社会

 津市民の皆様、あけましておめでとうございます。輝かしい新春をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。
 平成18年1月、新たな歩みを始めた津市は、今年誕生10年目という節目の年を迎えました。
 これまでの間、市町村合併時に皆様が思い描いた新しい津市のまちづくりを着実に進めてまいりました。4大プロジェクトとして位置付けた事業も一つひとつが形となって現れ、新斎場(いつくしみの杜)はこの2日に供用を開始し、新最終処分場、JR名松線は来年春の供用開始に向け順調に事業が進んでいます。産業・スポーツセンターについても、早期に建設工事に取りかかるべく準備を進めています。
 医療では、新しい応急診療所の整備に向けた取り組みを進め、産業振興では、40社の企業誘致の実現や獣害対策推進費の増強、教育では、小中学校の大規模改造を進めるなど、各分野にわたり、まちづくりを進めました。
 さらに、中心市街地の活性化や子育て対策などについては、広くご意見・ご提案をいただけるよう、オープンディスカッションを開催し、皆様と連携した市政を推し進めてまいりました。
 合併時に目標として掲げられた施策は、具体の事業として着実に実現できてきたものと思います。また、東日本大震災を踏まえた緊急一時避難場所の確保や津センターパレス、ポルタひさいの経営問題のように合併時に予期されていなかった課題についても、先送りすることなく対応してまいりました。
 しかしながら、変化の早い時代の中で、更なる課題も生まれてきています。全国的な課題である少子化対策には、子どもを産み育てやすい環境整備がますます重要になってきますし、福祉、医療はもとより教育、環境、産業振興などの分野においては、よりきめ細かい施策の展開が必要です。
 だからこそ、住民に身近な基礎自治体には、その時々の社会情勢を見据え、将来を展望しつつ、市民に寄り添った行政サービスを展開していく力量が今まで以上に求められてくるものと考えています。
 皆様の市政に対する期待をしっかりと受け止め、そして次世代が津の歴史を誇りにしていただけるよう、これまで築いてきた健全財政を基盤に、責任を持って堂々とした市政を展開し「風格のある県都津市」の創造に努めてまいります。

 津市は、「対話」と「連携」によるまちづくりを推進するための機構改革の一環で、来年度、市民部対話連携推進室と政策財務部地域政策課を統合し市民部に『地域連携課』を設置。同課では既存の市政懇談会や地域インフラ維持・補修事業などを行うほか、新たに市内各地域の担当職員を配置する。さらに、統合で両部署の情報管理が一元化されることによって、市民目線の施策がより迅速に実現することが期待される。

 津市では「対話」と「連携」によるまちづくりを推進するため、また行財政改革を進める中で、市民にとって遠い存在となってしまった各総合支所の在り方を改善し、地域の要望に即応するため、市役所の機構改革に取り組んできた。
 その一環で、対話連携推進室と、地域政策課を何れも平成24年度に設置。
 このうち対話連携推進室では旧津市内の地域から寄せられる要望や課題に関し、関係各部との連絡調整業務を担当。また市長と自治会などが市政について直接話し合う「市政懇談会」を毎年実施している。 
 一方、地域政策課では、各支所から、地域の要望や課題のうち本庁が担当するものについて連絡を受け、関係各部との連絡調整を行っている。さらに同25年度に「地域インフラ維持・補修事業」を開始。年度初めから各地域の要望に迅速に応えるため、今まで本庁に集約していた予算を予め各支所に一部シフトし、その執行権限を支所長に移し実施している。
 そして来年4月、両部署を統合し、市民部に『地域連携課』を設置する。統合により、現在、この2つの部署がそれぞれ管理している、旧津市内の地域の要望と、各支所から寄せられる要望に関する情報が一元管理される。そのため、例えば、旧津市とほかの旧市町村にまたぐ課題が発生した場合、よりスピーディーで広い視野での対応が可能になるだろう。 
 また、前葉泰幸市長は、今月2日の市議会定例会で同課について、中学校区程度などの単位で市内各地域の担当職員を配置すると共に各地域で市長・市政懇談会を発展させた懇談会のようなものを定期的に行い、市長と担当者、両方のレベルでフォローする体制を構築したいとの考えを発表。
 これらが実行されれば、行政と地域の距離が大幅に縮まることが期待できる。但し実現には、組織の体制以上に、いかに運営するかが重要だ。現在、この2つの部署には計12人の職員が所属、地域連携課設置に際し職員を増員する予定。増員人数はまだ不明だが、同課の業務は膨大。統合後の体制を最大限生かすには、十分な人数の職員配置と、職員一人ひとりが市民と積極的に交流し、要望を受けた際は実現の可否に関わらず綿密に対応するなどして地道に信頼関係を築くことが欠かせないだろう。

 津市を代表する老舗洋食店「東洋軒」=津市丸之内、猪俣憲一社長=が、東京都港区元赤坂に出店している『東京東洋軒』がオープン1年未満という異例の速さで「ミシュランガイド東京2015」に掲載という快挙を成し遂げた。看板メニューのブラックカレーを始め、津市民に80年以上、愛されてきた洋食の味が、同店のルーツである東京のみならず、世界にまで届く評価を受けたことは津市民にとっても非常に誇らしい出来事だ。

 

ミシュランガイド掲載を喜ぶ東洋軒スタッフたち

ミシュランガイド掲載を喜ぶ東洋軒スタッフたち

 東京東洋軒は、12月5日に発売されたばかりの「ミシュランガイド東京2015」で、非常に優れた洋食が味わえるレストランとして紹介されている。
 看板メニュー・ブラックカレーを始め、数々の洋食メニューで人々を魅了し続ける東洋軒のルーツは明治22年(1889年)、東京に開業した西洋料理店「東洋軒」。その味に惚れ込んだ当時の百五銀行頭取、川喜田半泥子の熱心な勧めで、津に出張所をオープン。その後、正式にのれん分けを受けて独立し、長きにわたって伝統を守りながら、味に磨きをかけてきた。
 東京の東洋軒は10数年前に惜しまれつつも閉店。そこで、再びルーツである東京へ進出すべく、今年1月15日にオープンしたのが東京東洋軒だ。
 東京東洋軒の総料理長は猪俣社長と親交が深く、世界からも注目を集める成澤由浩シェフ。提供しているメニューは、伝統の味を守りながらも、全ての料理の調理法や材料を徹底的に見直し再構築している。
 例をあげると、調理過程で出る脂もできる限り取り除く。デミグラスソースの甘みやとろみは、じっくり野菜を煮込んで出す。揚げ物には米油を使う等々…枚挙に暇がない。また、パン粉は材料のパンを厨房で焼き上げて挽くなど、細部に至るまで妥協のない手作りにもだわっている。
 その結果、生み出される料理たちは、洋食らしい濃厚な味わいでありながら、口当たりが軽く、食後に胃がもたれることもない。更に材料も出来る限り三重県産を中心とした安全で高品質なものを使用するなど、健康面にも配慮している。
 この『次世代型洋食』ともいえる料理はオープンから間もなく大きな話題を呼び、各メディアもこぞって取材に訪れた。加えて、各界の著名人からも惜しみのない賛辞が贈られている。
 今月2日、東京プリンスホテルであったガイド出版記念パーティーで、東京東洋軒は、名だたる有名店や老舗を抑え、オープン1年未満という異例の速さで掲載に至った快挙を称えられた。
 猪俣社長は「東京から来た東洋軒が、津の方に育ててもらいながら熟成した。それが再び東京に出て、世界に通じた」と郷土・津市や三重県に対する熱い想いを胸に語る。更に「津はなぎさまちが出来て世界とつながった。和食が世界遺産になって注目されているが洋食も日本独自の食文化。海外の人々にも大変喜んで頂けるので、更なる可能性を感じる」と、洋食文化の発信にも意欲を見せる。
 津市で愛されてきた味が世界レベルの評価を受けたことは、津市の文化レベルの高さを示しているともいえる。今回の快挙は、津市民にとっても非常に誇らしい出来事といえよう。
 東洋軒各店では、ミシュランガイド掲載を記念し、イベント開催を予定している。また、津に居ながらでも、東京東洋軒の味が楽しめる成澤シェフによるおせち料理も限定販売している。

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