社会

高田本山専修寺を中心とした一身田寺内町は、約40年前まで商店街に地域住民が日常的に訪れ賑わっていたが、郊外に大型店ができて客が流れたことなどによって衰退し、空き店舗も多い。しかし昨年11月に同寺の如来堂・御影堂が国宝に指定されたことに伴い、商店主らが「国宝プロジェクト実行委員会」=事務局・一身田商工振興会=を発足。津市と協力し、まちぐるみでの観光振興に取り組んでいる。

 

中川さん(左から3人目)らプロジェクトメンバーと、観光客を歓迎する横断幕

中川さん(左から3人目)らプロジェクトメンバーと、観光客を歓迎する横断幕

一身田寺内町の仲之町通りやその周辺にはかつてスーパーや銭湯など約120店があり賑わっていたが、客足が郊外に流れたり、高齢化による跡継ぎ不足などで衰退し、約25店まで減少。また、このエリアは津市の景観計画に基づく「重点地区」で、環濠や歴史ある街並みが残り、商店街では観光客のニーズに合う名物・サービスも提供しているものの、地元や行政によるPRが不十分。これが一因で、同寺には県内外から多くの観光客が訪れるが寺内町に寄る人は少ない。
しかしこの現状に危機感を持つ店主らが、昨年秋に同寺の如来堂・御影堂が国宝に指定されたことを機に、まちぐるみでの観光振興を目指し「国宝プロジェクト実行委員会」を発足。
取り組みの第1弾として、地元のPRキャラ・しん坊くんのリニューアル費用を今月末までクラウドファンディングで募り、返礼品として参加店の商品と交換できる「国宝記念メダル」を用意している。また今月12日、まちの名物や人などの写真を使った横断幕と旗を町内各地に設置し、歓迎ムードを演出。
今後、この旗の制作に参加した店の人々に焦点をあてて写真を撮り、ユニークなキャッチコピーを添えて各店のポスターを制作し商店街に貼る。
さらに7月~9月頃には、町内の空き店舗を活用して期間限定の店を営業する予定。活用方法を可視化することで、地元の空き店舗所有者に建物の貸与や販売を検討してもらうきっかけをつくるのが目標で、最終的には他地域からの空き店舗への入居増加も目指す。
同振興会の中川隆功会長(51)は、「やるしかない。やらなければ、このまちは終わっていってしまうので。お客さんがぶらぶらと来てくれて、店で一服したり土産を買ったりして1、2時間は過ごせる所になれば」と話した。そしてプロジェクトでは観光客のニーズだけでなく、住民のまちの理想像も重視。より暮らしやすい地域づくりも目指していて、今後の発展が期待される。
なお5月7日16時半~(受付開始16時)、高田会館で、国宝プロジェクトのキックオフシンポジウムが開催される。参加申し込み不要。
問い合わせは☎津232・2366へ。

4月6日の「しろ(城)の日」に津市がお城東駐車場に『津まんなかガイド詰め所』を開設。津城は昨年、日本城郭協会の「続日本100名城」にも選ばれ、これまで以上に全国から城郭ファンが訪れる機会が増えている。土日祝日にボランティアガイドの常駐体制がとれるようになることで、中心地の観光誘致にも大きな追い風となる。

 

 

明日開設される「津まんなかガイド詰所」

明日開設される「津まんなかガイド詰所

城づくりの名手として知られる津藩祖・藤堂高虎公が手掛けた津城は、戦における鉄壁の守りと平時における政庁として使い易さを両立した先進的な設計思想を持っている。近年、再評価が進んでいることもあり、昨年の4月6日に、日本城郭協会の「続日本100名城」に市内では多気北畠氏城館と共に選ばれた。
それに伴い、全国の城郭ファンがで訪れる機会が増えている。そこで、「安濃津ガイド会」=藤本智惠子会長=が予約制でバスツアーなど団体客を中心に、津城を含む中心市街地の名所旧跡の案内を行ってきた。しかし予約の無い個人客までは対応しきれなかった。
明日4月6日より、同協会が全国にある続日本100名城を巡るスタンプラリーを開始することもあり、スタンプ設置場所である城跡隣の高山神社にスタンプが設置され、昨年以上に多くの人々が訪れることは確実で、この好機に、更なる観光振興につなげるためには「おもてなし」が課題となる。
そこで、津市はお城東駐車場にある管理棟の一部を改修し、「津まんなかガイド詰所」を設置。明日の4月6日にオープンを迎える。この詰所には、安濃津ガイド会を中心に津観光ガイドネットの会員らが土日祝日の9時半~16時に常駐。これまで通り、予約のあった団体客に案内を行うほか、詰所を訪れた個人客にも津城や周辺の観光案内やもてなしを行う。詰所にも続日本100名城のスタンプを設置する。
津観光ガイドネットの西田久光会長は「念願の詰所ができて嬉しい。津城へと県外から訪れる方も増えていたがフリーで来る人には対応できなかった。これで津城だけでなく、津観音、西来寺など周辺の寺院や食事、土産まで案内できる」と喜ぶ。いずれは体制を充実させ、平日もガイドたちが常駐できることも目標としている。
問い合わせは、津観光ガイドネット(津市観光協会内)☎059・246・9020へ。

JR名松線は全線復旧して26日で丸2年。元々赤字路線で活性化にはJR・行政・住民の連携による観光路線化が不可欠だが、道筋は未だ見えない。昨年度の一日あたりの乗客数は約180人と復旧直後の300人弱から減少し、全15駅中、12駅がある津市が昨年3月に開始した「おもてなし巡り」は、応募者がわずか6人ほどと不調。駅から周辺の名所・飲食店へのアクセスという課題の根本解決と、乗客目線の積極策が急がれる。(全2回シリーズ・第1回)

 

名松線は平成21年10月の台風で被災し、家城駅(白山町)~伊勢奥津駅(美杉町)間でバスによる代行輸送が行われていた。沿線の過疎化などの影響で元々利用者が少なく一時は同区間の鉄道輸送廃止が危ぶまれたが、住民らが熱心な署名活動を行ったこともあり、JR東海・三重県・津市が同23年に運行再開に向け3者協定を締結した。3者が復旧に計約16憶8100万円を投じ、28年3月26日全線復旧が実現。
復旧当日の記念行事で前葉泰幸津市長、JR東海の柘植康英社長も観光路線化に意欲を示した。
そして津市では、美杉総合支所長が都市計画部名松線推進担当参事を兼任し、同支所地域振興課が「名松線利活用関係事業」に取り組んでいる。28年度の事業予算の総額は約705万円、29年度は約607万円。
名松線は、伊勢奥津駅や町内のほかの駅から、周辺の名所や数少ない飲食店への公共交通アクセスが不便で、集客において大きな課題となっている。そのため津市は、伊勢奥津駅と北畠神社などを結ぶ無料臨時バスをイベント時や行楽シーズンに運行。また町内3ケ所にレンタサイクルを設置し、何れも同駅で下車する人の交通手段として一定の効果があるものの観光路線化の決め手にはなっていない。
また、昨年3月26日から、沿線の飲食店などに観光客をもてなしてもらう「名松線沿線おもてなし巡り」を開始。名松線で加盟店を巡りパンフレットを提示するとスタンプをもらえて、10個集めると記念グッズのプレゼントに応募できるが、現在までの応募者は約6人のみ。
各駅からの交通アクセスの都合上、一日で多数の店舗を周遊するのは難しいのが大きな原因と考えられ、見込みが甘かったと言わざるを得ない。
JR東海によると、同区間の一日の平均利用者数は、被災前は90人。復旧直後の一昨年4月11日~17日は300人弱まで増えたが、一昨年3月26日~昨年3月25日には約180人に減少。復旧後のブームは一段落した。
次回は、同線の課題や今後などについて、様々な人の意見を紹介する。

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