社会

10月21日13時(12時半開場)、三重県総合文化センター中ホールで、創作和太鼓チーム『津・高虎太鼓』=中田正己会長=の創立45周年記念演奏会「不易流行」が開かれる。後援=津市、津市教委。協力=(公社)津青年会議所・日本太鼓財団三重県支部。津まつりで市民にも広く親しまれ、津市の郷土芸能の一翼を担う同団体。テーマにも込められた〝現在〟と〝未来〟を表現する演奏会となりそうだ。

 

 

津まつりと演奏会に向け練習を重ねる会員たち

津まつりと演奏会に向け練習を重ねる会員たち

津まつりでの勇壮な演奏で知られる津・高虎太鼓は、73年に津青年会議所の20周年記念事業として発足。79年には、三重フィルハーモニー交響楽団の創設にも携わり、作曲者として活躍を続けてきた故・金子圭祐さんが音楽監督に就任し、津・高虎太鼓少年隊を結成。青少年の健全育成を目標にすると共に『音楽としての太鼓』を追求。口伝の多い和太鼓の世界にあって、金子氏は曲を五線譜に起こし、それに基づく指導で会員たちの音楽的な資質を磨いた。その指導の成果として、現在、同チームの副会長で音楽監督を務める水谷忍さんを筆頭に後にプロチームに参加する会員を輩出している。
金子さんは86年に48歳の若さで急逝したが、その遺志は今もチームに受け継がれている。現在チームには小学1年生から70代まで約150名が所属し、日々稽古を重ねている。お馴染みの津まつりでの演奏や定期演奏会に加え、全国の太鼓フェスティバルやイベントにも出演。更に85年のフィリピンのマニラとシンガポール公演や、96年のニューヨークのカーネギーホールチャリティーフェスティバルに出演するなど海外での演奏活動も経験している。
45年の節目を記念して行われる今回の演奏会のテーマは「不易流行」。曲に込められた思いや和太鼓の本質を守りながら楽曲は変遷し打ち手の世代交代なども進みつつある。平成最後の年に、新しい時代に向かって走るチームの〝現在〟と〝未来〟を表現したいという思いが込められている。
演奏会では、子供たちが元気いっぱいに太鼓を叩く曲や、トップチームの卓越した演奏を披露。ルーツである「津青年会議所高虎太鼓」や女性チーム「津・高虎太鼓華乃津会」、「三重フィルハーモニー交響楽団」の有志などが出演。約3時間のボリューム。
会員は連日、河芸総合支所内の郷土芸能練習場で直前に迫った津まつりと演奏会に向けて熱の入った練習を続けている。
黎明期よりチームに所属し、現在まで育て上げてきた中田会長は「今後は新しい指導者を育て、太鼓をより身近なものにしたい」、奏者・指導者としてチームを支える水谷さんは「次世代の若い会員に経験を積んでもらい、継承・継続に繋げ、津市の郷土芸能の一翼を担えるだけのものを目指したい」とそれぞれ節目への思いを語る。会員で津市立西が丘小学校3年生の濵田侑杜さんは「太鼓を演奏しているときの自分や他の人の叩く音が好き。津まつりや演奏会ではバチを高く上げて大きな声を出すことを頑張りたい」と意気込む。
チケットは全席自由で1000円(未就学児は無料)。取り扱いは総文チケットカウンター☎津233・1122、津市観光協会☎246・9020、レストラン中津軒☎228・2748へ。

津市なぎさまちの旅客船ターミナル「津なぎさまち」と、愛知県常滑市の「中部国際空港」を結ぶ高速船の乗客数が増加傾向で、平成29年度は、過去10年で最多の28万8954人に上った。定期イベント開催など、なぎさまちのPR活動も奏功。一方、乗客の多くが三重県民で、さらなる誘客には、津市の魅力を観光資源として磨き上げ、同空港を利用する海外からの旅行者へPRすることが重要となる。

 

 

今年夏に高速船で来津したASEAN関係者の一行と、歓迎する市民ら

今年夏に高速船で来津したASEAN関係者の一行と、歓迎する市民ら

津市なぎさまちの旅客船ターミナル「津なぎさまち」と、愛知県常滑市の「中部国際空港(セントレア)」を結ぶ高速船の乗客数がここ数年増加傾向で、平成29年度は、過去10年で最多の28万8954人に上った。
この航路は、中部国際空港が開港した平成17年に就航。乗客用の無料駐車場があり、片道45分、料金は大人2470円で、車や鉄道に比べ早く・低料金で移動することが可能。また、津なぎさまち~津駅間を路線バスが運行している。
乗客数は17年度~19年度が開港特需で32万人台~43万人台と多く、20年度は約28万人、21年度~28年度は26万人台~27万人台で推移。そして29年度に過去10年で最多、開港以来4番目に多い数となった。
乗客増加の要因の一つは、28年に松阪市と中部国際空港間の航路が廃止されたことに伴い、津航路が一日13往復から15往復と増便し利便性が向上したこと。
また、津市や津航路を運航する「津エアポートライン㈱」などでつくる「津なぎさまちイメージアップ事業実行委員会」が28年10月から、各種体験や買い物などが楽しめるイベント「SEALINK」を定期開催。なぎさまちをPRしファンを地道に増やしてきた。
津エアポートライン㈱執行役員マーケティング部長の山田和昭さんは、多くの利用に厚く感謝。一方で今後の誘客には課題もあるとし「アンケートによると乗客の7割が三重県の方です。三重県のお客さんをさらに増やすには駐車場が少ないのが課題。また中部国際空港から乗って来るインバウンドの方が少なく、増やすには津の魅力のPR・商品化をして(観光客誘致において)名古屋に勝たないといけない。まだまだここでとどまってはいけない」と話した。
三重県内の乗客は将来、人口減少に伴い減る可能性が高いため、乗客数の維持・増加にはインバウンドが重要。そのため津市都市計画部交通政策課では積極的に観光資源の発掘・PRを行っているが、誘客を成功させるには、全市的なプロモーションも欠かせないだろう。
なお20日、大型客船にっぽん丸が津なぎさまちに寄港。15時~20時にターミナルやその周辺で「おもてなSEA(しー)LINK」が催される。

津市教育委員会は外国につながる(=外国籍・重国籍)子供達のための初期日本語教室「きずな教室」・「移動きずな」を津センパレ・市内の小中学校で平成24年・25年に開設し、180名以上が卒室した。基本的に1対1で行う指導を通じ、日本社会での居場所づくりも支援。ニーズが高まる中、今年度から副教室長が配置され、運営が一層円滑になった。一方、指導するボランティアの確保が課題となっている。

 

きずな教室で1対1で行われるきめ細やかな指導

きずな教室で1対1で行われるきめ細やかな指導

「きずな教室」は24年スタートし、現在、津センターパレスで平日の午前中に1日2限の授業を行い、市職員とボランティアが日本語で指導している。ボランティアが増えたため、25年から対象の子が通う市内の小中学校で「移動きずな」も開設できるようになった。
指導者達は根気強く、子供達を大切に思いながら接するため、来日直後に入室し当初は日本人を怖がっていた子も笑顔で話すようになる。この様にきずなは日本での就学や、社会になじむことも手厚く支援。県外からも注目される取組となり、外務省領事局外国人課なども視察に訪れている。
一方、津市内在住の外国人は、5月1日現在で8233人。年間の増加数はこれまで多いときで200人だったが、29年度は600人と急増。技能実習制度の拡充などで今後も増加する見込み。
また市立の小中学校・義務教育学校に通う外国人児童・生徒のうち日本語指導が必要な人数は647人で、昨年度の同時期より45人も増加。
きずなのニーズも高まる中、市は今年度、教室長の補助などを行う副教室長を新たに配置し、運営が一層円滑になった。就任したのは元日本語教師で、きずな教室開設当初からボランティアを務めていた岸千絵さん。
一方、ボランティアは今年度、73人が登録しているが、先月実際に活動したのは約30人。他にきずなで指導を行うのは教室長・副教室長、巡回担当員8名。先月29日時点の利用者は国籍はフィリピンやブラジルが多く、きずな8人、移動きずな23人で計31人。市街地以外の学校での移動きずなは、近隣に住むボランティアがいないケースも多く、1対1のきめ細かい指導を将来に亘り継続するために、ボランティアの確保が課題だ。
何れもボランティアの川端康平さん(三重大4年)は「塾講師・家庭教師の経験があり、困っている人を助けたいと思いました」、丸井典子さんは「自分も海外に住んでいたとき子供に言葉で苦労をさせたので」と活動を始めた動機を話す。
2人の様に熱意あるボランティア達が、目立たない所で市の外国人児童・生徒への教育の根幹を支えている。市からの謝礼は1回千円。増員のためには、功績のPRと、待遇向上も重要だろう。 ボランティアは随時募集中。問合わせは市教育委員会事務局人権教育課☎津229・3253。

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