
また近年需要が増加している電話投票の増益を図り、27年12月にホームページをリニューアルしたところ、28年度の電話投票の売上が129億9千万円(22年度比で247%)と大幅に増加。
ほかにもグレードレースの獲得、プレミアム指定席・大型映像装置の設置など様々な施策を実施し、単年度純利益は26年度に3億6千万円、27年度に7億4千万円、28年度は8億円と増収。29年
度も経営の改善傾向は続き、一般会計へ1億円の操り出しを予算計上して
いる。
ただし、今後の経営には課題もあり、単年度純利益が大幅に改善している一方で、来場者数は減少傾向。また、借入の償還額はピーク時の6億~7億円を超え今年度は約2億8千万円で、36年度に完済するが、今後、競技棟など老朽化している施設の維持管理費用の増加が見込まれている。
このような中、ボートレース津は、誕生65周年の節目である今年の4月に、適切な経営判断に繋げるため、地方公営企業法を財務適用し、会計処理方法を「現金主義」から資産の状況を把握できる「発生主義会計」に移行。 基本方針として、①津市財政への貢献を継続②ボートレースファンの満足度向上③さらなる経営基盤の強化を掲げる。また駐車場への店舗誘致など施設の在り方を検討ししており、今年度中に施設整備計画を策定する。
本場と場外の両方で積極的な施策を展開し、経営が安定しつつあるボートレース津。将来に亘る収益確保には新規ファン
獲得が重要で、施設整備計画などの取り組みに期待したい。

津市久居東鷹跡町の旧久居庁舎跡地に建設され、平成31年度に供用開始予定の「(仮称)津市久居ホール」は、「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」(劇場法)に基づき、実演芸術の振興と人材育成を目指す施設で、現在、専門家や地域住民らによって施設運営などに関し多角的な議論が行われている。しかし、市は管理運営の体制や内容を未だ決定しておらず、迅速な対応が求められている。

 

 

外観パース久居ホールの整備は、津市の副都市核に位置付けられている久居駅周辺地区まちづくりの一環。
津市の約10あるホールは市の中心地にある施設以外は利用率が低く、
市の文化振興において長年の課題となっている。
また平成24年に施行された劇場法は、音楽や演劇などの実演芸術の振興や人材育成を国と自治体の役割と規定。今年6月には、文化芸術振興の根拠法となる「文化芸術振興基本法」が改正され、観光やまちづくり、国際交流、福祉、教育など関連分野の施策が同法の範囲に加えられた。
帝塚山大学名誉教授で公共文化政策専門の中川幾郎氏は、公共ホール運営について「社会的少数者を含め市民皆の文化的権利を守る公平かつ平等な政策と、まちの特有性を生かしアイデンティティを高める選択的な政策の2つが必要」として、万人が芸術に触れられる事業と、地域の文化・観光振興などを目的とした事業の両方を実施することが重要とした。
このような中、劇場法に基づき整備される同ホールは、平成26年に整備基本計画が策定された。今年5月には設計業務が完了し、720席のホール、専用展示ギャラリー、多目的アートルームなどが設けられることとなった。現在、専門家や地域住民らによる建設検討委員会・管理運営検討委員会で多角的な議論が行われている。
市内で初めて劇場法に則り開館するホールであり、文化・観光振興などのまちづくりにおいて他のホールのけん引役となることも期待される。
しかし、津市は整備基本計画で、「独自性ある文化芸術の創造と発信を行う」などの基本理念を掲げたものの、運営の具体的な内容を未だに決定していない。
また施設の管理運営については現在のところ、直営はせず指定管理者を募集する方向だが、質の高い事業を実施するためには、指定管理者の選定や、管理運営の目標設定・モニタリング・評価を行う際に、文化芸術の専門知識を持つ人材が必要となる。
さらに、久居ホールは既存の津リージョンプラザお城ホールと津市白山総合文化センターしらさぎホールとの連携を目指しているが、内容は未定。
市は管理運営計画を今年度を目途に策定完了予定だが、ホール運営の基盤をつくるには、これらの課題に対応した計画だけでなく、開館前から、市民が文化芸術に関心を持つ気運を醸成し、ホールで芸術活動を行う人材を育成することが重要。 市には、劇場法に基づくホールの果たすべき役割という原点に立ち返ったうえでの、早急な取り組みが求められている。

津市の友好都市である北海道上富良野町で10月15日に行われた「かみふらの収穫祭」に『高野尾花街道 朝津味』=津市高野尾町=の職員や農業塾塾生や津市豊が丘住民らによる訪問団が参加。津市産のサトイモや県産のミカンなどの販売を行うと共に、同町や周辺地域の農家や販売店を周り、年間を通じた相互の農作物の流通促進を軸にした新たな交流への第一歩を切った。(本紙報道部長・麻生純矢)

 

訪問先の農家(右から2・3人目)と朝津味職員、濵本さん(右)

訪問先の農家(右から2・3人目)と朝津味職員、濵本さん(右)

収穫祭で飛ぶように売れるミカンとサトイモ

収穫祭で飛ぶように売れるミカンとサトイモ

向山富夫町長を表敬訪問した翌日の10月14日、訪問団15名は二手に分かれ、団長の生川介彦さんら12名は現地で農産物の直売などを営む三野隆治さんの案内で、同町やその周辺の文化施設などを巡った。
もう一方の朝津味職員と農業塾生ら3名は、朝津味が相互地域発展のために「文化、産業協定」を結んでいる「㈲フラワーランド上富良野」を訪問。朝津味では、昨年より旬を迎える7月から8月にかけて、同社のメロンの販売を行い、好評を博している。津と同町の更なる交流促進のためにも、同社で生産しているじゃがいもなど、他の農産物を朝津味で販売したいと、伊藤仁敏社長に相談した。
その後、河芸町で5年ほど住んだことがあり、現在は同町の深山峠でコテージ「ウッディライフ」を営んでいる濵本幹郎さんの協力で、同町や周辺の中富良野町や美瑛町の農家を訪問し、農産物の取引に向けた交渉を行った。農家はそれぞれ春のアスパラガス、夏のとうもろこし、秋のかぼちゃ、冬のたまねぎなどを生産しており、交渉が上手く進めば、四季を通じた農作物の仕入れが可能となる。一行は農家一軒当たりの作付け面積数十ヘクタールという大規模農業ならではのスケール感と、北海道の農産物の品質の高さを改めて実感した。
15日、訪問団はいよいよ「かみふらの収穫祭」に参加。朝津味が地域ブランド化を目指しているサトイモ30㎏と、県産のミカン100㎏に加え、生川さんが用意したサツマイモを販売。どれも気候の関係で、北海道では栽培しづらい農作物であることから、人気を博し全商品がわずか一時間足らずで完売。需要の高さを肌で実感することができた。また、会場では、
津市のサトイモと同町のジャガイモがコラボした「芋煮汁」が販売され、大好評だった。
朝津味では、訪問した農家の農作物や、三野さんの仲介で北海道のブランド米「ゆめぴりか」などを販売するビジネスプランを作成中。加えて、同町の㈱一色商店と三野さんが経営するファーム富良野で、津市や三重県産の農産物を販売する予定。
今後は双方の農産物を使ったコラボ品の開発なども行う予定で行政レベルでの交流が中心だった両地が、民間レベルの経済的な相互交流に向け一歩を踏み出した。

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