社会

春真っ盛りを迎え、通学・通勤といった生活の足としてだけでなく趣味などで自転車に乗る人が増えているが、兵庫県では自転車保険の加入が義務化されるなど、乗る側の責任も問われる風潮が強まっている。例え、運転者が少年でも加害事故で高額の賠償請求を命じる判決が出たり、自転車の交通違反で検挙されると自動車運転免許が免停になる場合もあるなど、自転車が〝車両〟であるという再認識が必要といえよう。

 

走る自転車や、歓送迎会も多いこの季節には飲み屋街で店から出てきた人がすぐに自転車に乗るという光景はそう珍しくない。
自転車は免許もいらず、便利な乗り物であると同時に、道路交通法上では軽車両に区分されている。それに伴い、交通違反に対する厳しい罰則規定が設けられたり、自転車の加害事故で高額の賠償請求を求められる判例があったりと、〝乗る側〟の責任が求められることを知らない人も多い。
津市内でも、危険運転をする自転車を見かけない日はない。自転車は原則的に自動車と同じ車道の左側通行と定められているにも関わらず、事故の原因となるような危険な右側通行を平然と行う者も少なくない。また自転車の通行が認められている歩道以外は、13歳以下の児童・70歳以上の高齢者・障害者や、交通安全上やむを得ない場合にしか自転車の通行は認められておらず、徐行する必要があるにも関わらず、猛スピードで歩行者と接触しそうになりながら走るといった事例も後を絶たない。
三重県内の自転車の交通事故(自動車との事故も含む)は平成25年の1150件に対し、平成26年は954件と減少しているようにみえる。しかし、死者数は平成25年の8名と比べると平成26年は18人と大幅に増加。交通事故死全体で見ても16・1%にも及ぶ。
平成26年に津署管内で自転車に行った指導警告は全部で875件。最も多いのは無灯火511件。次いで二人乗り120件。その次は携帯電話の使用と、いわゆるながらスマホ84件、信号無視や一時不停止などと続く。
ここには飲酒も12件含まれているが、自動車の飲酒運転の厳罰化を受けて「自転車なら大丈夫」との誤った認識を持っている人が少なくないことを表しているともいえるだろう。飲酒運転に限った話ではないが、自転車は自動車と違い、交通違反で検挙された場合、いきなり刑事罰が課せられてしまう。飲酒運転に関しても自転車の場合は自動車のような呼気中のアルコール濃度に応じて判定する酒気帯び運転は無く、酒酔い運転(検挙した警察官が判断する)のみで、5年以下の懲役または100万円以下の罰金と罰則も重い。それだけでなく、自動車の運転免許を持っている場合は免停になる可能性もある。その他に関しても、厳しい罰則が定められている。
罰則以外でも、自転車に課せられた責任は大きい。兵庫県が自転車保険の加入を全国で初めて義務化したことが話題になっているがこの発端は神戸市で起こった自転車と歩行者の衝突事故だ。この時、自転車に乗っていたのは当時小学生だったにも関わらず、被害者に酷い後遺症が残ったため神戸地裁より9500万円の賠償を命じられてる。この他にも、被害者に重い後遺症が残ったケースでは数千万円の賠償が命じられるという判決が続いている。自動車保険と違い自転車保険の加入者は少ないため、高額賠償を命じられた場合に支払いに窮するケースは少なくない。そこで同県では条例による義務化に踏み切ったという訳だ。
三重県では義務化の動きはないとはいえ、この春から自転車通学をすることになった子供がいる家庭などは、保険について気になるところだろう。そこで、ある保険代理店の男性にアドバイスを求めたところ「別途で自転車保険に入らなくても、保険会社にもよるが家族の誰かが自動車保険に加入していると月数百円程度で家族が自転車事故を起こした場合にも使える特約をつけられる。ただし、最近はできる限り特約を外して月額保険料を圧縮していることもあるので一度確認した方が良い」と語る。
国も自転車事故の深刻化を受け、今年6月より、3年の間に2回以上、酒酔い運転・信号無視などで警察に摘発された悪質な自転車運転者に対して安全講習を義務化するなど、状況の改善に力を入れる。
昨年は津署管内でも2人の死亡者と96名の負傷者が出ている。同署では、これら事故の主な発生原因を自転車利用者の交通ルールを守る意識の欠如や認識不足と分析する。つまり、乗る側の意識が変われば、交通違反や事故はもっと減らせられるということだ。
前述の数字には、自動車との事故も含まれているが自転車は自動車から見た弱者である一方、歩行者から見た強者であり、その責任が求められる風潮にあることへの理解が必要だ。
身近で便利な乗り物である自転車だが、その〝乗り方〟を知らない人は想像以上に多い。新年度を迎え、生活の足や趣味で乗る人が増えている春にこそ、今一度交通ルールを再確認する必要があるだろう。

近年、登山が全国的ブームで、津市でも市内14のガイド団体で構成する「津観光ガイドネット」が先月、市内にある10山の初心者向け登山ガイドブック『津10山(つてんざん)ガイドブック』を限定数配布し、大好評を博した。そこで今月、登山初心者の本紙記者が、10山のうち、経ヶ峰と倶留尊山の登山を体験。今週から2週にわたり、まもなく始まるゴールデンウィークのレジャーとしても最適な、“津の山登り”の楽しみ方を探る。(本紙記者・小林真里子)

 

「津観光ガイドネット」では近年、津市観光協会に初心者でも楽しめる山について問い合わせが多く寄せられることから、初心者向けの登山ガイドブック「津10山」を制作。先月、限定数を配布したところ人気のため僅か2日でなくなり、配布終了後も100人以上から問い合わせがあった。ガイドブックには山の歴史や周辺の名所・旧跡も紹介されており、登山愛好家からも好評だったという。
このように注目を集めている津の山の魅力や楽しみ方をじっくり探ろうと4月18日、津市安濃町・芸濃町・美里町にまたがる独立峰『経ヶ峰』=標高819・3m=に登った。経ヶ峰は標高の語呂合わせで「ハイク(ハイキング)」の山として知られている。市内外から、家族連れや愛好家など大勢の登山客が訪れる、津10山で一番人気の山だ。
古くは「安濃ヶ岳」と呼ばれていたが、鎌倉時代から戦国末期まで美里町を拠点に栄えた長野氏の家臣・進藤左金吾が、大般若経100巻を経筒に入れて山頂に埋めたことから、現名称で呼ばれるようになったと伝えられている。
登山ルートは8つあり今回利用したのは、その中で比較的急で難易度が高い、美里町の長野バス停前からの「細野ルート」。津10山によると、参考コースタイムは往復約3時間。実は当初、より難易度の低い、芸濃町の錫杖湖近くからの笹子谷ルートで登る予定だったが、当日朝、車で登り口付近に行ったところ通行止めになっていたため急きょ、ルートを変更することとなった。
当日は前日までの雨が上がり穏やかな晴天。山道は水はけが良いのか、ぬかるみもなく、安全で楽しい登山の条件は揃っていると思われた。心配なのは体力面のみだったが、登り始めてすぐにその不安が的中。急斜面が延々と続いて息が切れ、「山頂まで登り切れるのか?登れたとして、ちゃんと下山できるのか?」という思いがよぎる。
しかし、しばらく経つと斜面を登ることにも少し慣れて、周囲の人工林や自然林を観察する余裕が出てくる。普段あまり使っていない足の筋肉をしっかり動かす感覚も、心地良かった。
数回休憩しながら、目標通り約1時間半で山頂に到着すると、360度の大パノラマの展望が広がった。
少し霞がかっているものの設置されている方位盤を見ながら津市の中心市街地や周囲の山並みを確認することができて、登頂した達成感が高まった。
展望デッキで景色を堪能したあと、持参した昼食をとるため、5、6分下って休養施設の山小屋に移動した。小屋は約20人は入れるスペースがあり、清掃が行き届いている。壁には、市職員や有志が小屋や山道などを整備した様子を写した写真が貼ってあり、多くの人の尽力で、快適な登山ができることを実感した。
その後、熟練した軽やかな足取りの登山客を尻目に転ばないよう注意しながらゆっくりと下山。帰りに、登山口近くの、古くから眼病に霊験あらたかな地蔵堂「めなし地蔵」を訪れた。
山周辺には、ほかにも長野神社、明治・昭和・平成3代トンネルなど見所が多く、榊原温泉の“美人の湯”で入浴し、登山の疲れを癒すこともできる。
このコースは、初心者の私には少し厳しかったものの、程良い強度で体を動かし、登頂を達成し、絶景を見るという登山の醍醐味をシンプルに短時間で味わえた。次回は、津市美杉町と奈良県曽爾村の県境にある「倶留尊山」。峠や頂上からの景色が楽しみだ。

近年、登山が全国的ブームで、津市でも市内14のガイド団体で構成する「津観光ガイドネット」が先月、市内にある10山の初心者向け登山ガイドブック『津10山(つてんざん)ガイドブック』を限定数配布し、大好評を博した。前回の経ヶ峰に続き、登山初心者の本紙記者が、10山の倶留尊山の登山を体験。まもなく始まるゴールデンウィークのレジャーとしても最適な“津の山登り”の楽しみ方を探る。(本紙報道部長・麻生純矢)

 

 

倶留尊山山頂からの眺望

倶留尊山山頂からの眺望

4月22日、前回の経ヶ峰に続き、津市美杉町太郎生と奈良県宇陀郡曽爾村との境にそびえる津10山の最高峰・倶留尊山=標高1037m=に挑戦した。
津市の中心市街地から、自動車で約90分ほどで美杉町太郎生へ到着。集落から、池の平高原方面へと進み車を停める。そこからは亀山峠をめざす。人工林の中を走る道は、かなり整えられており、歩き易くなってはいるが、登山初心者にとって決して楽ではない。しかし、苔むした敷石や優しい木洩れ日がなどが疲れを和らげてくれる。
休憩を挟みながら、しばらく進むと、ススキの名所である曽爾高原を見下ろす亀山峠に到着。秋にはここが絶景スポットになる。そこから岩がむき出しとなった斜面を登っていくと、やがて管理小屋が見える。倶留尊山の山頂一帯は私有地のため、ここで入山料500円を支払う。
管理小屋の少し向こうに倶留尊山のすぐ脇にそびえる二本ボソ(980m)の山頂広場。少し斜面を下ると、緩やかな鞍部であるこの辺りにはシャクナゲやヤマツツジが群生しており、花期の5月には大変美しい景色が広がる。そこからもう一度、急な斜面を登るとそこが倶留尊山の山頂だ。ここでしばし眺望を楽しみながら、休憩を取る。
休憩後、木に巻きつけたテープを頼りに西浦峠方面へと進むが途中で柱状節理(五、六角形の柱上の岩石の割れ目)が岬のように 突き出した場所の上にある三ツ岩に立ち寄る。ここからの眺望は素晴らしいが、断崖絶壁なので思わず、足がすくんでしまう。
そこから人工林の中を進むと、西浦峠に到着。九十九折になった坂道・七曲りを下るとやがて舗装された道へ。自動車が停めてある場所まで戻り行程は終了。帰路に美杉リゾート=美杉町八知=の火の谷温泉に立ち寄り、疲れを癒しながら達成感をかみしめた。
登山がにわかに盛り上がる中、津10山の内2つの山を登って実感したのは遠くに行かなくても素晴らしい山が身近にあるということだ。普段、なにげなく見上げている山々も実際に登ると愛着がわくし、周辺の観光スポットを回ることで津市がますます好きになれるのも素晴らしい。
また思いのほか、楽しかったのは登山道具選びだ。今回の企画に当たり、優先度の高い入門用の登山靴と、雨具を購入したところ、5万円程の出費となったが専門店の店員に質問しながらの道具選びは非常に勉強になった。ファッション性や価格等、重視するところは人それぞれだが、もしもの際に生死を分かつ要因となるだけに、低山でもそれなりの準備を心掛けたい。
今後、津10山が更に盛り上がり、津市の新たな観光資源になっていくことも期待されているが、最も大切なのは地元での盛り上がりだ。登山に興味のある人は、 このゴールデンウィークに紹介した経ヶ峰や倶留尊山辺りから初めてみてはいかがだろうか。

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