社会

昭和47年に行われた三重大学初の公開講座の受講生によって翌48年に創設された「都市環境ゼミナール」=伊藤達雄会長=が12月14日㈫14時~16時、三重大学地域イノベーション学研究科3階イノベーションホールで公開セミナー(12月例会)を開く。
講師は同大学特命副学長(環境・SDGs)で、初代WHO(世界保健機関)アジア・太平洋環境保健センター(WHOACE)所長の朴恵淑氏。テーマは「COP26(グラスゴー気候合意)報告~気候危機とカーボンニュートラル社会~」。
朴氏は、今年10月15日付けでWHOACEの初代所長に就任。先月13日まで英国グラスゴーで開かれたCOP26に出席している。
当日はCOP26報告に関するホットな内容と、気候変動対策として近年注目されるカーボンニュートラル社会について話を聴く。聴講希望の人は当日直接会場へ。
問い合わせは同ゼミ事務局☎059・231・6403へ。

少子高齢化によって空き家が社会問題化している。津市でも倒壊の恐れがあり特に危険性の高いものを「特定空家等」に指定。持ち主に対しては書面での通知に加え、直接会って適切な管理を求めるなど地道な努力で着実な成果を上げている。空き家問題は多くの市民が当事者になる可能性があり、決して他人事とはいえない側面がある。

 

平成30年の国の住宅・土地統計調査によると、空き家は全国に約849万9千戸ありと過去最多で空き家率は13・6%。そのうち、賃貸、売却、別荘などの物件を除いた数が約348万7000戸。5年に1回行われるこの調査では毎回空き家は増加。全国各地で管理されない空き家の倒壊などのいわゆる「空き家問題」が広く認知されるようになった。
国は平成25年に施行した「空家対策特別措置法」では、市町村の権限を強化。特に危険な空き家を「特定空家等」と認定し、持ち主が改善や解体に応じない場合は住宅地の税制優遇措置を解除、さらに強制的に解体を行い費用を請求する行政代執行が行えるようになっている。
津市では、倒壊の危険性がある空き家の中でも広く被害が及ぶ危険性がある公道に面した331件を「特定空家等」として、それ以外の危険性のある空き家752件を「特定空家等以外」として認定している。
ただし、これら物件は土地の資産価値が低く、相続登記がされていないケースが多い。登記簿に記されている人物から子や孫まで代を重ねる度に相続人の数が増え続け、全国に散ってしまっているケースも珍しくない。
津市でも認定した空き家に関して、登記情報や固定資産税の課税情報などから所有者を特定。その上で、相続人へ書面の郵送や連絡などを行う。担当職員と所有者が直接顔を合わせて話しをすることも改善を促すうえで重要であるため、県外に足を運ぶこともある。
特定空家等のうち、今年9月末までに改善に至ったのは163件。法律に基づく指導が行われたのが計97件。そのうち30件が改善。税の優遇措置が外れる勧告に至ったケースは計17件で、うち4件が改善。最上級の命令に従わなかったのは1件で行政代執行で解体されている。結果、特定空家等全体の約60%が改善に至っており、「特定空家等以外」は76%が改善。担当職員の地道な努力が奏功している。
これまで市には800件以上の危険な空き家に関する相談が寄せられているが、台風の被害が多かった平成30年度には218件と過去最高。近年は大きな災害に見舞われていないため、令和元年度89件、令和2年度68件、今年度9月末現在で24件と減少している。ただし、空き家は今後も増え続けることは確実で、決して油断はできない。
一方、津市では、使える空き家の利活用にも力を入れており、「空き家情報バンク」を通じて、空き家の売買や賃貸をしたい所有者とを空き家利用者のマッチングをサポート。現在までに登録物件の賃貸と売買合わせて100件ほどが成約している。10月からはサイトをリニューアルして、物件内部を360度画像で見ることが出来たり、遠隔地から物件が見られるデジタル空き家見学会といった意欲的な取組みも企画している。
土地の相続登記は法改正で義務化が決まっており、2024年より取得を知った3年以内に登記を行わないと10万円以下の過料となる。既に相続が発生している土地も対象のため、空き家が建つ相続登記をしていない土地所有者も出来るだけ早く対応をした方が良い。
空き家問題は非常に身近。子供が遠隔地に住んでいて、親の死後は自宅が空き家になるケースなどは顕著な例で、早い段階からどうするかを考えることも、非常に有効な空き家対策となる。
危険な空き家の相談は建築指導課☎059・229・3185。空き家情報バンクは☎059・229・3290。

今月から健康保険証としても利用できるようになった「マイナンバーカード」だが、津市でもマイナポイントの事業の効果もあり、短期間で取得率が大幅にアップ。9月末現在で取得率は3割強、取得枚数も10万枚を超え、現在は落ち着いている状況だが、今後もカード取得者を対象とした事業が行われる可能性もあるため、スムーズに手続きが行える今のうちに準備を進める必要があるかもしれない。

 

 

津市役所1階の「マイナコーナー」

津市役所1階の「マイナコーナー」

平成28年から国が交付しているマイナンバーカード。将来的には、社会保障や税制との紐づけなどによって、行政の効率化と利便性の向上などを目指しているが、国民側に自主的な手続きをして取得するメリットが乏しかったことが原因で、普及率は低迷していた。
しかし、昨年に明確なメリットが示されたことで大きく国民の意識は変わる。一つ目は昨年の国民全員を対象に一律10万円が給付された特別定額給付金。マイナンバーカード取得者は、いち早く給付が受けられた。更に「マイナポイント事業」では、今年3月までにマイナンバーカードを取得申請した人を対象に、任意のキャッシュレス決済サービスで一人当たり最大5000円分のポイント還元が受けられる。
津市でも、この二つの影響は顕著で、昨年5月末で14・97%(4万1449枚)だった普及率が昨年末には23・36%(6万4486枚)、今年9月末では37・54%(10万3658枚)と短期間で大幅に伸びている。ポイント還元対象の一部キャッシュレス決済が高齢者に普及していたことも、追い風になったようだ。また、新たなメリットとして、今月からネット上などで手続きをすれば、医療機関で健康保険証としてマイナンバーカードが使えるようになった。 ただし、こちらは利用する医療機関にカードを読み取る端末が置かれていないと利用できない。本格的に使えるようになるには、まだ少し時間がかかりそうだ。
取得するための手続きはネット上で行えるが、やや複雑な操作もあるため、津市は本庁舎1階ロビーにマイナンバーカードの相談・支援窓口の「マイナコーナー」を開設。マイナポイント事業の申請締切月だった3月には申請が殺到し、カードの受け取りまでに最大3カ月余りかかってしまった。現在もパソコンやスマートフォンの操作に不慣れな高齢者を始め、相談に訪れる人が絶えないものの、混雑も無く、申請から約1カ月ほどでカードが手に入る。カードを健康保険証として利用する手続きは、市の保険医療助成課でもサポートしてもらえる。
マイナンバーの業務を担当する津市市民課では「定額給付金やマイナポイントなどで、マイナンバーカードに対する意識が大きく変化した」と話し、更なる取得率向上のため、企業へ出向き、複数の未取得者の手続きをサポートする出張申請も試験的に行っている。
今回の衆院選の公約でマイナンバーカードの新たなポイント事業を掲げる政党があったり、更なるカードの普及を推進する動きの中で、国民に対する新たな取得メリットが示される可能性は高い。もし、そうなれば、再び取得希望者が殺到することが予想される。
そういった動きなど、今後を見据えて、スムーズにカードを取得できる今のうちに申請を行っておくと良いだろう。
市民課マイナンバー担当の問い合わせ☎059・229・3198へ。

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