社会

津市教育委員会は外国につながる(=外国籍・重国籍)子供達のための初期日本語教室「きずな教室」・「移動きずな」を津センパレ・市内の小中学校で平成24年・25年に開設し、180名以上が卒室した。基本的に1対1で行う指導を通じ、日本社会での居場所づくりも支援。ニーズが高まる中、今年度から副教室長が配置され、運営が一層円滑になった。一方、指導するボランティアの確保が課題となっている。

 

きずな教室で1対1で行われるきめ細やかな指導

きずな教室で1対1で行われるきめ細やかな指導

「きずな教室」は24年スタートし、現在、津センターパレスで平日の午前中に1日2限の授業を行い、市職員とボランティアが日本語で指導している。ボランティアが増えたため、25年から対象の子が通う市内の小中学校で「移動きずな」も開設できるようになった。
指導者達は根気強く、子供達を大切に思いながら接するため、来日直後に入室し当初は日本人を怖がっていた子も笑顔で話すようになる。この様にきずなは日本での就学や、社会になじむことも手厚く支援。県外からも注目される取組となり、外務省領事局外国人課なども視察に訪れている。
一方、津市内在住の外国人は、5月1日現在で8233人。年間の増加数はこれまで多いときで200人だったが、29年度は600人と急増。技能実習制度の拡充などで今後も増加する見込み。
また市立の小中学校・義務教育学校に通う外国人児童・生徒のうち日本語指導が必要な人数は647人で、昨年度の同時期より45人も増加。
きずなのニーズも高まる中、市は今年度、教室長の補助などを行う副教室長を新たに配置し、運営が一層円滑になった。就任したのは元日本語教師で、きずな教室開設当初からボランティアを務めていた岸千絵さん。
一方、ボランティアは今年度、73人が登録しているが、先月実際に活動したのは約30人。他にきずなで指導を行うのは教室長・副教室長、巡回担当員8名。先月29日時点の利用者は国籍はフィリピンやブラジルが多く、きずな8人、移動きずな23人で計31人。市街地以外の学校での移動きずなは、近隣に住むボランティアがいないケースも多く、1対1のきめ細かい指導を将来に亘り継続するために、ボランティアの確保が課題だ。
何れもボランティアの川端康平さん(三重大4年)は「塾講師・家庭教師の経験があり、困っている人を助けたいと思いました」、丸井典子さんは「自分も海外に住んでいたとき子供に言葉で苦労をさせたので」と活動を始めた動機を話す。
2人の様に熱意あるボランティア達が、目立たない所で市の外国人児童・生徒への教育の根幹を支えている。市からの謝礼は1回千円。増員のためには、功績のPRと、待遇向上も重要だろう。 ボランティアは随時募集中。問合わせは市教育委員会事務局人権教育課☎津229・3253。

津市は自分で災害情報を集めるのが困難で避難に支援が必要な障害者や高齢者などで一定の基準を満たした避難行動要支援者とその関係者に対して「津市緊急告知ラジオ」の無償貸与を行っている。しかし、情報収集が苦手な層が対象ということもあり、用意した2000台のうち、まだ約200台しか貸し出されていない。台風シーズンも近づいており、本当に必要な人の下へ届けられることが求められている。

 

「津市緊急告知ラジオ」

「津市緊急告知ラジオ」

近年では携帯電話やスマートフォンの普及が進み、どこに居ても、リアルタイムで緊急災害情報を受け取ることが容易となった。その一方、それを使えない人々に、どのように情報を届けるかが課題となっている。
津市では、行政防災無線を津市全域に整備しているが、屋内で聞こえづらく、それだけでは防災情報を報せる手段として力不足であることを指摘されてきた。そこで登録制のメールやFAXでの情報発信など、補完するサービスを行っている。 それらサービスが利用できず、避難時に支援が必要な人への情報伝達が急務となっていたため、昨年度より無料貸与が行われているのが「津市緊急告知ラジオ」。このラジオは津市がFM三重に依頼し、番組内で災害情報の発信が行われると、自動起動。市内を4エリアに分け、該当エリアだった場合に放送が流れるという仕組み。FM三重の電波が届かない場合はケーブルテレビの回線を利用して放送を受信することもできる。
貸与対象者は一定の基準を満たした高齢者と障害者などで津市がリストアップを行っている「避難行動要支援者」とその代理の家族や自治会関係者など。支援者の数は約1万8000人。この数と携帯電話の普及台数から割り出した2000台を用意した。
ラジオは昨年10月より貸与の受付を開始。今年1月より貸与を行っているが、6月1日現在で203台しか貸与されてない。これは需要がないというより、対象者の性質上、無料貸与を行っているという情報が行き届いていない可能性が高い。 そこでラジオの貸与を行っている危機管理課では、全戸配布している市の広報誌で再度告知を行ったほか、要支援者と接する機会のある民生委員やケアマネージャーにも周知を行っていく。貸与の手続き自体は非常に簡単で、津市役所8階の危機管理課か各総合支所の地域振興課で手続きをするだけ。前述の通り、支援者本人以外でも家族や自治会長などが代理で手続きを行える。
まだラジオを使った緊急放送は一度も行われていない(6月14日現在)が、夏にかけて台風シーズンを迎えるため増水による避難情報などが流れる可能性も高い。
身近にラジオが必要な支援者がいると感じた場合も気軽に市へと問い合わせを行い、必要としている支援者の元に1台でも多くのラジオが届けられることが求められる。
ラジオについての問い合わせは、津市危機管理課問い合わせ☎059・229・3281へ。

津市美杉町八知に国内事務局を置く「NPO法人DIFAR」は、同町出身の瀧本里子さん(41)が03年に前身の団体を発足。ボリビアのサンタクルス県を拠点に、現地の市民の生活向上に取り組んでいる。06年からは、不法投棄など深刻なごみ問題を抱える同県内3市で、ごみのリサイクルシステム導入事業を実施。堆肥場建設や人材育成などにより、最終的には市民や行政が自主運営できる仕組みを作っている。

 

 

パンパグランデ市での事業で行われている、生ごみの回収の様子 回収された生ごみは堆肥化される

パンパグランデ市での事業で行われている、生ごみの回収の様子
回収された生ごみは堆肥化される

パンパグランデ市のごみ廃棄場 無分別で投棄されたごみが飽和状態になっている

パンパグランデ市のごみ廃棄場
無分別で投棄されたごみが飽和状態になっている

バジェグランデ市での事業で建設されたリサイクルセンター

バジェグランデ市での事業で建設されたリサイクルセンター

瀧本さんは00年から2年間、青年海外協力隊(JICA)としてボリビアで活動。男尊女卑社会の中、母親達が苦労し野菜を作り売っているが貧しく、子供も栄養失調になっている状況を目の当たりにした。
それを機に03年、現地の人々の生活向上を目指し「DIFAR」の前身の任意団体を設立。08年にNPO法人化した。現在、瀧本さんは現地で夫や子供らと暮らし、国内事務局は瀧本さんの父・幸弘さんと、母・規久子さんらが運営している。
ボリビアでは環境意識が低く、ポイ捨てや不法投棄が蔓延し、市のごみ回収制度・処分場の整備も進んでいない。そこで同法人は、サンタクルス県内3市で、新たなごみのリサイクルシステムの導入に取り組んできた。 まず最初は06年7月~11年3月にコマラパ市で、国際ボランティア貯金配分事業として、生ごみを堆肥化するシステムを導入。
現地は農家が多く、堆肥の需要が高い。一方、当時ボリビアでは家庭内分別が未実施で、生ごみはポイ捨てされるかゴミとして出すのが一般的だった。同法人は市と協力し堆肥場を作り、生ごみの回収日を決めて集め堆肥化。同市では今も分別回収が続けられている。
同法人は次にバジェグランデ市で13年6月~今月16日まで、1万人の住民を対象に、JICAから受託した草の根・技術協力事業として「生ごみ・資源ごみ回収事業」に取り組んだ。
コマラパ市での事業を視察したバジェグランデ市長からの依頼を機に始まり、インフラ整備や市の廃棄物課職員の育成、住民対象の講習などを行ったことで、市内約1000世帯が家庭でごみを分別し決まった日に出す習慣が定着しつつある。
さらに人口約9200人のパンパグランデ市で16年~19年3月まで、地球環境基金の助成を受け「農薬容器を含む廃棄物のリサイクルシステム導入事業」を実施中。
同市ではごみ投棄場が飽和状態。また農薬の空容器が大量にポイ捨てされ、市民の健康や環境への被害が懸念されている。同事業で市役所に廃棄物課が設置されたほか学校などでの環境教育やインフラ整備が行われ、分別回収が始まった。
この様に同法人は、3市のニーズを的確に捉え、最終的には市民や行政が自主運営できるリサイクル事業を構築し、現地の環境や農業にも貢献してきた。一方、市民の事業への自発的な参加が少ないのが課題で、「今後、第2フェーズとして環境教育に取り組みたい。また当法人では若い人にこういう仕事を思いきりしてもらうには運営資金が重要なので、日本企業と連携したい」としていて、活動の発展が期待される。

 

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