社会
6月末よりマイナポイント第2弾が始まったが、最大2万円分のポイント付与が受けられることもあり、津市役所などに開設した相談窓口には一日約100人ほどの市民が訪れている。それに合わせて、津市ではマイナンバーカードの交付率アップのため、市内の様々な会場で出張窓口を開き、支援を行っている。
マイナポイント制度第2弾では、カード新規取得者と前回の事業の時に申し込みをしなかった取得者を対象に、任意のキャッシュレス決済で最大5000円分(チャージや利用額の25%)の還元に加え、「保険証利用登録」を行った人と「公金受取口座登録」を行った人を対象に各7500円、計1万5千円分のポイント付与を行っている。両方合わせた合計2万円分のポイントのうち、1万5000円分はポイントを直接付与される方式のため、反響が大きい。
津市役所本庁舎1階ロビーには、マイナポイント還付事業についての相談・支援窓口の「マイナコーナー」が設置されているが、第2弾の開始以降、連日多くの人が相談に訪れている。ポイント取得の申請手続き自体はネット上でも行えるが、操作が不得手な人や、確実に手続きを済ませたい人からの相談が多い。支所なども合わせると相談者は連日100名ほど。
そもそも国がマイナポイント事業を行うのは2022年度末にほぼ全国民にカードを行きわたらせるという目標を達成するためだが、第2弾開始時点の6月30日現在で交付率は45・3%。ポイントの申請は好調で約1カ月で1000万件以上あったが、新規取得は大きく伸びておらず、7月30日現在でも45・9%に留まっている。国は市区町村単位での交付率の公表も行っており、全国には宮崎県都城市など交付率80%を超える自治体もある。そのノウハウを共有すると共に、交付率が伸び悩んでいる自治体の支援を行うとしている。
同規模の自治体と比べると、市域の大きい津市はやや苦戦を強いられており、普及率は6月30日現在で42・8%。そこで先月から出張窓口を市内10地域の庁舎や県立博物館、ショッピングセンターなどに開設し、カードの取得申請と、マイナポイントの申込支援を行っている。カードの取得申請は、本人確認書類など手続きに必要なものさえ揃っていれば、概ね10分~20分くらいで終わる。子供もカードを取得して申請を行えば、大人と同じようにポイント付与を受けられため、買い物ついでに家族での申請を行う人もいる。今週末の13日と14日にはイオンタウン津城山の2階特設会場、来週末の21日はイオンモール津南1回みなみの広場で行う。
更に市内の企業や自治会などの団体で5人以上集まる場合も出張で一括して申請を行うなど、地道な取組みで普及率向上をめざしている。
市の窓口や、出張窓口でカードの申請を行うメリットは無料で顔写真の撮影をしてもらえることに加え、必要書類が揃っていれば、受取時の窓口で本人確認が不要になるので、郵送で受け取れる(ネット申請の場合は受取の際に、市の窓口での本人確認が必要)。
現在、未取得者の下へは郵送でQRコード付きマイナンバーカード交付申請書が送られており、スマートフォンで読み込むことで申請サイトに跳べるが、自力では難しいという人は、窓口でサポートを受けた方が確実。
また、政府の定額給付金などのカード申請ラッシュが起こった際には、交付まで3ケ月ほどかかる時期があったため、自分が申請したのを忘れ、カードの受取に来ないまま、放置している人も一定数いるため、市は呼びかけを行っていく。
5000円分のポイント還元の対象となるカード申請期限が9月30日。計1万5000円分のマイナポイントの申込期限が来年2月28日まで。
津市役所のマイナコーナーでのカード取得申請は予約制。マイナポイントの申し込み支援は先着順で受け付けている。
マイナンバーカードやマイナポイントについての質問は、市民課マイナンバー担当☎059・229・3198へ。
2022年8月11日 AM 5:00
大阪北部地震で児童が倒壊したブロック塀の下敷きになって死亡した凄惨な事故から4年が経過。津市でも事故を契機に「ブロック塀等撤去改修事業補助金」で、条件を満たすブロック塀の撤去を年間60~70件ペースで補助している。しかし、市内には老朽化したブロック塀もまだまだ見受けられ、空き家問題とも密接な関係にあることから今後も増加が予想される。対策には市民の当事者意識も求められる。
ブロック塀は、宅地開発が盛んだった高度経済成長期頃に、数多く建てられた。しかし、当時から地震などによる倒壊の危険性は認識されており、昭和56年に建築基準法が改正され、設置基準が強化されたという歴史がある。しかし、塀の多くは建築から長い期間が経過しており、老朽化も目立つようになった。
そんな背景の中で近年、全国各地で大地震が発生する毎に、ブロック塀の倒壊が発生。瓦礫で死傷者が発生する危険性があるだけでなく、道路が塞がれて避難がしづらくなったり、緊急車両が通行できなくなる恐れがあることなど、防災上のリスクが認知されつつあった。そんな中、2018年6月に発生した大阪北部地震で小学校のブロック塀の倒壊に巻き込まれた児童の死亡事故を契機に、全国で見直しが進んでいる。
その流れの中、津市も「ブロック塀等撤去改修事業補助金」をつくり、市内の道路に面した高さ1m以上かつブロック2段積み以上のブロック塀などを撤去する工事と、撤去後にフェンス等を設置する工事費の補助を行っている。補助額は塀の撤去及びフェンスの設置にかかる費用と、撤去及び設置する塀及びフェンスの長さ×1万円のどちらか少ない額の2分の1。撤去と設置それぞれ上限10万円の補助が受けられる。今年3月31日現在で211件約2289万円の補助が行われており、内訳は令和元年度73件、令和2年度71件、令和3年度61件。また、市の建築指導課が行っているパトロールで、倒壊の危険性がある塀を発見し、持ち主に改善を呼びかけることもある。
一方、補助金の利用は外構のリフォームに合わせて利用されるケースが中心。災害に対する備えにまとまった出費をするのは二の足を踏むケースも多く、大地震などで倒壊する可能性のあるブロック塀はまだ残っているという現実もある。しかし、倒壊して通行人を死傷させてしまった場合は所有者の責任が問われることもあるため、適正な管理は不可欠。国交省は管理に必要なチェック項目(別表)を発表しているので確認が必要だ。
また、ブロック塀の問題は深刻化している空き家問題とも密接にリンクしているため、今後も増加する可能性は高い。塀も個人の資産である以上、行政の対策だけでは限界があるので、所有者一人ひとりが当事者意識を持って管理を続けていく姿勢も求められる。
補助金の問い合わせは建築指導課☎059・229・3187へ。
2022年7月28日 AM 5:00
日本固有の生態系への悪影響や様々な被害を引き起こす恐れのある「特定外来生物」。最近の法改正によって、ペットとして人気のミドリガメやアメリカザリガニも売買や自然に放つことが禁止される。問題の解決には、行政の取組みだけではなく、今以上に多くの人が身近な生物に関心を持ち、どう向き合うのかをしっかり考える必要がある。
特定外来生物は生態系に悪影響を与えたり、人間に様々な被害を及ぼす外来生物で指定を受けると飼育・栽培・繁殖・移動(種子も含む)などが厳しく制限される。国の許可を受けずにこれらを行った場合は個人でも3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科せられる。ただ、身近な生物も多数指定されているため、気付かない人も少なくない。
例えば、この時期いたるところでコスモスにも似た黄色い花を咲かせる植物は特定外来生物の「オオキンケイギク」。北米原産で荒れた土地にも定着するため、行政が法面緑化にも活用していたが全国で野生化。最近では、全国各地で行政や民間団体が駆除活動を行っていることも多い。
その他、スポーツフィッシングで人気のブラックバス(オオクチバス・コクチバス)や、田園でよく見かけるウシガエルなども身近な特定外来生物。子供が触れ合う機会も多いこれら生物も捕獲して生きたまま移動すると厳しく罰せられるため、要注意。
その他には、有毒のセアカゴケグモや津市でも大きな農作物被害を出しているアライグマなど実害が出る特定外来生物は話題に上がりやすい。更にウメやサクラなどを食害で枯死させるクビツヤアカカミキリも三重県内で確認されたため、梅と桜の名所を要する津市にとって注意すべき存在。
また先日、特定外来生物法が改正され、毒性が強く国内に定着する可能性があるヒアリは「要緊急対処特定外来生物」に指定し、水際対策を強化する動きがある。昨年四日市港で発見され駆除されている。
この改正によって、ペットとしても人気で共に北米原産のアカミミガメ(ミドリガメ)とアメリカザリガニが特例枠に指定される。どちらも生態系に悪影響を与えているが、身近なだけにペットとしても人気のため、飼育が禁止される特定外来生物に指定されると大量に放流されることが危惧されてきた。そこで飼育や個人間での譲渡は認める一方、販売や放出を規制できるようになる。特に飼育環境下のミドリガメの平均寿命は30年と言われているので現在飼っている人は、最後まで面倒を見る覚悟が改めて求められる。
特定外来生物の多くが人間の目先の利益のせいで持ち込まれたり、輸入品などに紛れ込むなどの経緯で日本に定着した生物たちだ。最近では少しずつ外来生物を「敵視」する人は増えたものの、食卓に上る野菜も含め、我々の生活は多種多様な外来生物に支えられているという現実も忘れてはならない。
特定外来生物問題は、行政が駆除を行うだけでは解決できない。特に生息域の拡大が危惧されるクビアカツヤカミキリやヒアリ対策は早期発見が重要で、これまで以上に多くの人が身の回りの生物に関心を持ち、向き合い方を考えることが不可欠だからだ。これからも、新たな問題を生み出さないために、外来生物を育てる場合は、絶対に自然に放たないという意識が非常に大切といえる。
2022年6月9日 AM 5:00